ゴルフのスコアメークの要といえば、グリーン周りからのアプローチだ。ぴったりと寄せてワンパット……とはいかずとも、ひとまず確実に乗せて2パット圏内にボールを止めることができれば、スコアはグッとまとまってくる。ミスせず寄せを成功させるためにはどうしたらいいのか。アプローチの種類や打ち方、練習法などをまとめた。

アプローチとは?

ティショットを放ち、セカンドショットでグリーンオンさせるのがゴルフの理想(パー4の場合)。だが、プロでもパーオン率は60%程度で、一般アマチュアであればその数字は当然ながらさらに下がる。

ましてやビギナーや100を切りたいゴルファーの場合、ハーフで1回もパーオンしなかったということもザラにある。となると、グリーンのそばからピンに寄せるショット、すなわちアプローチが重要になってくる。

何ヤード以内のショットのことをアプローチと呼ぶ、というルールブックに記載された明確な定義はないが、一般にアプローチという場合、およそ50ヤード以内を呼ぶのが一般的だろう。

使用クラブは様々で、サンドウェッジやアプローチウェッジ、ピッチングウェッジなどのウェッジ類を中心に、アイアン、ユーティリティ、パターなど、使う道具は様々。それらをフルショットせず、コントロールショットを駆使するのがアプローチの特徴だ。

アプローチは「ランニング」「ロブ」「ピッチ&ラン」の3つが基本

その打ち方は大きく3種類に分類される。主に8番、9番アイアンなどを使って転がして寄せる「ランニングアプローチ」。サンドウェッジやロブウェッジのフェースを開いてボールを上げて寄せる「ロブショット」。そして、アプローチウェッジなどを使ってボールを上げてグリーン面にキャリーさせ、そこから転がして寄せる「ピッチ&ラン」だ。

なぜこのように複数の球筋があるかといえば、グリーン周りにいろいろな状況が想定されることがその理由となる。たとえばランニングアプローチはミスが少なく、チップインの可能性も高い有効なアプローチだが、バンカー越えの状況では使えない。また、ボールがラフなどに埋まっている状況でも選択しにくいアプローチとなる。

ランニングの対極に位置するロブショットは、ふわりと浮く球筋が特徴で、バンカーなどが手前にある状況や、グリーンエッジからすぐのピンに寄せていく場合などに有効だが、ボールを前ではなく上にあげる分だけ振り幅を大きくする必要があるなどの理由から、ミスが出やすいというデメリットがある。

ピッチ&ランは、両者のいいところどりといったイメージだろうか。もっとも多くの場面で選択することが可能なアプローチであるため、ピッチ&ランは「基本」とされるケースがもっとも多い。次の項目では、ひとつずつ詳しく見ていこう。

アプローチのミスを防ぐなら「ランニング」

転がしのアプローチはもっともダフリ、トップ等のミスが出にくいのが最大のメリット。転がし寄せるので、グリーンの外から直接カップに入れるチップインが出やすいのもメリットだ。ただし、距離感を合わせるのは意外と難しく、とくにロフトの立ったアイアンを使う場合は強く入って飛び(転がり)過ぎることがある。

画像: ショートアイアンを小さい振り幅で打ち、ボールを転がして寄せる「ランニングアプローチ」(撮影/内田真樹)

ショートアイアンを小さい振り幅で打ち、ボールを転がして寄せる「ランニングアプローチ」(撮影/内田真樹)

前述したように手前に池などがある状況では使えない。終始転がすため、ラフにボールが入っている状況でも使うのは難しい。また、エッジからすぐの位置にピンが切られている場合も不向き。

ただ、ミスが少ないという点はやはり魅力で、アプローチ=ウェッジと決めつけずにランニングが選択できると、「とりあえず寄せて2パット」の計算が立てやすくなるので、100を切るレベルであれば積極的に採用したい。

使う番手は8番、あるいは9番といったところが定番。最近ではアイアンのロフトが以前よりもストロング(より立っている状態)になっているため、ピッチングウェッジでもランニングアプローチがしやすいケースがある。

上げるアプローチ「ロブショット」

一方のロブウェッジは、決まると最高に気持ちいいアプローチ。バンカーを越えてすぐにピンが切られている場合、砲台グリーンなどでボールを上げる必要がある場合、下り傾斜に対して打っていく必要がある場合など、主に難しい状況から、ピンチをしのぐために選択する打ち方となる。3種類の打ち方のなかで、ダントツで難易度が高いのがこのロブショットだ。

