女子プロは男子アマチュアとヘッドスピードが大体同じくらい。だからこそ、男子アマは女子プロのクラブセッティングやスペック選びを参考にすべき……とはよく言われること。果たしてその考えは妥当なのか? ギアライター高梨祥明が改めてスペック選びについて考えた。

果たして効率の良い女子プロと“もったいない”一般男性は同じなのか

ゴルフクラブはヘッドスピード(ドライバーの)別に設計されていることが多い。一般アマ向けのモデルではヘッドスピード40m/s前後をターゲットにすることが多いだろうか。

さて、このヘッドスピードだが、これは簡単に言えば計測機器によって示されるインパクトエリアでのクラブスピードのことだ。飛距離の出るPGAツアープレーヤーではこれが55m/sを超え、平均的な男子プロでも46m/s〜48m/sは出る。女子プロになると飛ぶ人は46m/s超え、平均的には40〜43m/s、それ以下のプレーヤーもいるような感じだろう。一般男性のヘッドスピードは、ちょうど女子プロのスピード領域に当てはまるため「真似るなら女子プロスペック!」という話になりやすいのだと思う。

画像: 体格を生かせずエネルギーロスの多い”もったいないスウィング”にクラブを合わせず効率的なスウィングを目指すほうが手っ取り速いとギアライター高梨祥明はいう

体格を生かせずエネルギーロスの多い”もったいないスウィング”にクラブを合わせず効率的なスウィングを目指すほうが手っ取り速いとギアライター高梨祥明はいう

個人的には「女子プロ=効率のよいゴルファー」、「一般男性=効率のよくないゴルファー」というイメージを持っているため、“結果的なヘッドスピード”が同じだからと言って安易に真似ていいものだろうか? と思ってしまうが、スウィング矯正を伴わないクラブフィッティングの場合、現状のスピードに合わせ最適を判断していくのが順当なやり方なのだと思う。ヘッドスピード別のクラブ開発も同じである。

効率のよいゴルファーとは、エネルギーロスが少ないスウィングとインパクトを実現できている、“上手い人”のこと。自分の生み出せるパワーを効率よくボールに伝えられる人である。効率の悪いゴルファーは、その逆。自己のパワーに見合ったクラブスピードを出せておらず、さらにインパクトでもミスヒットをしてしまうため、大きなロスを発生させてしまう。パワーがあるのにいまいち飛ばせていない、“もったいない人”のことだ。

“もったいない人”とは、効率さえよくなれば、もっとクラブを速く振れ、もっと遠くにボールを飛ばせる可能性を秘めた伸び代満点の人のこと。その観点でみれば、多くの一般男性のほとんどが “もったいない人”であり、効率を高めていけば男子プロ(同年代の)に近づいていける資質を備えているといえる。

クラブの仕事はロスを抑えること飛ばすチカラは自分の中にある

最新のドライバーは広域反発フェースを採用したり、低スピン化を促進したり、慣性モーメントを高めることによってボールを遠くに飛ばすことに成功しているが、これもエネルギーロスを最小限に抑えることで、効率よくボールを飛ばすためのテクノロジーである。マイナスを減らすことで、結果的にプラスを生み出しているわけだ。

最新と言えども、ゴルフクラブにエンジンは付いていない。クラブを変えることで飛距離が伸びたならば、それはエネルギーロスが減ったことで本来、自分が飛ばせるはずの距離に近づけたということだ。あくまでもその距離にボールを飛ばすチカラは自分の中にあったということである。それを引き出すのがクラブフィッティングであり、合ったクラブということになる。

アマチュアゴルファーの多くが“もったいない人”であるならば、自分のスウィング効率を高めていくほうが、飛ばすにしろ、スコアアップするにしろ、実は“手っ取り早い”はずである。クラブだけのチカラで20ヤード飛距離を伸ばし、なおかつフェアウェイに収めていくのは非常に困難だ。

一般男性がレッスンなどに通い、女子プロのようなスウィング効率を手に入れ、なおかつヘッドスピードが同じであれば、彼女たちが結果を出しているクラブスペックを参考にしてもよいのかもしれないが、実際、それもなかなか難しいだろう。

クラブスペックとして参考にするならば、同年代の男子プロのほうが適しているかもしれない。効率のよいスウィングを目指すならば、パワーに合った重さのクラブを選んだ方がよいからだ。スウィングは、クラブが作るもの。スピードを落として打たなければうまく当たらないクラブを手にしてしまえば、そのスピードしか出せなくなってしまうのが人間である。

写真/三木崇徳

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