多くの場合コースでのプレー時に使用することになるのがゴルフカート。カートの種類や、カートを使ったプレーの進め方までまとめて解説。

コースに付き物なゴルフカート

ラウンドの際の移動手段として主に用いることになるのが、ゴルフカート。18ホールぶんの長距離を移動してプレーするゴルフでは、キャディバッグをカートに積み込むことでプレー中のゴルファーへの負担を減らすことができ、さらに歩きのプレーよりも進行速度が上がるため、ほとんどのゴルフ場で採用されている乗り物だ。

画像: 多くのゴルフコースで電動式のゴルフカートが採用されている(撮影/小林司)

多くのゴルフコースで電動式のゴルフカートが採用されている(撮影/小林司)

ゴルフカートは4輪の電動式で、2~5名が搭乗でき、雨除けのために天井が付いているタイプが一般的。キャディバッグの積み込みや移動面以外にも、目土袋やクラブについた汚れを取るための水、コースガイドなど、プレーに必要となるものが車載されている。

キャディ付きでのプレーの場合はキャディが主に運転をしてくれるが、セルフプレーの場合は自分でカートを動かしながらプレーをしなければならない。コースによって乗り入れて良い場所・ダメな場所があったり、カートの種類によって操縦方法が異なる場合もあるため、安全にプレーするためにも、カートについての知識を頭に入れておく必要があるだろう。

ゴルフカートで走っていい場所は?

ゴルフカートで走行できる場所は、整備されたカート道しか走行を許されていないゴルフ場と、それに加えてフェアウェイの走行が可能なゴルフ場の2パターンがある。これはゴルフ場によって違うため、スタート前にチェックしておく必要がある。

ゴルフカートの種類

ゴルフカートの操縦方法は、主にゴルファー自らが運転する「自走式」と、リモコンで簡単に操作ができる「自動式」の2つに分かれる。

自走式

自走式ゴルフカートは、ハンドルやアクセル、ブレーキ、前進と後退を切り替えるレバーがついていて、基本的な運転法は乗用車と同様。フェアウェイの乗り入れが可能なゴルフ場では、走行ルートが一定でない場合がほとんどなため、自走式を採用している。

安全面を配慮し速度は出過ぎないようになっているが、それでも後述の自動式カートに比べれば速度は出せる。コースによってはカート道の側面が崖になっていることも多いので、公道を走るときと同様に、周囲の状況に気を配りながら運転を行う必要がある。

画像: 速度を出す、蛇行する、急斜面を無理やり走行するなど、危険な運転は事故につながってしまう(写真はイメージ)

速度を出す、蛇行する、急斜面を無理やり走行するなど、危険な運転は事故につながってしまう(写真はイメージ)

自動式

自動式ゴルフカートは、カートに付属したリモコンで遠隔操作が行えるタイプ。リモコンのボタンは1つのタイプが多く、これで走行と停止を切り替えることができる。自走式と同様にハンドルやアクセル、ブレーキ、レバーも付いているが、プレーヤーが操作できないような措置が施されている。

ゴルフ場のカート道は起伏やカーブも多いのにもかかわらず、簡素な操作で運転を行えるのは、地中に埋設された磁力の誘導線を感知して走行する「電磁誘導式」を採用しているから。そのため走行ルートはあらかじめコース側によって決められていて、誘導線(ほとんどの場合、カート道に埋設されている)に沿うように進行する。速度は自走式カートより遅い場合が多く、ハンドル操作の必要もないため、安全性は高い。

種類によっては、前組のカートを前方に認識すると自動的に走行を停止する機能が付いている場合もある。ただし、最新の乗用車のように前方の人や障害物を認識する機能は付いていない場合が多いので、リモコン操作だからといってカートから離れたところから操作するのは危険。自走式と同様に、カート周囲の状況には気を配る必要がある。

手引きカート

河川敷などのコース全体の距離が長くないコースや、名門コースでは、電動式カートを採用せず手引きカートでラウンドする場合もある。

画像: キャディバッグを積んで、歩いて手引きする「手引きカート」(撮影/阿部了)

キャディバッグを積んで、歩いて手引きする「手引きカート」(撮影/阿部了)

手引きカートはキャディバッグを積む枠組みに2輪と取っ手部分が付いている簡素な作りで、ほかには目土袋や手荷物を置くスペースがあるのみ。その名の通り歩いて手引きすることが前提の作りとなっている。

電動カートが同乗する以前から存在する歴史ある道具で、手引きカートを採用する名門コースがあるのも「先人たちを倣って」という理由からだ。

ゴルフカートの席順は?