画像: ウェッジのフェースを開いて構え、ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」(撮影/増田保雄)

ウェッジのフェースを開いて構え、ボールを高く上げて寄せる「ロブショット」(撮影/増田保雄)

ロブショットを行うクラブは、基本的にはロフトが54度より寝ているサンドウェッジ。PGAツアーのプロなどは、ロフトが60度以上あるロブウェッジを使用するのも一般的だ。

ロフトのついたウェッジをさらに開くことでさらに上げやすくして打つため、基本的にはボールの下にある程度スペースがないと打ちにくい。それでいて、ボールの下にスペースがあり過ぎるとボールの下をクラブがくぐってしまう“だるま落とし”のミスが出やすいという悩ましいショットだ。

このショットの名手といえばなんといってもフィル・ミケルソン。ピンがすぐそこという状況からフェースを開いてフルショットのように振り切り、空中高くにボールを打ち上げ、ピタリと止めるアプローチはまさにプロ。

このように、決まれば拍手喝采、ただしミスの危険性も高いのが、ロブウェッジだ。100を切りたいレベルのゴルファーであれば、基本的には選択しないほうが無難なアプローチといえる。

アプローチでもっともポピュラー「ピッチ&ラン」

もっともポピュラーなピッチ&ランは多くのプロ、そしてアマチュアゴルファーがもっとも日常的に選択するアプローチといっていい。

ランしか出ないランニング、ほぼキャリーだけで計算するロブに対し、たとえば「ピン手前10ヤードのところに落として、そこから転がし寄せよう」といったようにイメージがもっとも出しやすいアプローチと言っていいだろう。

画像: ボールを浮かせてキャリーし、地面に落ちてからの転がりで寄せる「ピッチ&ラン」(撮影/田中宏幸)

ボールを浮かせてキャリーし、地面に落ちてからの転がりで寄せる「ピッチ&ラン」(撮影/田中宏幸)

ピッチ&ランを行う際にもっとも使われることが多いのがロフト50度前後、52度がもっとも一般的なアプローチウェッジ。また、アプローチウェッジのほかに、サンドウェッジやピッチングウェッジも選択肢。とくに、サンドウェッジを使用してピッチ&ランを行うゴルファーは多い。

まずはピッチ&ランを覚えておこう

この中で、最初にどの打ち方を習得すべきかは悩ましいところだが、まずロブショットは選択肢から消していい。理由は単純、ミスになりやすいからで、スコアを守るために行うアプローチでスコアを崩す可能性があり、本末転倒となる危険性が高い。自分のベーシックとなるアプローチを習得したのち、さらなるレベルアップのために習得を目指すのがいいだろう。

また、グリーン周りにはサンドウェッジ1本しか持っていかないというゴルファーは多くいるが、これもあまりオススメはできない。サンドウェッジは基本的にパターを除いた13本のクラブのなかでもっともロフトが寝ており、前に飛ぶ力が弱い。

必然的に、同じ距離を打つためにもっとも大きく振る必要があるため、ミスになりやすいのだ。逆にいえば、8番や9番アイアンを使ったアプローチは、同じ距離を小さい振り幅で打てるため、ミスになりにくいとも言える。

では転がしがいいかといえば、先述したように距離感を合わせにくい側面があるのと、バンカー越えやラフなどから使えない(使いにくい)ため、それひとつ覚えれば全部の状況に対応できるという融通に欠ける。

というわけで、まず覚えるべきはピッチ&ラン。それも、サンドウェッジは使わずに、ロフト52度前後のアプローチウェッジ、あるいはロフト45〜48度のピッチングウェッジを使ったピッチ&ランが無難だと言っていいだろう。

アプローチの基本は「小さく構える」ところから

その打ち方についても、基本を押さえておきたい。教えてくれるのは、プロゴルファー・中村修だ。

まず大切なのは、200ヤード先に打つショットではないのだから、小さく構えるということ。野球でホームランバッターは大きく構え、送りバントをするときは小さく構えるように、アプローチではクラブを短く持ち、スタンス幅を狭め、ボールに近く立つのが基本だ。

スタンスは閉じるか、ボール1個分程度開ける。そして、その状態でボールを体の正面にセットしたら、両足のつま先を30度ほど左に向ける。そうすることで、上から見た場合ボールの位置は自然と右足つま先の前あたりに移動しているはずだ。

