賞金女王争いを繰り広げる渋野日向子。「伊藤園レディス」の二日目はまさかの予選落ちの結果に。現地で取材するプロゴルファー・中村修のレポートをお届け。

千葉県のグレートアイランド倶楽部で行われている伊藤園レディスの2日目。渋野選手は4バーディ2ボギー1ダブルボギーのイーブンパーでスコアを伸ばすことができず、トータル1アンダーの51位タイとなり、予選落ちを喫してしまいました。シーズン最終盤のこのタイミングで予選落ちし賞金を加算できなかったことは、賞金女王を争うシン・ジエ選手、鈴木愛選手から大きく後れを取ることになり、賞金女王争いには非常に厳しい展開になりました。

画像: 3月以来の予選落ちとなった渋野日向子

3月以来の予選落ちとなった渋野日向子

1アンダーの36位タイでスタートした渋野選手は、今日は六車日那乃選手、吉澤柚月選手というアマチュア高校生2人とのペアリング。
「自分より若い選手と回ることは少ないので楽しみ」と、勢いのある若手と刺激しあってのビッグスコアを期待していたファンも多いと思います。

画像: アマチュアで高校一年生の吉澤柚月(中)と六車日那乃(右)と同組でプレー

アマチュアで高校一年生の吉澤柚月(中)と六車日那乃(右)と同組でプレー

実際、4,5、6番と序盤から3連続バーディを奪って、「しぶこチャージ」が期待できそうな滑り出しでしたが、続く7番の短いパー3でボギーを打ってしまいます。右奥に切られたピンに突っ込みたいところがショートし、そこからのアプローチをオーバーし下りのパットを外すボギーは、せっかくつかみかけた流れを逃してしまう痛恨のミスでした。

今日の渋野選手は、ショットもパットも決して不調ではなかったのですが、ショットをピン近くに乗せても難しいラインのパットが残るケースが多く、欲しいところでバーディが獲れない展開が続きました。

本来であればマネジメントしながら、下りの2メートルよりも上りの4メートルといったように意図的に狙いやすいラインを残すなどの工夫をすることで流れを作っていきまが、今年の渋野選手はあえてピンを避けるようなマネジメントをしていません。ピンを狙い攻めることが最大のテーマでもあり、グリーンを外して難しいアプローチやパットが残るのも承知の上です。

その経験が必要な技術を高めることにつながります。昨日は難しい状況からフェースを開いてスピンで止めるアプローチも成功させ成長ぶりを見せてくれています。今後の成長のためにそれはとても重要なことなのですが、シーズン終盤で予選落ちにつながることになったのは織り込み済みとはいえ残念です。

画像: 11番ホールでパーパットを外した後の返しも外し痛恨のダブルボギー

11番ホールでパーパットを外した後の返しも外し痛恨のダブルボギー

7番のボギー以来パーを重ねてきましたが折り返して後半の11番ホールに落とし穴が待っていました。2打目を左ピンの左側という難しいエリアに外してしまい、そこからアプローチを寄せ切れず、さらに1.5メートルのパーパットを外し、傾斜で止まらずに4メートルオーバー。返しのボギーパットも入らず痛恨のダボ。

ロープ内の近いところから見ていましたが、ピン位置は左奥のピンでいわゆる”誘いピン”で左に外すと難しい位置でした。ややつま先上がりのライから打った2打目のささいなミスが大きな代償となりとても悔やまれます。ハンドダウンで構えるためにつま先上がりは左へ曲がりやすいとも言えます。終了後の会見では

「2打目も3打目もどうにかなったし、結局は自分のせい」と、もう少しどうにかできなかったのかと振り返りました。

その後は苦しいパーパットをねじ込むなど根性で耐え、17番ホールでは2打目をピン横2.5メートルのいいラインにつけてバーディを奪うなど奮闘します。しかし、18番でティショットがフェアウェイ右サイドの2本の木の間に飛び、ラッキーにも前は空いていたものの、5番アイアンで低く打ちだし花道から乗せにいったショットがわずかに右にズレてバンカー。30ヤード近い距離のあるバンカーショットを3メートル弱につけますが、そのパーパットを外してボギーフィニッシュとなりました。

画像: 最終18番ホールで枝の下を通しグリーンを狙うもボールはバンカーに

最終18番ホールで枝の下を通しグリーンを狙うもボールはバンカーに

終わってみると、カットラインに1打足りずの予選落ちでしたので、今日の比較的やさしいピン位置に対して伸ばせなかったことが命運を分ける形となってしまいました。賞金女王争いのシン・ジエ選手は本日7アンダーでトータル10アンダーの首位タイ。鈴木愛選手も本日5アンダー、トータル9アンダーの3位タイと着実に優勝を狙える位置に伸ばしているなかでの痛恨の予選落ち。試合後の会見では渋野選手から「4アンダーまで伸ばせたのに、最終的に伸ばせなかったのは情けないです。ちょっと泣きそう」「私の口から賞金女王なんて言っちゃいけないと思いました」と実力不足と悔しさを噛みしめる発言がこぼれました。

しかし今シーズンはまだ2戦残っています。とくに最終戦は賞金額が大きいこともあり、可能性は0ではありません。残りの2戦をどう戦うかも今後のプロ人生にはとても大きな意味を持つと思います。こうなったら全英女子オープンのような開き直ったプレーを見せてくれることを期待したいですね。

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