「富士通レディース」の最終日は雨天のため競技は中止。2日目を終えて首位で並んでいた勝みなみ、古江彩佳が3ホールのプレーオフを戦い、古江彩佳が2021年初優勝(プロ通算4勝目)を飾った。その模様をプロゴルファー・中村修がレポート!

富士通レディース2日目を終えて、リーダーボードには首位タイに並ぶ勝みなみ、古江彩佳の両選手、1打差で2週連続優勝を狙う渋野日向子選手、3打差に稲見萌寧選手……と豪華メンバーが顔をそろえていました。

最終日のドラマチックな展開を楽しみにしていた人も多かったと思いますが、残念ながら悪天候のため中止となり、首位タイで並んだ勝みなみ、古江彩佳選手の16番からの3ホールのプレーオフでの決戦となりました。

画像: 富士通レディースの悪天候で中止となった最終日に、首位タイで並んだ勝みなみとの3ホールのプレーオフの末2021年初優勝(プロ通算4勝目)を飾った古江彩佳(写真/代表撮影)

富士通レディースの悪天候で中止となった最終日に、首位タイで並んだ勝みなみとの3ホールのプレーオフの末2021年初優勝(プロ通算4勝目)を飾った古江彩佳(写真/代表撮影)

降りしきる雨の中、16番パー5はお互いにパー。そして迎えたのは実測182ヤードと距離があり、バンカー越えの右から5ヤードにピンが切られ、しかもアゲンスト風が吹いているという難易度の高い17番パー3です。

このホールで古江選手が握ったのは5番ウッド。ドローでピン方向に打ち出すという強気な攻めで、ピンそば2.5メートルにつけバーディを奪います。そして18番では6メートルのパーパットを決め優勝を手にしました。意外と思われるかもしれませんが、古江選手はこれが今シーズンの初優勝です。

画像: プレーオフで惜しくも敗れた勝みなみ(写真は2021年の富士通レディース 写真/有原裕晶)

プレーオフで惜しくも敗れた勝みなみ(写真は2021年の富士通レディース 写真/有原裕晶)

2019年の今大会でアマチュア優勝を成し遂げてプロに転向し、2020年には3勝を挙げ順風満帆に2021年を迎えたはずでしたが、思うように調子が上がらず、オリンピック代表の座も逃し、苦しいシーズンを送っていました。

調子のいい期間が長ければ長いほど、完璧主義というかミスを許せない思考になってしまうものです。その結果、思うように振り切れなくなっていたと言います。今大会では「ミスを悔やまない」、頭の切り替えを意識したと言います。

「ゴルフはミスがつきものだと思うんですけど、ミスを許せないようにずっとなってしまっていたかなと思うので、ミスが出たとしても悔やまないようにしていましたね。(ミスした)次からどうやるかっていう頭の切り替えが上手くできたかなと思います」(古江)

画像: 最終ホールの6メートルのパーパットを決め優勝を手にした(写真は2021年の富士通レディース 写真/有原裕晶)

最終ホールの6メートルのパーパットを決め優勝を手にした(写真は2021年の富士通レディース 写真/有原裕晶)

現地やテレビ中継で見ていても、不調時と今回でスウィングなどの見た目にはほとんど変わりがありませんでしたが、やはりどこかしっくり来ていない様子はありました。

それが、海外メジャーの「エビアン選手権」で4位に入り、同じくメジャーの「AIG(全英女子)オープン」で日本人最高位の20位タイに入ったあたりから、本来のゴルフを取り戻した感じがありましたね。

スタッツを見ても、パーオン時の平均パット数は1位。パーセーブ率は2位。リカバリー率は3位。イーグル数は1位。攻撃力とディフェンス力、どちらも兼ね備えていますから、微妙に噛み合っていなかった歯車が噛み合うようになって来ていたと思います。

2日目終了後の会見では「初日には5回ビビって攻められなかったショットがあり、2日目には2回ビビったパットがあった、強気な気持ちをやめないことが大事かなって思うので、怖がらないことを意識したい」と話していた古江選手。プレーオフでは見事に怖さを克服して強気の攻めで勝利を自ら手繰り寄せました。17番ホールのティショット、18番ホールのパーパットは、歯車がガチッと噛み合った結果生まれた1打だったのでしょう。

怖さと戦いながらプレーし勝利した古江選手は一段と強く、手ごわい選手へと成長するに違いありません。残りシーズンでも大暴れしてくれることでしょう。

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