2年半のブランクを経て、再度ゴルフをやり始めたという元バレーボール日本代表選手の狩野舞子さん。身に付いてしまったスウィングの悪い癖を直すために、USLPGAティーチング会員の小澤美奈瀬の指導を受けることに!

小澤:狩野さんがスウィングで直したい部分って、どんなところでしょう?

狩野:バックスウィングでクラブを上に上げたときに、右手と一緒に左手もフニャンと折れてしまう癖があるんです。多分、腕の力でクラブを上げているからなのかなと思っているんですけど……。

小澤:なるほど。左ひじが曲がるわけですね。狩野さんのように、バックスウィングで左ひじが曲がるのは、ある体の部分の「代償運動」によって曲がっている場合が多いんです。

狩野:代償運動ですか。

小澤:はい。代償運動とは、本来の動作や運動を行うのに必要な機能や体の部位以外の部分で補って動作や運動を行うことです。狩野さんの左ひじが曲がる癖は、ズバリ、バックスウィングを上げていくときに手首が硬いことの代償行動の現れです。

狩野:え、手首ですか。

小澤:はい。ひじを使ってクラブを上げていくので両ひじが曲がりやすくなるんです。

狩野:へぇ~。

小澤:バックスウィングで手首を柔らかく使えている人は、トップでコックが入ってくるので左ひじは曲がらずしっかりと伸びてきます。コックは手首を折ることで腕とクラブによって作られる90度くらいの角度のことで、このコックがインパクトで解けることでクラブが走るので、ショットが安定し飛距離も出るという大事な動きになります。手首が動かない人は、そのコックがトップで入らないので、その代償行動として左ひじを曲げてトップの形を作るわけです。

画像: 左ひじが曲がってしまう原因は手首を柔らかく使えていないがゆえに起こる代償行動だと小澤は指摘

左ひじが曲がってしまう原因は手首を柔らかく使えていないがゆえに起こる代償行動だと小澤は指摘

狩野:なるほど。手首の硬さがひじに出るんですね。

小澤:そうなんです。

――そこで小澤が、手首を柔らかく使えるようになる練習ドリルを伝授。

小澤:9番アイアンのヘッド側を持ち、グリップエンドで丸い標的が印された「インパクトバッグ」という練習器具の標的をめがけて叩くドリルをやってみましょう。このとき最初はインパクトバッグを右足の前にセットしておき、慣れてきたら次第にバッグを左にズラしていくのがポイントです。

画像: クラブのヘッド側を持ち、グリップエンド側でサンドバッグを叩いて手首を柔らかく使う感覚を覚える

クラブのヘッド側を持ち、グリップエンド側でサンドバッグを叩いて手首を柔らかく使う感覚を覚える

狩野:左にズラしていくと、当たるのが遅くなってきますね。

小澤:そうそう。左かかと内側くらいまでズレると、かなり遠く感じますよね。

狩野:そうですね。

小澤:でも、実際の球を打ったときに、打球が真っすぐに飛ぶボールポジションはココになるんです。

狩野:あ、なるほど、そういうことかぁ。

小澤:もうひとつ重要なポイントは、インパクトバッグ右足の前から左足の前まで移動する間に、手首を使ってポンポンとバッグを叩いていると、手首が柔らかく使えるようになりますし、インパクトゾーンで長いストロークを平行移動させながら手首で叩く感覚も身に付います。この手首の柔らい動きで左サイドでインパクトをできてくると、球も真っすぐに飛んでいきますよ。

狩野:へぇ~、そうなんですね。

――インパクトバッグである程度手首が柔らかく使えるようになってきたところで、次に素振りで手首を柔らかく使えるかをチェック。無心に手首のこと考えて素振りをする狩野さんに、ある変化が。

小澤:いい感じです。ちなみに今、左の腕はまったく曲がっていないですよ。

狩野:え、本当ですか。全然意識していなかったです。

小澤:手首がすごく柔らかく使えているので、トップでコックが自然に入ってくるので左ひじは曲がらずしっかりと伸びています。これが理想的なバックスウィングからトップの動きになります。

