いよいよ発売されたタイトリストのニューモデル「TSi」シリーズ。待望という言葉がぴったりのこのニューモデルはどんな進化を果たしたのか。TSi2とTSi3、2本のクラブをみんゴルでお馴染み、プロゴルファー・中村修がコースで試打を行った。
下目ヒットでもしっかりと飛ばせる!打点のズレにめっぽう強い「TSi2」
9月の初めに米国と欧州のツアーに投入されると、契約選手はもちろん、契約外の選手も手にするなど話題となったタイトリストのニューモデルTSiドライバー。日本ツアーでも使用者が増えており、今後もその人気が高まりそうだ。
2本のドライバーとトラックマンを持ち込み、ティグラウンドに立った中村プロ。早速、TSi2から試打を開始した。「投影面積が大きく、アドレスから“ミートできそう”な安心感が持てますね。フェースからクラウン後方まで長さがあるので、ボールをつかまえて押してくれそうなイメージも湧きます。けれど野暮ったい感じはなく、タイトリストらしく構えやすい」と、アドレスでは好印象を持った様子。
スウィングをすると軽いドローでフェアウェイをヒット。ヘッドスピード44.8m/sで、トータル飛距離268.1ヤードを記録した。「明らかに“初速が速い”と感じます。スウィングしてボールを追うタイミングって変わらないけど、これまでの感覚よりボールが先にいっています。初速をヘッドスピードで割ったミート率は「1.49」と極めて高い値を記録。飛距離も268ヤードと、このヘッドスピードで最大の飛びを実現しています」(中村)
試打を重ねるうちにミスへの強さも感じた中村プロ。特にフェースの上下の打点のズレに強いという。「やや打点がズレても、ナイスショットと遜色ない弾道とデータには驚きですね。ちょっとフェースの下目で打ったんですが、ヘッドスピード44.5m/sに対して飛距離は265.2ヤード。大きく初速が落ちずに、しっかりと飛んでいます」(中村)
通常、慣性モーメントはヘッドのトウ・ヒールに方向に対するものを表すが、タイトリストは上下、左右、前後とあらゆる方向の慣性モーメントを高めることによって、安定性を向上させている。結果、ミスに強く、ブレない弾道が打てるわけだ。
飛ぶだけじゃない、イメージ通りの弾道が打てる「TSi3」
続いて手にしたのはTSi3ドライバー。構えてみるとTSi2とは大きく印象が変わった。「伝統的な洋ナシ型で、逃げ顔。つかまりすぎない、叩いても吹けない、持ち球が打ちやすいとスキルのあるゴルファーが安心して構えられる形状です。TSi2と同じ460㎤のヘッド体積ですが、スッキリしているので、小ぶりにも見えます。PGAツアーの選手たちの多くがこちらのヘッドを選ぶ理由がわかります」と、その形状に納得の様子。
打ち放たれた弾道は、真っすぐ出て、落ち際でやや右に。フェード系が持ち球の中村のイメージ通りの弾道だ。「プロゴルファーが試合で使うとなると、ただ飛ぶだけじゃダメなんです。ホールのレイアウトに合わせて、狙ったところに、イメージした弾道で打てなければなりません。TSi3は、その要素が詰まっている。フェードやドロー、高さの打ち分けもしやすい。プレーヤーのフィリーングが活かせるヘッドです」(中村)
ヘッド後方には、5つの重心位置が選べる可変ウェイトが付き、さらなる弾道調整を可能にしている。「つかまり具合を調整できるので、狙った球が打ちやすくなりますね。ヒール寄りにすればつかまったドローが、トウ寄りにすれば引っかけやチーピンといった左へのミスが消せる。その日の体調に合わせて微調整してもいいと思います」。
TSi2とTSi3、同じフェースだけど音と打感が違う!
2つの新作ドライバーのフェースには、ゴルフ界では初採用となる「ATI425チタン」が使われている。航空宇宙の分野で採用されている強靭な金属だ。「どちらも同じフェース素材なんですが、打球音や打感には違いを感じました。TSi2はフェースの弾きを感じながらもコントロールできる、程よい感触。一方のTSi3は打感がやわらかく食いつくような、フェースに乗って押せる感じ。音もマイルドでプロ好みですね」(中村)
同じフェース素材を使う2つのドライバー。トラックマンでの計測結果もほとんど差がない結果となった。「TSi2はつかまりが良く、直進性の高いヘッド。上下左右の打点のミスにも強いから、シンプルにコースを攻めたい人にいい。加えて右へのミスを減らしたいスライサーにもお薦めです。一方のTSi3は、操作性が高くプロや上級者が好むヘッド。こう言うと難しいイメージを持たれるかもしれませんが、ヘッドに自分の意図する動きをさせやすいので、持ち球で攻めたい人、逆球が出て困っている人にもいい」と、2つのモデルのコンセプトを分析する。
オリジナルシャフトには重さの違う「TSP110 50」と「TSP322 55」をラインナップ。幅広いヘッドスピードのゴルファーに対応する。フェース素材を見直し、空力を極めたデザインで、新しいスピードを手にしたTSiシリーズ。試打リストから外せない1本だ。