とくに接待ゴルフなどでは、乗用車に乗るときと同様に、ゴルフカートでも席順に気を配る必要があると考えるゴルファーが多い。

ゴルフカートの席順について決まったルールやマナーは存在しないが、暗黙の了解のようなローカルルールはいくつかある。

基本的には助手席が上手で、立場が上の人が座る席、後部座席が下手とされている。後部座席はプレー人数によっては詰めて座る必要があるためだ。運転席には若手が座る場合が多い。

カートを使ったプレーの進め方

各ホール最初のティショットで同伴者全員が打ち終わったらカートに乗り込み進行していくのだが、熟練度や調子によって、各々のセカンド地点は変わってくる。

そのため、カートをそれぞれのショット地点の真横に止めて、都度プレーヤーを下ろしていくことになる。このとき、クラブを取りに戻る手間を増やさないように複数本のクラブを持ってショット地点に向かおう。また、ショットを打つ直前のプレーヤーがいる場合、運転手はカートを停止させておくのがマナーだ。

ショット地点でカートを止める→プレーヤーがカートから降りてショット地点に向かい、打つ→カートに乗って再び移動。これがカートでのプレー進行の基本だが、スムーズにプレーを進行するために、カートを一番遠くまで飛ばしたプレーヤーの真横まで進行させてしまい、それぞれが打ち終わったあと歩いてカートまで戻る、という進め方もある。この場合、カートより後ろの位置からショットをするプレーヤーの妨げとならないような位置にカートを停止するように心がけよう。

ゴルフカートの運転に免許は必要?

電動式カート、とくに自走式のものについては運転方法は乗用車とほとんど同じ。ならば運転免許が必要なのではないか? と考える人もいるだろう。ゴルフ場の敷地内は私道なため道路交通法は適用されないと思うかもしれないが、多くのゴルフ場が、無免許者へのカートの貸し出しを禁止しているため、もしメンバー全員が無免許という場合、歩きでのプレーか、キャディ付きでのプレー、あるいは電磁誘導式カートが利用できるコースに行くのが正解。

お昼休憩で飲酒して、後半のプレーでカートを運転しても罪に問われるようなことはない。が、そういった行為は多くの場合ゴルフ場によって禁止されているし、カートによる飲酒事故が起きた際、酒を出したゴルフ場側の過失を認めた判例も過去にある。

起伏やカーブの多いゴルフコースでの運転は、免許を持っていても慣れないうちは危険なもの。免許を持っていて、飲酒をしていなくても、十分注意をして運転をする必要がある。

ゴルフカートはなぜ左ハンドル?

また、免許所持者であってもゴルフカートの運転にある程度の慣れが必要な理由として、多くのカートが左ハンドルを採用している点が挙げられる。

これにはゴルフカートが最初に開発されたのがアメリカで、輸入された時点で多くのゴルファーが左ハンドルに慣れてしまっていたから、という背景がある。また、右ハンドルにした場合カートの構造上操作性に難が出てしまったり、そもそもゴルフコースでは対向車が存在しないため左ハンドルであることで見通しが悪くなる、などの問題も起きなかったためだ。

カートに当たったら罰打? カートに関するゴルフルール

ラウンド中は、打球によってはゴルフカートが障害物となる場合もある。

停止中のカートにボールが当たってしまった場合は、罰なしであるがままにプレーすることになる(規則11・1)。ただし、球の方向を変える目的で故意に置いた用具(編注:この場合カートを指す)に球が当たった場合は2打罰(規則11・2a)となるので注意しよう。

続いて、同伴者が捜査中のカートに球が当たってしまった場合。こちらも罰はなしだ。共用しているゴルフカートもプレーヤーのうちの1人の「携帯品」とみなされるが、カートがほかのプレーヤーによって動かされていた場合は、動かしているプレーヤーの携帯品となるため、球が当たっても罰はない(裁定19・1)。

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