狩野:そうなんですね。あんなに意識しても曲がっていたのに、今は意識をまったくしなかったのに真っすぐになっています。なんか、“目から鱗”が止らないです(笑)。

――素振りで手首が柔らかく使えるようになり、左ひじが曲がらなくなったところで、次はボールを打っていく。ボールポジションはインパクトバッグを叩いていたときと同様、はじめは体の中心に合うように置き、1球打つごとに少しずつ左にズラしながらスウィングを続けると、何球か打った後に真っすぐきれいに飛ぶ球が出た。

狩野:お、初めて真っすぐに飛びましたね。

小澤:メチャメチャよかったです。今のボールの位置は、最初からすると3つ半分くらい左に置いています。でも手首が柔らかく使えているので、ちゃんとボールがヒットできましたよね。これだけ手首が使えるようになってきているので、“可能”ならもう少し速くクラブを振ってみましょうか。

狩野:はい。やってみます。

小澤:あ、今のはダジャレじゃないですからね。

狩野:あ、そうか。『はい“狩野”です』って返せなかったなぁ~(笑)。

小澤:さらに、下半身のスムーズな体重移動の感覚も覚えましょうか。後ろから両ひざをつかんで、スウィングに合わせて動かしてみますね。

狩野:お願いします――あ、凄い! この足の力だけで飛びそうです。下半身の力がクラブの先っぽにビヨ~ンって伝わる感じがします。

画像: ゴルフスウィングで下半身が先行しクラブが最後に動くのが基本。小澤が狩野の両ひざをつかんで動かし、体重移動の感覚を体感

ゴルフスウィングで下半身が先行しクラブが最後に動くのが基本。小澤が狩野の両ひざをつかんで動かし、体重移動の感覚を体感

小澤:さすがアスリート。その感覚を忘れないでください。

狩野:ボールを左に置くのがポイントなんですか。

小澤:さっき私が足を持ってクルンと回しましたよね。これって体重移動を促していたんです。ゴルフのダウンスウィングは、足→胸→腕→クラブ、この順番で連動して動いてボールを打つんですが、ボールが右寄りに置かれていると、この体重移動が行われる前にボールに当たってしまうので、それで無理やり手でこねて左に飛んで行く球が出たりするんです。だからボールを少し左に置くことによって、体重移動で足を踏み込んで、胸、腕と連動して動いてきたところでボールにヒットして、クラブを振り抜けるようになるわけです。この下半身の先行に手首の柔らかい動きが連動してくると飛んで曲がらない球が打てるようになってきますよ。

画像: ボール位置が右寄りだと、下半身の体重移動が起こる前にインパクトを迎えてしまい、手でこねるように打ってしまいがち。しっかり体重移動をする前提なら、ボールを真ん中より左寄りに置くのがいいという

ボール位置が右寄りだと、下半身の体重移動が起こる前にインパクトを迎えてしまい、手でこねるように打ってしまいがち。しっかり体重移動をする前提なら、ボールを真ん中より左寄りに置くのがいいという

狩野:先ほどまでより全然、体が回るし、球も真っすぐに飛ぶような気がしました。打った瞬間に真っすぐに行きそうっていう感じがわかりました。

小澤:この下半身の先行に手首の柔らかい動きが連動してくると飛んで曲がらない球が打てますから、ぜひやってみてください。

狩野:めっちゃわかりやすいです。あとは再現するのみ。やってみます!

撮影:野村知也
撮影協力:レッツゴルフ銀座

画像: 【ゴルフレッスン】まっすぐで高い弾道をつくるコツは「左腕の代償運動」⁉初心者必見!スウィングの基礎づくり【狩野舞子】 youtu.be

【ゴルフレッスン】まっすぐで高い弾道をつくるコツは「左腕の代償運動」⁉初心者必見!スウィングの基礎づくり【狩野舞子】

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