開催中のPGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」ではダスティン・ジョンソンやコリン・モリカワらがすでにテーラーメイド未発表のSIM2シリーズを投入しているが、2021年はどんなゴルフギアがトレンドとなるのか、トレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが予想した。

コロナ禍で世間はかまびすしいが、ゴルフ場やゴルフショップは盛況だ。ゴルフがコロナに強いレジャーとして幅広く認知されてきたからだろう。これから2021年の新製品が、各メーカーから続々と発表になるだろうが、その前に今年のゴルフギアのトレンドを大胆に予想してみたい。

昨年はピン「G410」が引き続きヒットし、新製品の「G425」は記録的な売上となったが、テーラーメイドの「SIM」もそれに追随するほどよく売れた。キャロウェイの「マーベリック」も堅調で、プロの使用率も高かった。さらに、秋に発売されたタイトリストの新製品「TSi」も非常に人気になっている。

画像: 左上から時計回りでPINGG425、テーラーメイドSIM、タイトリストTSi3、キャロウェイマーベリック

左上から時計回りでPINGG425、テーラーメイドSIM、タイトリストTSi3、キャロウェイマーベリック

海外メーカーの人気が高く、国内のメーカーはやや押されがちになっているが、2021年はさらにその傾向が強まるのではないだろうか。グローバルで展開するこれらのメーカーと異なり、規模の面で国内メーカーはなかなか対抗できていないのが実情だ。

直近ではスリクソン「ZX5」やブリヂストン「TOURB 201CB」アイアンなど、スマッシュヒットが出ていたりもするので、国内メーカーならではの優れた機能で対抗していってほしいものだ。

ドライバーでは、昨年コブラの「スピードゾーン」や本間の「TR 20」のように、ボディをフレーム化したドライバーが登場した。骨組みのような外郭にカーボン素材やウェイトを大胆に搭載するこうした構造は、おそらく、他のメーカーからも追随するモデルが出るのではないだろうか。ヘッド体積は460ccで変わらずとも、これまで以上に大胆な構造を採用することで、今までにない重量配分が可能になり、性能向上も期待できる。2021年はこの構造がさらに流行するだろう。

そして、すでにその兆候はあるのだが極太グリップの人気が高くなるかもしれない。これはYouTubeなどで推奨する専門家が増えたことも理由だが、なんといってもブライソン・デシャンボーの人気によるところが大きいだろう。デシャンボーは、長尺シャフトへの挑戦も表明しており、極太グリップと長尺に挑戦するゴルファーが増えるのではないだろうか。

画像: ブライソン・デシャンボーは「Jumbomax」という極太グリップを使用している(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

ブライソン・デシャンボーは「Jumbomax」という極太グリップを使用している(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

こうした話をすると、98年から99年位にかけて起きた長尺ブームを思い出す人もいるだろう。あの頃は、48インチ長尺シャフトを打ちこなせる人がなかなかおらず、ブームはすぐに廃れてしまった。しかし、現在は当時のヘッド体積300cc前後から、劇的に大きくなっている。シャフトは軽量でも長く硬くすることが可能になり、振り遅れることも少なくなった。長尺シャフトを打ちこなせる下地は以前よりもずっと整ったと言えるのだ。極太グリップは、長尺化したクラブを操作する手助けにもなるだろう。

パターでは、一時のような奇抜なアイディアや形状を持ったモデルが少なくなり、改めてオーソドックスなモデルが増えてきたように思う。昨年もっとも売れたパターは、ピンの「シグマG」でアンサー型の形状だった。2021年は斬新なアイディアが出現するというよりも、これまでのアイディアを組み合わせるものが増えるのではないだろうか。たとえば、テーラーメイドだと、定番の「スパイダー」に昨年スマッシュヒットした「トラス」のネックを採用したモデルなど、いかにも登場しそうだがどうだろうか。

画像: ネック部分を三角形の構造とすることで、構えた見た目はオーソドックスながらマレット的な直進性も併せ持つテーラーメイドの「トラス」(写真/三木崇徳)

ネック部分を三角形の構造とすることで、構えた見た目はオーソドックスながらマレット的な直進性も併せ持つテーラーメイドの「トラス」(写真/三木崇徳)

FW、ユーティリティ、アイアンは、近年の過度な飛距離追求の傾向に、少し歯止めがかかるのではないかと思う。本来、グリーンを狙うために使用するこれらのクラブは、単に飛べばよいわけではなく、グリーンに止まる弾道で、なおかつコントロール性が求められるためだ。

とくにプロは飛距離よりもそうした操作性を求めるため、プロモデルを中心に既にそうした揺り戻しが起きつつある。低スピンで飛ばすモデルだけでなく、しっかりとスピンが入ってボールをコントロールできるクラブ、アイアンであればロフトを少し寝かせてストロングロフト化に歯止めをかけるモデルも登場してくるだろう。

最近のゴルフ界のトレンドといえば、なんといっても若年層のゴルファーが増えたことだ。さらに若い人がゴルフを始めてほしいという思いを込めて、初心者向けや若者向けクラブのラインナップが増えると予測したい。夏秋にかけて、ゴルフショップの初心者向けフルセットは売り切れが相次いだという。2021年は初心者向けでも、体力別や予算別などでラインナップが増えるだろう。デザインは豊富になり、外観がプロモデルに似た本格派の風貌のクラブが登場するかもしれない。

最後にもう一つ。今年行われる予定の世界的なスポーツイベントの関連グッズが登場するということだ。世界中で新型コロナウィルスの深刻な影響があるなか、予定通り開催されるかどうかは正直予測不能だが、公式関連グッズの他、何となくそれをイメージさせるカラーリングや、日本をテーマにデザインしたゴルフギアが多数登場するだろう。先行きの見えない中、おそるおそる製品を企画しているメーカーのことを考えると、なんとも寒々しい気持ちになってしまいそうだ。

※一部訂正いたしました(2021.01.10 20:00)

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