1992年にプロテスト合格を果たし、翌93年から今日に至るまで、国内男子ツアーで活躍を続けるベテランプロ、藤田寛之。長くプロゴルファー人生を歩んできた藤田に、自身が「すごい」と感じたプロについて語ってもらった。

石川の登場で「新しい世代の訪れを感じた」(藤田)

――自身が「この選手はとくにすごいな」と感じた選手は?

藤田寛之(以下藤田):ツアーデビュー当初の話で言うと青木功、尾崎将司、中嶋常幸の3選手。頭文字をとって「AON」なんて呼ばれていますよね。この3選手はやっぱり雰囲気が違くて、練習場でもAONだけはどこにいるのかがハッキリとわかりました。ギャラリーの引き連れ方も群を抜いていたし、一緒に回ったときもオーラを感じましたね。もちろん、こちらが勝手に感じているものではあるんでしょうけど。

画像: 青木功(左)、尾崎将司(中)、中嶋常幸(右)のAONと呼ばれる3選手には、「オーラを感じた」と藤田

青木功(左)、尾崎将司(中)、中嶋常幸(右)のAONと呼ばれる3選手には、「オーラを感じた」と藤田

――藤田プロでも気圧されましたか?

藤田:いやぁ、かなりビビってましたよ。若い世代で言うと、石川遼と松山英樹が出てきたときもすごいなと感じましたね。

画像: 1993年から今日まで、国内男子ツアーの最前線で戦ってきた藤田寛之にインタビュー。自身が「スゴい」と感じた選手について語ってもらった

1993年から今日まで、国内男子ツアーの最前線で戦ってきた藤田寛之にインタビュー。自身が「スゴい」と感じた選手について語ってもらった

――藤田プロはふたりを見てどう感じましたか?

藤田:面白いのが、遼と松山、2人はタイプも全然違うじゃないですか。サービス精神旺盛な遼のああいう雰囲気も好きだけど、古いプロ気質というか、とことん突き詰めるっていう松山の姿勢も、同じプロとして尊敬できます。あと、たしか2選手とも、プロデビュー戦を一緒に回っていますね。石川は2008年の東建ホームメイトカップ。松山は2013年の東建ホームメイトカップです。

――プロデビュー戦で石川プロを見てどう感じました?

藤田:遼の登場が新しい世代の訪れを感じた、その瞬間でしたね。見ていて、プレーの雰囲気もすごく良かったんですけど、とくに自分は純粋にゴルフの技術に驚きました。飛距離やボールの高さもそうですし、アイアンのキレがすごくてショートゲームも上手い。飛距離なんかは、自分より50ヤードは飛んでいましたしね。飛ぶし寄るし、非常に攻撃的で今まで見たことがないようなゴルフだな、と感じたことは鮮明に覚えています。スコアも良かったですしね(同大会で石川は5位タイフィニッシュ)。

画像: 石川遼の登場で「新しい世代の訪れを感じた」と藤田(写真は2019年のANAオープン 撮影/姉崎正)

石川遼の登場で「新しい世代の訪れを感じた」と藤田(写真は2019年のANAオープン 撮影/姉崎正)

――松山プロはどういう印象でした?

藤田:松山は(プロデビュー当時)全体的にまだ粗削りだったんですよ。飛距離やポテンシャルの高さはすさまじかったですから、パチッと整ったらスゴいことになりそう、っていうのが当時の自分の印象でした。あそこまで強くなるとはさすがに想像していなかったんですけどね。

画像: 現在はPGAツアーを主戦場にする松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

現在はPGAツアーを主戦場にする松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

――デビューから7年経ち、現在松山プロはPGAツアーを主戦場にしていますね。

藤田:松山プロと最後に回ったのは、2018年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」の3日目。プレーがものすごく変わっていてびっくりしました。「これが世界基準なんだな」っていうのはすごく感じましたね。(スウィング中に)体をひねったとき、右ひざが微動だにもしなかったんですよ。グッっていう安定感としっかりねじり上げられたパワー。これはすごいなと。そこをずっと見ていましたね(笑)。あと、(スウィングの)音やスピード感も全然違います。アレは生で見ないとなかなか伝わらない。機会があればぜひ生で見てほしいですね。

「自分たちの世代の選手が持っていないものを(今平)周吾は持っている」(藤田)

藤田:(石川、松山の)次に「すごいな、他の選手とは違うな」と感じたのは今平周吾かな。衝撃度で言えば、周吾は遼の3分の1くらい、っていう感覚ですけど、そもそも一緒に回っていてそう感じさせる人ってなかなかいないんですよ。「コイツは(他の選手とは)違う」って感じさせるのって、すごいじゃないですか。体は小さいんですけど、キレがすごいよくて、ドライバーもアイアンもすごく飛ぶ。とくにアプローチですね。めちゃくちゃ上手いですよ。

画像: 2019年から2年連続で賞金王の座を手にしている今平周吾も「(他の選手とは)違うものを持っている」と藤田(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

2019年から2年連続で賞金王の座を手にしている今平周吾も「(他の選手とは)違うものを持っている」と藤田(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

――藤田プロがそこまで言われるとは。

藤田:たしか遼のときも、そういうふうに言われたんですよ(笑)、「藤田さんが言われるなら」って。でも、すごいものはすごいじゃないですか。自分たちの世代の選手が持っていないものを周吾は持っているなと感じます。

――例えばどういうところですか?

藤田:とくにアプローチですね。グリーンを少し外して、グリーンエッジからアプローチするときって、多くの日本人選手はパターを使うことが多いんですけど、彼はほぼウェッジを使うんですよ。芝が薄いから、イメージとしてはテーブルみたいな固さの地面からサンドウェッジでボールだけを拾って打たなきゃいけない。日本人選手ってそういうショットがあまり得意じゃないんですよ。

――それが、今平プロは上手いと。

藤田:自分なんかも打ち込んでいくタイプなんで、そういった固い地面からのウェッジショットはなかなか苦労したんですけど、周吾はそういうところからボールだけを打てる技術を持っている選手。そういう選手は海外の環境にも対応しやすいと思います。

――最後に、ツアーの開幕を待つファンの方々にメッセージをお願いします。

藤田:今はすべての人にとって非常に難しい時間だと思うんですよね。我々もやっぱりプレーしたいですし、その準備を一生懸命やっていきたいなと思うので、(開幕の)タイミングが来たら、ぜひ男子ツアーを見に来ていただきたいなと思います。

画像: 石川遼、松山英樹、今平周吾。藤田寛之が語る「コイツは違う」と感じた選手 www.youtube.com

石川遼、松山英樹、今平周吾。藤田寛之が語る「コイツは違う」と感じた選手

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