画像: 両足を揃えてボールが体の中心に来るように構えたあと、両足のつま先を30度左に向ける。これでピッチ&ランのアドレスが出来上がり(撮影/田中宏幸)

両足を揃えてボールが体の中心に来るように構えたあと、両足のつま先を30度左に向ける。これでピッチ&ランのアドレスが出来上がり(撮影/田中宏幸)

このとき、手元を通常のショットより少し浮かせると、クラブの接地面積が減り、ダフリにくくなる。クラブの「お尻」を浮かせるように構えるのがミスを減らすコツと覚えておこう。

「クラブのお尻を浮かせると、クラブの接地面自体が少なくなるので、地面に刺さることなくキレイにクラブが抜けていき、簡単にアプローチができます。プロも実践する小技で、格段にダフリのミスが防げますよ」(中村)

画像: 手元を少し浮かせることでクラブが地面に刺さりにくくなると中村(撮影/田中宏幸)

手元を少し浮かせることでクラブが地面に刺さりにくくなると中村(撮影/田中宏幸)

10ヤードのアプローチの距離感を練習で身につけよう

この構えができたら、50センチくらい振り上げ、50センチくらいフォローを出すイメージで、10ヤードほどを打つ練習を繰り返そう。その際、キャリー1に対してランは2くらいのイメージだ。初めから30ヤード、50ヤードと長い距離を打つのではなく、まずは確実に10ヤードの距離感を体に覚え込ませ、小さな振り幅でしっかりボールをとらえる感覚を養うのが先決。

「アプローチで大事なのは、とにかく小さく振ること。大きく振って、せっかく上手く打てたのにグリーンオーバーではもったいないですからね。それに、短い距離のアプローチなのに振り幅が大きくなると、そのぶんどこかでスウィングスピードをゆるめて帳尻を合わせることになってしまい、ミスが出やすくなります。まず振り幅は、バックスウィング50センチ、フォローも同じく50センチくらいに抑えて、10ヤード(約9メートル)飛ぶイメージで打ってみてください」(中村)

画像: 振り幅は右50センチ、左50センチ、合わせて1メートルくらいの振り幅がベストだと中村(撮影/田中宏幸)

振り幅は右50センチ、左50センチ、合わせて1メートルくらいの振り幅がベストだと中村(撮影/田中宏幸)

10ヤードのアプローチが残る場面はラウンド中は多くあり、それだけでも非常に強い武器になる。その上で、徐々に打つ距離を長くしていき、20ヤード、30ヤードの距離感もだいたいつかめればしめたもの。それだけで、100を切るレベルとしては十分な技術レベルといえる。

この場合、キャリーとランの割合は1:2がベスト。バックスウィング、ダウンスウィングともに常に一定の速度で振ると、一定の距離で飛びやすくなる。ここで養った「10ヤードを打つ感覚」が自分にとっての距離感の基準。これをベースとして、打ちたい距離に応じスウィングを調節していくわけだ。

この距離感に関しては、振り幅で打ち分けるという意見も多いが、中村はこう言う。

「これはあくまで私見ですが、アプローチ……パターでもそうですが、飛距離を振り幅でコントロールしないほうが良いと思っています。むしろ振り幅やスウィングのテンポは変えずに、クラブを振る速さで距離を調節することをオススメします。自分のテンポに合わせてイチ、ニイやイチ、二ィー、サンと口ずさみながら打つと効果的でしょう」(中村)

まずは10ヤードのピッチエンドランで基本の形を覚えて、「これくらいの速さで振れば何ヤード」という基準をたくさん作っていけば、どんな距離でもひとまずソコソコ寄せることができるようになるだろう。

30ヤードのアプローチなら「乗れば御の字」

アプローチは難しく、プロのようにピタリと寄せるのは至難の業。ピンまで残り30ヤードでボールがフェアウェイの打ちやすいところにあるとしても、寄せるのではなくあくまで「乗れば御の字」くらいの意識でアプローチすることが重要だ。

結果を気にせず、グリーンのどこかにボールが止まってくれればOK。それくらいハードルを下げて、正しくアドレスをとり、ボールをしっかりと打ち抜く。そこに集中することができれば、たまにはチップインなんてご褒美がくることもあるかもしれない。

ドライバーでカッ飛ばすのも気持ちいいが、アプローチで寄せるのもゴルフの快感のひとつ。仲間からの「ナイスアプローチ!」の声はいくらもらっても嬉しいものだ。しっかりと基本をマスターして、寄せ名人を目指そう。

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