飛ばしを抑えるルール改正でバックスピンは悪者イメージに

今はゴルフボールもドライバーも、飛ばしのポイントに必ず“ロースピン化“を挙げる。なぜなら、さらに最大飛距離を伸ばすためには、“無駄なスピンを減らす”ほうがいいからである。度重なるルール改正によって、大きく改善できる余地がバックスピン量の調整くらいしかなくなってきたのだ。

ボールを効率よく遠くに飛ばすためには、飛びの三要素といわれるインパクト直後の打ち出し条件を整えることが肝心である。

(1)ボール初速の向上
(2)打ち出し角度の適正化
(3)バックスピン量の適正化

この3つが整えば、ゴルファーそれぞれの最大飛距離が生み出せるというわけである。もとよりゴルフボールの初速性能についてはルールで上限が定められており、ドライバーヘッドの反発係数も2008年に上限を設定。現状はそのルール内での最高反発をよりフェースの広範囲で発揮させようというのが開発の基本だ。打ち出し角度についてはロフト次第で高くも低くもなるが、高打ち出しを狙いハイロフトにすると、同時にバックスピンも増えてしまう。つまり、バックスピンの適正化が達成できなくなってしまう、そこに開発の難しさがあるわけだ。

しかし、難問だからこそ、立ち向かうメリットがある。その二律背反の克服こそが飛距離を伸ばす“余地“だからだ。そこでゴルフボールもロングショットでの低スピン化を目指して進み、クラブ側でもよくたわむフェースと低重心&浅重心設計によって、バックスピンを減らすことに成功したのである。

ハイロフトでもバックスピンが増えなくなった。ダスティン・ジョンソンが10.5度表記(実質11度)のドライバーで350ヤード以上打っていっているのがその証しである。

ボールを遠くに飛ばすためには、無駄なスピンは要らない。それがゴルフ界の不文律になって10年以上の時が経ったが、いつのまにか我々の中にはバックスピンが多いのは“いけないこと”、そんな価値観が育っているような気がしてならない。バックスピンが多ければ「吹き上がる」、「風に弱い」、「大きく曲がる」、そんなことばかり考えるようになってはいないだろうか?

スリクソンが“めくれる”Z-STAR♦︎をテスト販売!

かなり前置きが長くなったが、そんなロースピン時代にあってスリクソンから来年2月に発売される予定の『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』というゴルフボールに関心を寄せずにはいられなかった。なにしろこのボールは「アイアンショットでもっとスピンをかけられるボールが欲しい」というプレーヤーニーズを受けて開発されたというのだ。スピンを減らすのではなく、“増やしたい!”。久々に聞いた新製品の開発背景だった。

画像: アイアンショット時のバックスピン増を狙って開発されたスリクソン『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』

アイアンショット時のバックスピン増を狙って開発されたスリクソン『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』

2000年以降、ツアープレーヤーが使うボールはすべてソリッドコアボールとなり、それまでの糸巻き構造ボールは市場から姿を消した。ソリッドコア構造は、設計的な自由度を高めるとともに製造精度を大きく向上させた。そしてフルショット時の低スピン化も“外剛内柔”と呼ばれる、中心ほど柔らかく作られたソリッドコアの進化によるところが大きいのである。

現在では、ドライバーショットだけではなくアイアンのスピン量にも研究が広がり、ミドルアイアンにおいてもロースピン化を促進したほうが、風の影響を受けにくくショットの安定性が高まると発表するボールブランドもあるほど、基本的にはフルショットの面ではロースピン路線が続いている。しかし、今回の『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』の発表によって、アイアンショットのバックスピンを増やしたがっているPGAプレーヤーも少なからずいる、ということが確認できた。これは非常に大切な事実だと個人的には思う。

画像: 新開発0.6ミリ薄肉ウレタンカバーと次世代Spin Skinコーティングwith SeRM、そして硬めのコンプレッションによりアイアンでのバックスピン増を達成

新開発0.6ミリ薄肉ウレタンカバーと次世代Spin Skinコーティングwith SeRM、そして硬めのコンプレッションによりアイアンでのバックスピン増を達成

ここまで連々と書いてきたように、ロースピン化が進んできた最も大きな理由は、最大飛距離をアップさせることである。しかし、ゴルフの本質は狙ったエリアに正しくボールを止めること。とくにアイアン、ウェッジではそれがマストとなる。そのために「もっとバックスピンを増やしたい」というプレーヤーが現れた、ということなのだ。ゴルフは飛べばいいわけじゃないぞ。そういう声をトッププレーヤーがあげ始めたのである。

スリクソン『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』を使用したプレーヤーのコメントは下記のとおり。

「アイアンショットでもしっかりスピンがかかる。このボールなら全英オープンのような硬いグリーンでもしっかりピンを狙っていける」(シェーン・ローリー)

「ミドル、ロングアイアンで打った時に低く打ち出されて、最高点に向かってめくれていくような弾道。スピンの多さを感じます。ドローやフェードの打ち分けもしやすいです」(星野陸也)

ボールがめくれる、球筋の打ち分け。久々に聞いたプロのボールに対する使用感である。どちらもロースピン状態では達成できない、昔ながらのプロ弾道である。最大飛距離を一度横に置いてみれば、ゴルフゲームの本質は何も変わっていないということに気づくのではないだろうか?

画像: 2021年2月にフルモデルチェンジするNEWスリクソンZ-STARシリーズ。『Z-STAR』と『Z-STAR XV』ではもちろん飛距離を進化させて新登場。『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』はあくまでもテスト販売という位置づけだ

2021年2月にフルモデルチェンジするNEWスリクソンZ-STARシリーズ。『Z-STAR』と『Z-STAR XV』ではもちろん飛距離を進化させて新登場。『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』はあくまでもテスト販売という位置づけだ

スリクソン『Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』は、2021年2月5日から数量限定で“テスト販売”される予定である。狙い打ちできるゴルフボールが“テスト”というところが、飛距離至上主義のゴルフ界の今を表しているようでアレだが、ようやくこの種の“選択肢”が出てきたことは、これからのゴルフライフにとって、とてもいい傾向だと思われる。飛距離重視の従来ボールとともに“選べる”メイン球に育ってくれたらいいなと思う。

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