ポケキャビとは思えない外見と打感の「ミズノプロ223」
試打は太平洋クラブ八千代コース(千葉県八千代市)で行なった。まずはトラックマンを使ってそれぞれのデータを計測。中村が最初に手にとったのは、打感と飛距離をバランスよく融合した「ミズノプロ223」だ。「今までのハーフキャビティに比べてメチャかっこいいですね。しかも、ハーフキャビティに見えて内部の構造はポケキャビ。言われなかったら全然わからない」(中村)

コンパクトサイズながら飛びとやさしさ、さらには操作性をも身につけた優等生
ボールを打った感想を聞くと、「打感もポケキャビとは思えない」という。「ポケキャビは普通、打感が悪くなるじゃないですか。でもこれは、マッスルバックの柔らかさだけじゃなくて、クロモリの絶妙な弾き感もある。音もいいですね」(中村)
クロモリとは、4番から7番までに用いられたヘッド素材のクロムモリブデン鋼。高強度のためフェースの薄肉化が可能になり、高い反発力を発揮する。

クロモリならではの高い反発力を有しながらマッスル並みの打感を実現
計測データの中で、中村は「キャリー168.2ヤード」「スピン量5260回転/分」「降下角46.6度」に注目。「私のドライバーのヘッドスピード(HS)は46メートル/秒ですが、7番でこれだけ飛んでくれるとラクですね。HSを42〜43メートル/秒に落として振ってもキャリーは150ヤードは出ます。インパクトの当たりが厚く、しっかりスピンのかかる感じのヘッドの入り方、抜け方です。実際にスピン量も多いし、降下角(ボールの落下角度)が45度以上あれば、十分にグリーンで止まってくれます」(中村)
<中村プロによる試打データ>
・クラブスピード 37.1メートル/秒
・ボールスピード 52.8メートル/秒
・ミート率 1.42
・打ち出し角 17.3度
・スピン量 5260回転/分
・キャリー 168.2ヤード
・トータル 177.0ヤード
・最高到達点 30.5ヤード
・降下角 46.6度
※明らかなミスショットを除く5球の平均値を算出(以下同じ)
「フェースがちょっと大きいから、構えたときの安心感がある。マッスルバックに比べてスウィートエリアが広いので、ミスしたときの寛容性、直進性とコントロール性を持ち合わせています。また、打点を外しても柔らかい打感は変わりません」(中村)

中村はポケキャビとは思えない「223」のかっこよさに一目惚れ
ターゲットゴルファーは「ゴルフを楽しみつつ、ベストスコアを更新したい人。弾道をコントロールして低い球やドロー・フェードの打ち分けもしやすいです」(中村)
とにかく飛んで曲がらない!直進性の高い「ミズノプロ225」
続いては、ミズノ鍛造アイアン史上最高反発を実現した「ミズノプロ225」。8番までは中空、9番以下は半中空構造を採用している。

まるでマッスルバックアイアンのような「225」(写真右)。完全ブレードタイプの「221」(写真左上)とフォルムがよく似ている
「ロフトも30度だし、ちょい飛び系ですね(「223」は32度)。中空はウッドっぽい感触で、細かい距離の打ち分けも難しいんですが……」という前置きを覆す結果が出た

中空構造の「225」にウッドのような打感を予想した中村だが...
「中空なのに、中が詰まっているような感触です! これはアイアンにとって重要なポイントで、打感・打音のフィードバックがあると距離の打ち分けがしやすいんです。打感のよさは、223もそうですが、フェースネック一体成型というミズノ独自のグレインフローフォージドも効いているんでしょうね。スパン! と抜けがいいし、音も『カキーン』じゃなくて柔らかいです」(中村)
<中村プロによる試打データ>
・クラブスピード 37.6メートル/秒
・ボールスピード 52.9メートル/秒
・ミート率 1.41
・打ち出し角 16.1度
・スピン量 5015回転/分
・キャリー 169.8ヤード
・トータル 180.1ヤード
・最高到達点 28.3ヤード
・降下角 44.4度
「中空効果で飛んでいるし、スピンもきっちりと入っています。降下角もほぼ45度あります。飛びもそうですが、とにかく曲がらないのに驚きました。芯を外しても打感は変わらないので、スウィートエリアが広いんでしょうね。ちょっとオーバーサイズで寛容性が増して、ミスヒットにより強い。飛距離と方向性が得られるので、スコアにつながりやすいアイアンです」(中村)

