USGAとR&Aがクラブの長さを46インチ以下(パターを除く)に制限するモデルルールを発表。2022年1月から各大会、ツアーがローカルルールとして採用できるようになった。「46インチ規制」によってゴルフ界はどう変わるのか?

とどまることなく伸び続けるトッププロたちの飛距離。それに歯止めをかけるべく発表されたプロゴルフ及びトップアマチュアの公式競技における「46インチ規制」。一般のエンジョイゴルファーにはほぼ関係ないルールだが、果たしてこの新ルールは世界のゴルフ界にどんな影響を与えるのか?

ツアー9勝・佐藤信人は言う。

「ボールを遠くに飛ばすのはゴルフの醍醐味で楽しみのひとつ。ただ一方で規制をかけないと飛距離が伸びたことによってコース改造が必要になり、それが追いつかなくなるのも事実。アメリカにはいいコースが沢山あるのに、距離の面でトーナメントコースとして使えなくなってしまいますし、クラブの長さを制限することにしたのはコースを維持するためにのひとつの方法だと思います」

画像: 47.75インチの長尺ドライバーでメジャー制覇したフィル・ミケルソン(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

47.75インチの長尺ドライバーでメジャー制覇したフィル・ミケルソン(写真は2019年のシュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープン 撮影/姉崎正)

46インチ規制と聞いて、頭に浮かぶ選手が2人いる。それはフィル・ミケルソンとブライソン・デシャンボーだ。47.75インチの長尺ドライバーでメジャー最年長優勝を果たしたミケルソン、さらなる飛距離アップを目指して長尺ドライバーをテストしていたデシャンボー。彼らにはどんな影響があるのだろうか?

「大きな影響はないと思いますが、長さを活かして飛距離を手に入れた選手はひとつ選択肢が減ってしまいます。そのため、次の対策を考える必要がある。ミケルソンやデシャンボーはわかりませんが、日本ツアーに出場している阿部裕樹選手は長尺にしたことによって飛距離が伸びて今年初めてシード権をとれそうな位置につけている。もちろん阿部選手だけではありませんが、このように長尺の恩恵を受けている選手が来年から使えなくなるというのは選択肢が減ることでダメージが大きいと思います」

以前は44.5インチのドライバーを使用していた阿部だが、現在は46インチ以上の長尺シャフトを使用し「20ヤード以上」という飛距離アップに成功。賞金ランク59位と来シーズンのシード権争いに加わっている。

ただ、もちろん長さを規制されたことで飛距離アップが止まるかといえばそうではない。今後のゴルフ界は「クラブの長さ以外で飛距離アップを追求していくはず」と佐藤はいう。

「フィジカルやスウィング理論、道具の進化など様々な方向で飛距離の追求は永遠に続くと思います。だからこそ、今後もツアーの飛距離アップに伴った規制は起こりえることだと考えています。20〜30年前にジャック・ニクラスやタイガー・ウッズらは『ボールに規制かけたほうがいいのでは?』と意見をしていましたが、それは実現していません。しかし、今後の飛距離問題によってはボールを規制する可能性も少なくないと思います」

2022年1月から「46インチ規制」が施行されることによって、世界のゴルフに変化は見られるか? 注目したい。

This article is a sponsored article by
''.