最近のPGAツアーでは、セットのピッチングウェッジ(PW)を抜いて、いわゆる“単品ウェッジ”をバッグに追加する選手が散見される。これは一体どうしてなのか? アマチュアの参考にもなるのだろうか?

トーマスも、アダムも「セットのP」を抜いている

ドライバーに、フェアウェイウッドやユーティリティ。セットのアイアンをPWまで入れて、ウェッジ数本にパター。これがクラブセッティングの“常識”だった時代はもしかしたら過去のものになるかもしれない。

PGAツアーの2019-2020で勝利を挙げているトップ選手、ジャスティン・トーマスや、アダム・スコットといった選手たちが、セットのPWを抜いて単品ウェッジをバッグに入れているのだ。これは一体なぜなのか? クラブコーディネーターとして多くのメディアで活躍する鹿又芳典は、こう分析する。

「PGAツアーの選手たちは、上下左右に球筋を打ち分けたり、スピンをコントロールすることを非常に重視します。そして、そういった球質をつくるには、アイアンに比べてよりスピン量が多く、ソールバリエーションを作りやすいウェッジのほうが、アイアンよりやりやすいのではないでしょうか」(鹿又)

左右高低を打ち分け、スピンをかけたり、かけなかったりといったコントロールはPGAツアーで戦うトップ選手の生命線。それがやりやすいというのが理由のひとつと分析する。

画像: 47.5度、52.5度、57度、60.5度のウェッジ4本を入れ、620MBアイアンのPWは抜いているトーマス。ちなみに47.5度、52.5度はSM7、57度はSM8、60.5度はSM8のカスタムバージョンを採用(撮影/姉崎正)

47.5度、52.5度、57度、60.5度のウェッジ4本を入れ、620MBアイアンのPWは抜いているトーマス。ちなみに47.5度、52.5度はSM7、57度はSM8、60.5度はSM8のカスタムバージョンを採用(撮影/姉崎正)

「彼らのセッティングには60度前後のウェッジが入っているケースが多いですよね。セッティングを『下から』発想した場合、60度から4度ピッチで考えると、56度、52度ときて、その上に48度前後の単品ウェッジを入れたほうが全体の流れがよくなるケースもあるのではないでしょうか」(鹿又)

最近はアイアンのストロングロフト化が進み、一般アマチュア向けのセットではアイアンのロフトが40度台前半ということも珍しくなくなっている。そう考えると、PGAツアー選手たちとはまた別の意味合いで、一般アマチュアも46度、48度台のウェッジが必要な気もしてくるが、その点はどうだろうか。

「アリだと思いますよ。ただ、クラブありきで選ぶのではなく、たとえば『100ヤードを一番打ちやすいのはどのクラブだろう』というふうに考えてもらえると、失敗がないと思います。それはセットのPかもしれないし、46度や48度、50度といった単品ウェッジかもしれないし、セットの『A』かもしれません。自分にとって一番打ちやすい番手はどれかを考えるのが、アイアンのロフトが複雑になっている時代には必要だと思います」

先入観を捨て、打ちたい距離を打ちたい球筋で打つにはどのクラブがベストか。それを考えるのがベターのようだ。

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