8月4日から4日間の予定で開催される東京オリンピック女子ゴルフ。日本代表に選出された畑岡奈紗のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

7月初旬の米女子ツアーで優勝。調子を上げていざオリンピックへ

6月の「全米女子オープン」で笹生優花選手とプレーオフの末あと一歩のところで惜敗した畑岡選手ですが、1か月後の今月初旬に開催された「マラソンクラシック」で2位に6打差をつけて優勝を手にしています。そのゴルフは「全米女子オープン」のときよりも、ショットの正確性、パッティングも一段レベルの高いものに仕上がっていました。とくにアイアンでの縦の距離感が抜群でピンに絡めるショットを連発しバーディチャンスを量産し、パットも決めていました。

コーチのゲーリー・ギルクリストのもとでアドバイスをもらいながら練習をしたそうですが、レッドベターの元で研鑽を積んだ彼は、アリヤ・ジュタヌガーンやフォン・シャンシャンなどトッププレーヤーのコーチとしても有名です。フェースをシャットに使わず少し開いて上げ体の回転とクラブを同調させるスウィングでヤニ・ツェンを世界1位に導いた経歴からも畑岡選手のスウィングとも相性がよかったのだ思います。

画像: 7月のマラソンクラシックで米ツアー通算4勝目を挙げ東京オリンピック女子ゴルフに臨む畑岡奈紗(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

7月のマラソンクラシックで米ツアー通算4勝目を挙げ東京オリンピック女子ゴルフに臨む畑岡奈紗(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

画像は「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」のものですが、この後にもギルクリストの元を訪れブラッシュアップしたことで、ショットの精度が格段に上がりマラソンクラシックでの優勝へとつながりました。スウィングを詳しく見ていきましょう。

用意した連続写真はユーティリティでのティショットですが、画像A左を見るとオーソドックスなスクェアグリップで握る安定感のあるアドレスから(左)、右のトップでのフェースの向きはリーディングエッジが45度程度傾いたスクェアにおさまっていることが見て取れます。トップでフェースの向きが空を向く使い方とは違って体の回転に合わせてフェースを開閉するタイプのスウィングです。

画像: 画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り足裏全体で地面を踏みしめるよう奈安定したアドレス(左)からトップではフェースをスクェアに保つ(右)(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り足裏全体で地面を踏みしめるよう奈安定したアドレス(左)からトップではフェースをスクェアに保つ(右)(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

画像Bは切り返しからインパクトにかけて。まず画像B左の切り返しで体が沈み込み、画像B右のインパクトでジャンプする動きが見て取れます。縦方向の力を回転力に変換しヘッドスピードを上げるこの動作は、飛距離を出すためには理にかなった動きです。距離の調節はジャンプする力加減で行いますので、距離を抑えて打つショットではジャンプの度合いは少なくなります。

画像: 画像B 切り返しから沈み込み(左)縦方向の力を回転力に変換しヘッドスピードを上げる(右)(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

画像B 切り返しから沈み込み(左)縦方向の力を回転力に変換しヘッドスピードを上げる(右)(写真は2021年のKPMG全米女子プロゴルフ選手権 写真/KJR)

優勝した「マラソンクラシック」では、この縦方向の力の使い方が静かになっていた印象で、そのことでショットの精度が向上したように感じました。コーチのゲーリー・ギルクリストを知る吉田洋一郎プロによると、選手の持つポテンシャルを引き出し、自信を持たせることが上手なコーチだといいますが、畑岡選手の持ち味であるアイアンの縦距離が抜群に合っていたので、大きくて起伏のあるグリーンの霞が関CC東コースでもその力を存分に発揮してくれることと思います。

米ツアー4勝目を挙げた直後のタイミングで東京オリンピックに出場する畑岡選手。同じく代表に選ばれた稲見萌寧選手の調子も上がってきていますので、8月4日からの女子ゴルフ競技から目が離せなくなりそうです。

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