得意だと思っていたクラブこそ、問題があるのかもしれない
ときにゴルファーが想定していなかったセッティングの「穴」が見つかることもあるというゴルフ5のクラブフィッティング「総合診断」。その具体例を、ゴルフ5プレステージ新宿店の腕利きフィッター・山口凛さんに聞いた。
「ドライバーが引っかけばかり出るという悩みで来店されたお客さまだったのですが、その原因が実はドライバー以外のクラブにあることがフィッティングからわかりました。セッティングを見ると、ドライバーのスペックは適正だったんです」(山口)
そのゴルファーの来店動機はドライバーの買い換えだったが、「総合診断」で14本全体のスペックをチェックし、問題点をあぶり出したことで、意外な解決策が導き出されたのだという。
「適正スペックのドライバーが曲がる。これはもしかすると..….アイアンのスペックを確認してみたところ、ドライバーよりもかなり重くて明らかにハードスペック。これこそがドライバーが曲がる原因だと考えました」
結果、アイアンを軽くしたらドライバーの曲がりがなくなったのだという。ドライバー単独のフィッティングではたどり着けない、「総合診断」だからこそ見つかった盲点。少し詳しく見ていこう。
アイアンを軽くしたら、ドライバーの曲がりがなくなった
「ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後の方で、ヘッドはブリヂストンの『ツアーB JGR』。シャフトは純正のSRなので重さは50g台ですから、スペック的にはピッタリで、そんなに曲がるはずがないんです。ならばとアイアンのスペックを確認してみたところ、ダンロップのマッスルバック『スリクソンZ-Forged』に、シャフトは『ダイナミックゴールド』のS200が入っていました。これは明らかにハードスペックですから、こっちが原因だなとピンときました」(山口)
自己診断は「アイアンは曲がらないが、ドライバーがどうしても引っかかる」というものだったが、実際は重すぎるうえにつかまりにくいアイアンを無理矢理真っすぐ飛ぶように振っていたせいで、アイアンのフェースをクローズにさせていた。アイアンの後にドライバーを振るとアイアン同様フェースがクローズしてしまいひっかけばかり出るというのが実情だったのだ。
重くてつかまらないアイアンを曲げないように合わせて振っているから、アイアンの飛距離は出ない。ドライバーの飛距離やヘッドスピードと比べてアイアンが明らかに飛ばないのも、こういったケースの典型的な症状だという。
「問題点をていねいにご説明して、ドライバーはそのままにアイアンのフィッティングをしていただきました。結局ミズノの『ミズノプロ920』に軽量スチールシャフトの『ゼロス8(S)』を装着したものに買い替えていただくことになったのですが、急に軽くなったので試打室ではトップも出て心配だったようです。でもスペック的にはそれくらいが適正ですからすぐ慣れるので問題ないし、ドライバーのスイングに必ずいい影響があると私は確信していました」(山口)
「総合診断」×「腕利きフィッター」でスコアが変わる
なぜ「ミズノプロ」かにも理由がある。というのも、ドライバーが引っかかるのは、アイアンのライ角がフラットすぎたのも原因のひとつだと山口さんは分析していたのだ。
「重くてつかまりにくいアイアンを無理やりつかまえて打っていたので、その感覚でドライバーを振れば引っかけるのも当然です」(山口)
ミズノプロはライ角をピッタリ合わせられるカスタム対応クラブ。ニューアイアンはライ角も適正にして提案したというわけだ。
「クラブを新調していただいて数日後、そのお客さまからアイアンの飛距離が伸びたしドライバーの引っかけも出なくなったと、感謝の連絡がありました」(山口)
フィッター冥利に尽きる、ホッと胸を撫で下ろす瞬間だ。ただし、もちろん確信はあった。
「アイアンで無理をする必要がなくなればスイングが安定しますから、ドライバーも曲がらなくなります。アイアンはストロングロフトのモデルになったので、多分2番手以上は飛ぶようになったはずです。元々それが適正な飛距離だったんですが、『曲がらないから』という理由で合わないアイアンを使っていたため飛ばなかったし、ドライバーのスイングまでおかしくなっていたんですね」(山口)
セッティングの穴を見抜いた山口さんの慧眼と、セッティング全体をチェックできる総合診断の合わせ技。ゴルフ5の腕利きフィッターに14本すべてを任せれば、ゴルフの安定感が増すこと間違いなしだ。