女子ツアーも明日開幕する「伊藤園レディス」を含めて残すところあと3試合。注目は1位のシン・ジエ以下、2位の鈴木愛、3位の渋野日向子の3人が約1350万円差のなかにひしめく賞金女王争いだ。一体誰がこの熾烈なレースを制するのか、上田桃子、小祝さくら、永井花奈など多くの女子プロのコーチを務める辻村明志が占った!

トップから1350万円差に3人、最終戦までもつれる可能性も

前週の「TOTOジャパンクラシック」での鈴木愛の2週連続優勝により、がぜん盛り上がってきた賞金女王争い。今週の「伊藤園レディス」前の時点では、1位のシン・ジエが1億3347万7195円、2位に浮上した鈴木愛が1憶2622万5665円、3位の渋野日向子が1憶1991万4314円。最終戦までもつれてもおかしくない状況だ。

そんな大注目のラスト3試合の行方を、ツアーのほぼ全試合に足を運び、上田桃子ら小祝さくらなどを指導する‟女子ツアーを知り抜く男“といえる辻村が展望した。

画像: 賞金女王はシン・ジエ(写真右=写真は19年「NEC軽井沢72 ゴルフトーナメント」 撮影/大澤進二)、鈴木愛(写真中央=写真は19年「TOTO ジャパンクラシック」 撮影/岡沢裕行)、渋野日向子の3人の争いに

賞金女王はシン・ジエ(写真右=写真は19年「NEC軽井沢72 ゴルフトーナメント」 撮影/大澤進二)、鈴木愛(写真中央=写真は19年「TOTO ジャパンクラシック」 撮影/岡沢裕行)、渋野日向子の3人の争いに

「現1位で経験値でも群を抜く元世界ランキング1位のシン・ジエ選手の有利は揺るぎませんが、実際のところ、誰が女王になってもおかしくない状況と思います」と辻村。そのなかで、鍵を握るのは目下、2連勝中で絶好調の鈴木愛という。

「今週の『伊藤園レディス』で彼女が5位以内に入れば、鈴木選手の逆転賞金女王も十分にあると思います。というのも、次の『大王製紙エリエールレディス』で彼女は抜群に強い。これはやはりコースとの相性と言えるでしょうが、開催コースのエリエールGC松山Cでは、彼女は確実に結果を残すと思います。逆に最終戦の『ツアーチャンピオンシップ リコーカップ』ではシン・ジエ選手が(開催コースの)宮崎CCでめっぽう強い」(辻村)

実際に過去5年、鈴木愛は「大王製紙エリエールレディス」で、昨年こそ55位と不本意な結果も3度の2位(14、15、17年 ※2位タイも含む)、3位が1回(16年)と抜群の安定感。その一方で最終戦の「ツアーチャンピオンシップ リコーカップ」ではシン・ジエが過去5年間、優勝2度(15、18年)、3位2度(16、17年)、14年は7位タイと、すべてトップテン入りしている。

「ということは、最終戦までに鈴木選手が逆転できるか、あるいはどれだけ差をつめておけるかが鍵を握ります。彼女は今、絶好調。シン・ジエ選手は現在、絶好調かと言えば、そこまでではない。パッティングに若干の不安があると僕は見ています」(辻村)

今年の主役、最後も”しぶこ劇場”で終幕の可能性も大

3位から「大逆転」で初の賞金女王を目指す渋野日向子はどうか?

「もちろんあります。たしかに一時期の勢いはなくなりましたが、彼女は今年、誰も想像ができないような勝ち方でここまで来ていることは、みなさんが一番よく知っていることですよね? ほかの2人にはない渋野選手の最大の武器は、爆発的な『勢い』。女王になるとすれば残り試合で賞金を積み上げて、というものではなく、残り3試合のどれかで劇的に勝つ。誰にもマネできないことを最後まで見せて、という感じになると思います」(辻村)

ルーキーイヤーながら「サロンパスカップ」で初優勝を遂げて令和最初のメジャー王者となり、全英女子オープンでは日本人選手42年ぶりの海外メジャー制覇、「デサントレディース」では8打差を大逆転と印象的な勝利を重ねた渋野日向子が、今年の女子ツアーの中心だったのは間違いない。常識では語れない渋野だからこそ、なにかやってくれそうな気配はまだまだある。

最後に、2人の賞金女王経験者に、賞金女王争いについて語ってもらおう。まずは、00年から6年連続で賞金女王に輝いた永久シード・不動裕理。

「初めて獲ったときも、獲れないよりは獲れたほうがいいけど、自分が頑張ったご褒美が(賞金女王)……という感じやってましたね。多少、周囲の反応が変わって、応援も大きくなり、それが嬉しかったですし、やりがいは確かにありましたね」(不動)

2006年の女王・大山志保は、“追われる者”のプレッシャーを教えてくれた。

「私は2位と少し差がありましたが、それでも(賞金女王を)決めるまでは、2位の人が追いかけてくる感覚があり『もっと頑張らなきゃ』と必死で獲った記憶があります。あの時は『何が何でも賞金女王になる』という気持ちでしたし、少しでも『ダメかも』とかは思わないことが大事じゃないですかね? やはり最後は気持ちなのだと思います」(大山)

ラスト3試合、3人の戦いに注目だ。

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