「100切り」を目指し奮闘中のお笑い芸人、ずん・やすが、美女プロ・江澤亜弥のもとでゴルフ上達を目指しレッスン。大叩きをしてスコアを崩してしまうことが多い、距離の長いバンカーショットの打ち方を教えてもらう。
距離が長いバンカーショットはPWで打つ
江澤亜弥(以下江澤):バンカーからピンまでの距離が30ヤード。普通にサンドウェッジ(以下SW)のエクスプロージョンで打つとピンまでは届かない状況の場合、やすさんならどう打ちますか?
やす:う~ん、距離を出したいのでフォロースルーをしっかり出していかないといけないと思って打つんですけど、結果的にトップするみたいなことがよくありますね。
江澤:そういう光景、よく見ますよね。振り幅を大きくするとそれだけ打点がズレることが多くて、ミスが多くなります。そこで、こういうケースで私は番手を上げて打つようにしていて、30ヤードの距離だとピッチングウェッジ(以下PW)で打つことが多いですね。
やす:SWよりも飛ぶクラブで打つということですか。
江澤:そうです。打ち方はいつもと同じでも、ロフトが立っているのでランが出て30ヤードの距離が出るわけです。実は、PWというクラブ選択は渡邉彩香プロのやり方を倣っているんです。私が埼玉栄高校にいたとき、一つ学年が上だった渡邉先輩から「距離が長い時はコレ使えるよ」って教わって、それでけっこう使っているんです。
やす:でも、バンカーの形状によっては高さが必要な場合もありますよね? ロフトが立っていると難しくなってしまうんじゃないですか?
江澤:その通り。PWを使っていい条件は2つ、【1】バンカーからピンまでの距離が長くて、【2】バンカーのアゴ(土手)が低い場合です。こういう状況のときは、私はよくPWを使います。
やす:PWだと飛び過ぎないんですか。
江澤:これがですね、この30ヤードくらいのバンカーショットだと、ちょうど良い感じで飛ぶんですよ。
やす:58度と同じ振り幅でですか?
江澤:はい。58度のウェッジで打つとグリーン上でポンポンという感じで止まってしまうけど、PWだと落ちてからコロコロと転がってくれますよ。
構えは30ヤードのアプローチとほぼ同じ
江澤:構え方は、まずボールは真ん中にセットし、フェースを開いて構えます。ソール部分にあるバウンスを利用し、砂の爆発の勢いでボールを出すのがバンカーショットの基本になるので、フェースを開いてソールが砂に当たるように構えるわけです。
やす:なるほど。
江澤:フェースを開くとリーディングエッジが右方向を向くので、そのぶん、ボールを中心にして左(反時計回り)に回り込むようにして体をオープンにセットしていきます。こうするとフェースを開いても、リーディングエッジがピン方向を向くアドレスを作ることができます。どのくらいオープンに構えるかはフェースの開き度合いによりますが、PWの場合は通常のSWのバンカーショットの開き方よりも少ないので、スタンスをオープンにする度合いもやや少なくなってきます。
やす:クラブが違うぶん、構えも微調整が必要なんですね。
江澤:スタンスが決まったら、ポスチャーですが、これもアプローチのときと同様に、まず右手からセットアップに入ります。右手でフェースを開いて構えながら右わきや右ひじを固めます。そしてこの固めたポジションを変えずにバックスウィングを上げていき、そのままトップからは上からドンとクラブを下ろしていくだけです。そうすると入射角度がブレすに打点が安定するのでミスが出ないんですよ。
やす:「再現性が高いスウィング」っていうやつですね。ゴルフダイジェストの記事によく出てくるワードです。
江澤:大事なことですね(笑)。だから、右手の構え方とかは30ヤードのアプローチとほぼ一緒ですよね。
やす:アプローチの“江澤式“は、私、ほぼマスターしていますから安心しました。
江澤:打ち方は、スタンスの方向に向けて上からドスンとクラブを振っていきます。そうするとリーディングエッジの方向、つまりピンに向かって球が飛んで行きます。
やす:いわゆるカット打ちというやつですね。
江澤:体をオープンにして構えると、ピンに対しては左を向いているので、意識として右に打ち出していきたくなりますが、右に打とうとするとクラブが下から入ってきてダフッたりトップをするミスが出やすくなるので、しっかりスタンスに沿って振るというのを意識してください。
打つ前に、バンカーの外で素振りでイメージを作っておこう!
江澤:バンカー内は砂に触れることができないので、しっかりバンカー横のラフとかで、素振りでイメージを出してから入るようにしましょう。
――江澤に倣い素振りをするやす。それを見て江澤が指摘する。
江澤:やすさん、バックスウィングでクラブをインサイドに引き過ぎですね。アプローチのときは右ひじが体にくっついたままスウィングできていたのに、バンカーショットになると右わきが空いてインサイドにクラブを引こうとしています。これはピン方向に打ちたい気持ちの現れです。そうじゃなく、あくまで振っていくのはスタンスに沿ったラインなので、そのためにも右わきを開けずにスウィングをしてくださいね。
やす:なるほど。そういうことを事前にチェックしてからバンカーに入るわけですね。でも、何でインサイドに引いちゃいけないんですか?
江澤:バンカーショットはクラブを鋭角に入れて打点のズレを少なくしていきたいんです。でも、インサイドに引くとダウンでクラブが寝てくるので、どうしてもボールの手前で砂にヘッドが食われたりしてミスが出やすいんです。
やす:なるほど。でも、スタンスに沿って打つイメージが出にくい場合はどうしたらいいんですかね。
江澤:手をスタンスに沿って振るというよりも、ヘッドをスタンスに沿って真っすぐに上げて下ろすイメージで打ってみてください。その場合、バックスウィングで、ちょっとコックを入れる感じでやってみると感じが出やすくなります。言い忘れましたけど、コックを入れたほうがバンカーは打ちやすいです。
やす:早く言ってくださいよ(笑)。じゃあ、打ってみます。
――江澤のレッスンを実践し、見事やすはPWでバンカーを脱出しつつ、ピン付近まで寄せることに成功!
やす:こういうショットを打ちたいと思っていたんですよ! 江澤プロ、ありがとうございます!
TEXT&PHOTO/古屋雅章 取材協力/千葉よみうりカントリークラブ