クラブの本数を減らすとゴルフの上達に効果があるというのを耳にしたことあるゴルファーは少なくないはず。そこでシングルハンディの腕前を持つゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが4本だけでプレーに挑戦!その模様をレポートした。

4本ゴルフ、クラブはなにを選ぶべきか

MMT9というトーナメントをご存知だろうか。クラブアナリストのマーク金井氏が主催し、プロ・アマ混合でハーフ9ホールを戦うミニトーナメントだ。プロはクラブ4本、アマは7本でプレーするというユニークなルールの大会だ。

マーク氏をはじめ、プロや上級者の多くが、本数を減らしたプレーはゴルフの上達に効果があると主張する。面白いもので、実際にやってみた人は、フルセットでプレーするのと変わらないか、むしろいいスコアが出るという人が多いのだ。そこで、MMT9が何度も開催された赤羽ゴルフ倶楽部で、4本プレーに挑戦してみた。

筆者は、クラブは多ければ多いほど有利だと思う。打ち分けられる距離が増えるし、例えばバンカー用とアプローチ用でSWを2本持つことも出来る。ルールでバッグの中が14本の制限されているのも、クラブが多いほうが有利だからに他ならない。

画像: ゴルフトレンドウォッチャーはUT(22度)、8番アイアン、52度ウェッジ、パターの4本でプレーしてみた

ゴルフトレンドウォッチャーはUT(22度)、8番アイアン、52度ウェッジ、パターの4本でプレーしてみた

4本プレーで重要になるのが、どのクラブを4本選ぶかだ。と言ってもパターは確定。ウェッジも1本は欲しい。ティショット用のクラブを入れて、あと選べるクラブは事実上1本になってしまう。そこには距離の打ち分けがしやすいアイアンが入るだろう。意外と選択肢がない。かつてMMT9に出場したプロのなかには、パターを抜いて、ウェッジでパッティングし、グリーンを狙うクラブを増やす戦略を取った選手もいる。

筆者が選んだのは、UT(22度)、8番アイアン、52度ウェッジにパターだ。フルショットの飛距離は、UTで190y、8番は145y、52度は95yだ。一応、計算上は、UTを2回打てば、380yのパー4まで対応できる。今回プレーした赤羽ゴルフ倶楽部のINコースは、最終18番パー4が400yだが、そこ以外は一応届くという戦略だ。

4本では、まともなゴルフにはならないだろうと思っていたが、ラウンドした結果は1オーバーの「36」(パー35)だった。正直、これは出来すぎだ。しかし、なぜ本数が少ないといいスコアが出るのかは、少しわかった気がする。それにしても、いつもこだわって14本を入れているので、本数が減ってもスコアがむしろ良いくらいだったのは、少しショックだった。

不利なはずの4本ゴルフでスコアが良くなる理由

さて、4本プレーでなぜスコアが良くなるのか、理由を書いてみたい。

ひとつは、同じクラブを何度も使うことだ。ブライソン・デシャンボーがアイアンの長さを全て同じにするワンレングスアイアンを使っていることはよく知られているが、ゴルファーは、どのクラブも出来るだけ同じスウィングで、同じような感覚で使いたいものだ。そのためにスウィングバランスを揃えたり、重量フローを整えたりとクラブに様々な工夫をしている。

画像: デシャンボ―はワンレングスアイアンを使用している(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

デシャンボ―はワンレングスアイアンを使用している(写真は2019年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

しかし、同じクラブを使っていれば、その必要はない。練習場で何度もそのクラブで打っていると、だんだん当たってくることがあるように、複数の番手を都度使い分けることは、ゴルフというスポーツを難しくしている。初心者ゴルファーがひたすら7番アイアンを振り回して、前に進むように、ある程度のキャリアのあるゴルファーであっても、出来ればクラブはあれこれ変えないほうが、ナイスショットの確率が高まる。

2つ目は、ティショットが失敗しにくいこと。スコアを悪くする大きな要因は、OBや池、林に入るなどのティショットのトラブルだ。UTで打てば、飛距離が出ない分、ティショットが生き残り、セカンドが打てるところにある確率は高まる。実際、「これは右の池に入ったかな?」と感じたミスショットが、ゆうゆうセーフだった。おそらく、ドライバーなら池ポチャだったろう。

3つ目は、どうせいいスコアが出るとは思っていないので、期待値が低かったことだろう。いいプレーをしてやろうという欲もなく、グリーンに近づけよう、とりあえず乗せようと謙虚かつセーフティなプレーを繰り返した。特にドラマチックなこともなく、淡々とプレーした。これが良かったようだ。良いティショットが出たり、バーディーチャンスにつくと高揚し、ピンチやトラブルでは落胆する。そんな風に一喜一憂していると、スコアを乱しやすいものだ。

4本ラウンドをプレーバック。“劇的プレー”がないのが好スコアの秘密!?

