日本で開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」に続き、中国で開催された「WGC HSBCチャンピオンズ」にも出場した石川遼。自身2年ぶりとなるPGAツアーへの参戦は、石川本人に“気付き”をもたらしたようだ。海外ツアー取材歴20年のゴルフエディター・大泉英子が悩める石川の今に迫った。

どうやれば上手くなるかが見えているから、あとはやるだけ

今季日本プロと長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップで2連勝を挙げ、現在賞金ランク3位の石川遼。腰の故障などもあり不調だった彼が、今年はようやく賞金王争いに食い込める位置までカムバックしている。

しかし、自身2年ぶりの米ツアー参戦となった、ZOZOチャンピオンシップとWGC・HSBCチャンピオンズに出場してみると、日本のツアーに出続けているだけであれば、気づかなかった自分の弱点・課題などが、この2週間で浮き彫りになり、さらなる高みを目指すいいきっかけとなったようだ。

画像: ZOZOチャンピオンシップ、HSBCと2週続けて出場した石川遼(写真は2019年のブリヂストンオープン 撮影/岡沢裕行)

ZOZOチャンピオンシップ、HSBCと2週続けて出場した石川遼(写真は2019年のブリヂストンオープン 撮影/岡沢裕行)

「すげえ下手だわ、と思いました。いい意味で自分の下手さ加減がわかった」……HSBCチャンピオンズの3日目を終えて、自分のプレーの不甲斐なさに対して心情を吐露した石川。その前日は何をしても上手くいかず、自信喪失。普段は饒舌な彼も、言葉少なにプレー後の取材を切り上げて、練習場に向かったが、決して自分の目指す道、やるべきことを見失っていたわけではなかった。

「ここ(HSBC)に来て、自分の今のスウィングの精度が通用していないことが一発でわかったんです。再現性が低く、精度が低い。今まではわけがわからなくて曲がっていたみたいな感じだったけど、今回は物理的にフェースがこうブレて当たっているから曲がる、というのがわかった。コースのロケーションとかショットによって、スウィングの再現性が左右されてしまうのが自分の弱点ですね」

自分にはできていない、ということを認識しただけではなく、何が足りないのか、今後どんな技術をどう身につけていくべきなのかを久しぶりに出場した海外試合ではっきりと把握することができたという。石川が今の自分には足りないが、今後世界で戦う上で身につけなければいけない大前提と考えていること。それは、「ドライバーとアイアンの再現性」と「ショットの精度」、そして今どきの海外選手たちが皆習得している「フェース面の使い方」だ。

これらの中には、自身にとってこれからマスターしなければいけない目新しい技術ばかりではなく、かつて自分が日本人選手の中で最高位の世界ランクを誇っていた頃はできていたこともある。

以前、腰のケガを負う前は、シャットにフェース面を使って、フェースが閉じているものを、体を思い切り回すことでまっすぐ合わせて打っていたというが、それによって腰を痛め、どんどんフェースの使い方が変わってきてしまった。そのうち体を使わずに手先だけで打つようなスウィングになってしまい、スウィングの再現性やフェース面の使い方が思うようにできなくなっていた、ということにも今回気づかされたという。

「ケガをごまかしながらゴルフを続けてきた代償は大きいですね。そんな感じで5年もやってきたんですから、それを5年で戻そうとするのも難しい……遠い道のりだけどできると思ってチャレンジするしかない」

「目を背けたくなるような結果もあるが、それを認めたくないから目を背けるということはない。どうすればレベルアップできる、というものがわかっているから、目を背ける必要は全くないし、ここ(HSBC)に来てよかったとしか思っていない。どうやれば上手くなるかが見えているから、あとはやるだけだし、正直楽しみでしかない」

再び世界の舞台で活躍するために、ショットの精度と再現性の高さを求めて、石川遼は再出発する。どんなコースでも左右されずに安定感のあるショットができるよう、それに耐えうる体作りから始めるのだから、そう簡単に短時間でできることではない。

しかし、世界の強豪たちと肩を並べるレベルに自身のレベルを近づけるには、どの道を選んでいくべきかはわかっている。少し時間はかかるかもしれない。しかし、間違いなく目標に到達できる道を見つけることができたようだ。石川遼が、世界の舞台で再び活躍する日を楽しみに待ちたい。

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