トップアマを講師に迎えたゴルフ力向上を目的としたプライベートの研修会に参加しているというゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロ。トップアマは一体どんなふうにゴルフをしているのか? その“頭のなか”がうかがい知れる、研修会の中身をレポート!

「持ち球だけで攻めねばならない」縛りプレーでわかること

ある程度の実力になったら、より上を目指して県やコースの研修会に入って腕を磨くゴルファーは少なくない。今回はトレンドではないのだが、筆者の仲間が集まって、有志で行っているゴルフの勉強会について紹介したい。

その会は「ゴルフ力向上委員会 金澤塾」という大仰な名前がついている。茨城のトップアマ、金澤徹さんを迎えて、毎回テーマを決めてラウンドし、反省会を行う。金澤さんはアメリカでツアープロとして活動した後、帰国後はアマに復帰し、日本ミッドアマなどに出場している経歴の持ち主。キャディさんの派遣業を運営していて、我々はキャディ研修で実際に行われているグリーンの読み方を教えてもらったりしていて、大変有意義な会なのだ。

先日行われたテーマは、「持ち球一辺倒で攻める」だ。18ホールのうち、6ホールを持ち球だけで攻めなければならない。持ち球と違う逆球が出たら、1打ペナルティが課せられるという過酷なルールだ。6ホールなのは、我々が3組なので、6ホールずつ金澤さんについてもらうからで、そこで逆球かどうかをジャッジしてもらう。

普段は意識しなくても出る持ち球が意識すると途端に出ない!?

筆者は、いつもどおりプレーした最初の6ホールはリズム良く、スコアカード通りにパープレー。しかし、持ち球で攻める最初のティショットから逆球を打ち、以降はボロボロとボギーを重ねてしまった。結局、逆球のペナルティは3つ。曲げることにとらわれすぎて、意図通り曲がったものの池に落としてしまったホールもあった。持ち球とは、本来意識しなくても打てる球のはずだが、いざ打てと言われると意外と打てないことに驚いた。

画像: 「持ち球だけでプレーする」ことで、自分のミスの傾向がわかる

「持ち球だけでプレーする」ことで、自分のミスの傾向がわかる

ラウンド後は皆で反省会をやり、今回のテーマの意図が明かされる。金澤さんの考える持ち球を徹底することの意味を紹介しよう。まずはよく言われていることだが、フック系なら右、スライス系なら左が消せることだ。一方にしか曲がらないとわかっていれば、コースの幅を有効に使うことが出来る。

そして、重要なことが、自分の持っているものを活かすということだ。「持ち球は自分が持っている傾向、いわばクセのようなものです。プレッシャーの中で繰り返し打つことを考えると、クセを活かさない手はないんです。無い物ねだりして、クセを治そうとすると、遠回りにしやすくなります」と金澤さんは言う。

金澤さんはドロー=フック一辺倒だ。スライスを打つこともあるが、1ラウンドでせいぜい2,3回だという。「ピンが右ならピン方向に打ち出してセンター狙い。左なら持ち球で狙います。フックならいつでも打てるので。もちろん調子が悪いときもありますが、最初の3,4ホールで出球とか曲がり幅の傾向を掴むのが大事です。ゴルフは調子がいいときはそんなに続かないので、調子が悪いときは悪いなりの球を武器にして、組み立てないと」。

ターゲットにイメージがないと、ボールはコントロールできない

そして、ラウンド中、持ち球が上手く打てている人と打てていない人に大きな違いがあったという。「逆球が出たり、思ったところに打てていない人は、打ち出し方向へのイメージが強い
んです。ある方向に打ち出して、そこから曲げようとしている。その考え方だと、どのくらい曲がるかのコントロールが難しくなります。一方、上手く打てている人は、ターゲット=着地点にイメージがあります。曲がった球が結果的にターゲットで止まるイメージを持たないと、ボールのコントロールは上手くいかないんです」。言われてみると、筆者は正直、打ち出し方向のイメージしか持っていなかった。

上手く持ち球をコントロールしていた参加者からは、「今までは真っ直ぐ打とうとして苦しんでいたけど、今日のゴルフは楽しかったです。
フックを打てばいい、曲げればいいと思えたから」という声が聞かれた。たしかに、真っ直ぐ打とうとしすぎることで、自分を縛ってしまうゴルファーは多いのではないだろうか。

「たまたまそこにいったんじゃなくて、狙ってボールを運べる人が上手いゴルファー。持ち球一辺倒で、自分のクセを活用できる人は強いです。自分を知っていて、それを武器にできるということですから。変な話、個性的なスイングをしていて、スコアを出す人のほうが強いん
です」とハービー・ペニックのような話を金澤さんはしてくれた。

筆者も最近は、ドロー、フェード、低い球などと打ち分けていて、自分が器用なのだと自惚れていた。しかし、本当の器用さとは言うまでもなく、出したいときに自分の持ち球、得意技が高確率で出せることなのだ。例えば、スライスで悩む人は多いが、それがいつでも出せるなら強い武器になる。

金澤塾の心得は、「分析して、対策すること」。持ち球一辺倒のゴルフを経験して、自分の傾向、特にミスが起きがちな状況を知る機会になった。一方、金澤さんのように持ち球がコントロールできる日が来るのだろうかと、正直絶望的な気持ちにもなった。とりあえず、持ち球がいつでも打てるように、意識して練習してみようと思う。

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