本数の少ないプレーで気になるのは、距離が打ち分けられるかということではないだろうか。今回は、それほど困らなかったが、たしかに4本プレーでネックになるのはそこだろう。参考までに、筆者がグリーンを狙ったショットを紹介しよう。※長いので、興味がある方はざっと見ていただければ幸いだ。

画像: OBや池ポチャでスコアを崩す原因のひとつでもあるティーショットでのトラブルも短いユーティリティやウッドで打つことで避けられるはずだ

OBや池ポチャでスコアを崩す原因のひとつでもあるティーショットでのトラブルも短いユーティリティやウッドで打つことで避けられるはずだ

■10番ホール(354yパー4)
残り157yで、ややフォローの風。8番アイアンで100%以上の力でショット。ピンハイにオン。※この7mのスライスラインが入ってバーディだった。L字型パターはこうしたラッキーパンチが少なくない。

■11番ホール(151y パー3)
ピンまで148y。風はアゲンスト。8番アイアンでフルショット。12m手前にオン。

■12番ホール(484yパー5)
ピンまで55y。大木の裏でボールがあげられない状況。8番でアプローチ風に打って、ゴロゴロ手前から転がしてナイスオン。この日一番の良いプレーだった。

■13番ホール(317yパー4)
ピンまで90y。風がフォロー。52度で85yのつもりでショット。少しグリーンオーバー。

■14番ホール(391yパー4)
ピンまで170y。風はアゲンスト。UTで少し短めに持って、180yのつもりでショット。グリーン横に外してボギー。

■15番ホール(326yパー4)
ピンまで110ヤードのフォロー風。52度でフルショットしてグリーンオン。

■16番ホール(367yパー4)
ピンまで165y。風はアゲンスト。UTで短く持って、170yのつもりでスリークウォーターでショット。どヒッカケして、グリーン横の木に当たって下に落ちる。この日一番のミスショットながら、寄せてパー。

■17番ホール(126y パー3)
ピンまで120yで風はフォロー。52度でも届きそうだったが、せっかくなので8番アイアンで、110yのつもりのハーフショット。ピンの5mオーバーでグリーンオン。

■18番ホール(400y パー4)
ティショットを曲げてしまい、残り220yある右のベアグラウンド。正面の木がスタイミーになるため、UTで大きなスライスを狙ったもののチョロ気味の当たり。残り75ヤードのアゲンスト風を80y打つつもりで、52度でグリーンオン。ボギー。

見ていただくとわかるのだが、難度の高いコントロールショットはほとんどない。一応、2、3回はあるのだが、恥ずかしながら、ほぼ失敗している。リスクを負ったヒロイックなショットもなければ、(スタートホールのバーディを除けば)特段のラッキーもない。淡々と安全なプレーに終始した結果の好スコアだった。

ゴルフは、ボールをコントロールして、ピンに寄せてカップインさせるゲームだ。4本でプレーすると、闇雲にフルショットするだけでなく、ボールをコントロールして、距離を合わせるという練習になる。普段から、力感をコントロールしたり、短く持って低い球を打つ練習などをしてみると良さそうだ。そういう技術がないと、80切りやコンディションの厳しい状況でのプレーは難しいものになる。

100切り前後のゴルファーなら、シンプルにスコアをまとめること、ゲームを組み立てることが学べそうだ。ボギーを取るなら、いいショットはそれほど必要なく、淡々と前に運べばいいという感じがつかめるだろう。

「オレはドライバーで飛ばすのが楽しいんだ。4本でスコアを出してもつまらない」という人も多いだろう。筆者も多少そういう気持ちはある。しかし、より良いスコアを出すということで考えれば、無駄にならない練習法だと思う。上達志向のゴルファーには、ハーフだけでも試してもらいたい。

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