国内女子ツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の2日目を終え、首位の原英莉花から2打差の2位タイにつけている渋野日向子。今季、思うような結果が出せずに苦しんだ時期を渋野は抜けつつあるのか。プロゴルファー・中村修がレポート。

自信を取り戻してきた

ひと言で言えば自信を取り戻してきた、そういう印象をここ最近の渋野選手を感じます。今季を振り返ると、昨シーズンに見つけた課題を克服すべく取り組む中で、技術の幅を広げればその副作用でショットが安定しない、アプローチが寄せられない、パッティングが入らない。調子の良かった昨年に戻りたいというメンタル面での葛藤もあり、悪循環に陥っていました。

しかし、もつれた糸をほどくように一つずつ課題に取り組んできた結果、「TOTOジャパンクラシック」ではパーオン率が85.1%とショットが復調。翌週の「伊藤園レディス」でもパーオン率は79.6%と好調を維持していましたが、パット数は3日間平均31パットとまだ多く、ショットとパットが噛み合っていませんでした。

渋野選手が自信を取り戻すきっかけとなったのは、昨年優勝した「エリエールレディスオープン」の最終日に5アンダーと追い上げ5位タイでフィニッシュしたことでした。4日間の平均パットは29と1日に2打改善されたことで4日間では大きな差となって現れました。1日にたった2パットの差ですが、4日間では8打の違いとなります。

画像: 首位と2打差の2位タイで残り2日間に臨む渋野日向子(写真は2020年の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」 写真/岡沢裕行)

首位と2打差の2位タイで残り2日間に臨む渋野日向子(写真は2020年の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」 写真/岡沢裕行)

努力と結果が反比例する状態を脱し、ひとつひとつ取り組んできたことが5位タイという結果につながったことで、プレー中の気持ちの余裕も生まれ、本来の渋野日向子のゴルフを取り戻しつつあります。開催前日のインタビューでは「ゴルフのストレスはゴルフでしか解消できない」と語っていましたが、それは本心なのだと思います。それくらい、エリエールレディス最終日のプレーが良薬になったのです。

「リコーカップ」初日のプレー後、報道陣に問われて、「1カ月前は去年の自分に戻りたいって思っていました」と語った渋野選手。続けて、「これからまた作り上げていくっていうとらえ方に変わってきた」と心境の変化を言葉にしていました。

どちらが先ということではないのでしょうが、自信を取り戻したことで考え方も変わり、考え方が変わったことでショットに集中し試合を楽しめるようになってきているんだな、と強く感じました。「今週は1日3アンダーが目標」という目標よりも1打少ないスコアでプレーした2日間を終え、残り2日間どんなプレーを見せてくれるのか、楽しみな週末になりそうです。

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