飛びはもちろん直進性が高くスピンもしっかり。実戦で役に立ってくれるアイアンだ
ターゲットゴルファーに関してこう話す。「打点がズレてもある程度の飛距離がほしい人。弾きが強く、球離れが早いので、コントロール性よりも直進性を重視する人にもおすすめです」(中村)
球を操って攻めたいゴルファーが選ぶ「ミズノプロ221」
最後は、シリーズ最高の打感を追求した本格派マッスルバックの「ミズノプロ221」だ。「ミラー仕上げで、キャディバッグに入っているだけで存在感がありますね。『MizunoPro』の伝統のロゴ、書体も懐かしくて、25年くらい前にミズノのアイアンを使っていたのを思い出しました」(中村)

「221」はこれぞミズノの真骨頂といえる軟鉄鍛造アイアンだ
ロフトはさらに多い34度とあって、飛距離面では前2モデルに差をつけられた。一方、打ち出し角やスピン量、最高到達点、降下角は最多を示し、ピンを狙う精度の高さを見せつけた。
<中村プロによる試打データ>
・クラブスピード 36.9メートル/秒
・ボールスピード 51.1メートル/秒
・ミート率 1.39
・打ち出し角 19.6度
・スピン量 5828回転/分
・キャリー 158.3ヤード
・トータル 165.0ヤード
・最高到達点 32.2ヤード
・降下角 49.1度
打感でも2モデルを凌いだ。「めちゃくちゃ球が吸い付いてくる! 打っていくごとに、ターゲットに向けて押し込む感覚がだんだん強く出てきます。スピンも、かけようと思えばいくらでもかかりそう。距離の打ち分けも、『普段のキャリーは158ヤードだけど、風に当てて154ヤードに落として打とう』と思ったときに、打感の重さや感覚のフィードバックがあるとイメージできるんです。アイアンは距離じゃない。それよりも操って攻める意識のほうが強い人にとっては、言うことを聞いてくれるクラブです。コントロール性能が非常に高いから、風やピンポジに応じて球を操りながら、あるときは攻める、またあるときはセーフティに、というメリハリつけたマネジメントが自在です」(中村)

打感にこだわり、弾道をコントロールしてピンを狙うのなら「221」だ
ターゲットゴルファーは、「よりレベルの高いゴルフを目指すアスリート。打点のバラツキが少なく、感触を楽しみながらゴルフしたい人に」(中村)
同条件で打ち比べると3モデルの性能がさらにハッキリ
最後に3モデルを同じ場所から打ち比べて、それぞれの性能の違いを比べてみた。グリーンエッジまで170ヤードのやや打ち下ろしという状況だ。飛距離の出る順ということで、まずは「225」から。手前から十数ヤードに切られたカップまで、距離は十分に届いている。
「打感は柔らかいし、高さも出るし、フォローだけど止まります。ミスショットで、ちょっと薄い当たりだけどピン横まで行きました。下めのヒットにも強いので、打ち込む意識はいりません。芝の接地面積が少なく、非常に抜けがいいですね」(中村)

飛距離では「225」。トップ気味の当たりにも強さを発揮
続いて打った「223」も次々にグリーンをとらえた。「高い球で、距離はけっこう出ています。ちょっとダフっても行ってくれますね。今までの、ヘッドを削ってハーフキャビティにしたものよりも球の強さはあるし、ポケキャビにしては音も全然いい。スピンをかけてボールコントロールもやりやすいです。バウンスがあるから、少し上からヘッドが入っても深く入りすぎません」(中村)

3モデルを打ち比べて、中村は「223」に極めて高い総合性能を感じた
「221」ではさすがにグリーンオンは厳しかったが、中村の評価は高かった。「これは抜けのよさというか、スパッ!とシャープな切れ味が魅力です。マッスルバックだけど、そんなにめちゃくちゃ難しいってほどではない。それなりにつかまります。芯を外すと打感が変わって手に感触がくるけど、マッスルバックの中では最小限レベルで、イヤな感じではありません」(中村)

アイアンに何を求めるか。3モデルはその要望にしっかりと応えてくれる
どれも見た目はかっこいい鍛造アイアンだが、その中身は三者三様。これに加えて「ミズノプロ」にはドライビングアイアンの「FLI-HI(フライハイ)」もラインナップされており、グリーンを狙う武器が豊富にそろっている。

ブラックイオンプレーティングされた「FLI-HI」。高強度マレージング鋼で高初速化が図られている
レベルやプレースタイルに応じた、あなたにベストの「ミズノプロ」を見つけていただきたい。