女子プロがいう「オートマチックさ」こそアベレージの救世主
昨シーズンも大いに盛り上がった女子プロ界だが、彼女たちの間で圧倒的な人気を誇るのは同じ「850」でも「N.S.PRO 850GH(以下850GH)」。彼女たちの中には「850 neoはやさしくてまっすぐ飛ぶけど、車でいえばオートマチックで物足りない」という声も。
だが逆にいうと、ヘッドスピードは女子プロとほぼ変わらないアベレージゴルファーにとっては、「やさしくてまっすぐ飛ぶ」のは大きな魅力になる。そこで、堀口プロによる850GHと850 neoの試打データを計測し、比較してみよう。使用クラブは7番アイアン。

GHとneo。同じ850でもどんな違いが出るのか。試打してみた
まず最初に「850GH」から試打を実施。下記のような結果となった。
『850GH』 堀口プロ試打データ ※数字は5球ずつ打った平均値
ボールスピード 48.8m/s
打ち出し角 17.3°
バックスピン 5893rpm
落下角度 43.3°
最高到達点 26ヤード
キャリー 152ヤード
トータル 163ヤード

堀口プロも今までに何度も打ってきた850GH。安定したデータに納得する
続いて「850 neo」を試打してもらったところ、下記のような結果となった。
『850 neo』堀口プロ試打データ ※数字は5球ずつ打った平均値
ボールスピード 48.5m/s
打ち出し角 20.9°
バックスピン 5223rpm
落下角度 46.3°
最高到達点 30ヤード
キャリー 153ヤード
トータル 164ヤード
クラブを850 neoに持ち替えて打った1球目のシミュレーション弾道を目で追いながら、「球、高っ!」と思わず口にする堀口プロ。データからも歴然で、打ち出し角は3度以上、最高到達点も4ヤード、850GHを上回った

球の高さにビックリ。同じ重量でも850GHとははっきりと異なる弾道だ
850GHはバックスピンで、850 neoは高さでボールを止める
「850 neoはインパクト前後でシャフト先端が走るので、球が上がります。試打したモデルはストロングロフトのヘッドでしたが、ストロングロフトにしては弾道が高く、落下角度が大きいのもいいですね。850GHは、同じ重量帯でも少し重みというか、しっかり感があります。手元が緩まないのでコントロールして打てます」(堀口プロ)
落下角度とは、ボールが着地するときの角度。これが大きいほど、真上に近い位置から落ちてくることになり、グリーンで止まりやすくなる。

ダウンスウィングでシャフトの先端が走り、オートマチックに球を上げてくれる
また、今どきアイアンにはストロングロフトのほかに高慣性モーメントという特徴もあるが、850 neoは後者との相性も抜群だ。「重心距離が長い飛び系アイアンはバックスピンが少なくなりがちですが、『850GH』との差はそこまでありません。何より球の高さがあるので、グリーンでしっかり止めてくれます」(堀口プロ)
850GHがスピンで止めるシャフトなら、850 neoは高さで止めるシャフト。「キャリーがこれだけ出てくれれば十分」(堀口プロ)との言葉通り、飛距離は850GHとほぼ変わらないことを考えると、ストロングロフトのため球が上がらず、せっかくのヘッド特性を活かし切れていないゴルファーには850 neoはベストマッチといえるだろう。

「850 neo」はストロングロフトでも十分な球の高さと大きな落下角度を実現
「軽量シャフトというとしなり感が強すぎたり、芯がないイメージを持つ方もいるでしょうけど、850 neoは芯があって、切り返しで力を加えたときにブレません。頼りなさは感じず、なおかつ硬いわけでもない絶妙なフィーリングがあります。コースに出るとついスウィングの力感が強くなりますが、オートマチック感があって、ノンプレッシャーで打てます」(堀口プロ)

堀口プロは「これなら高さで止められる」と850 neoの大きな落下角度に注目
軽量ドライバー時代に最適な”neoスタンダード”
また、「ヘッドスピードを落としてもそれなりに反応してくれる」と堀口プロ。そこで、PGST女性スタッフの伊藤せなさんにも850GHと850 neoを試してもらった。
結果は打ち出し角、落下角度、最高到達点ともやはり850 neoが上回り、伊藤さんも「850 neoのほうが打ちやすいです!」とのこと。堀口プロによると、ドライバーの軽量化などにより、軽量シャフトの代名詞といえる「N.S.PRO 950GH」でも重く感じるゴルファーが増えているという。そういった人にとっては、「850 neo」がまさしくアイアンシャフトの”neoスタンダード”になりそうだ。

やさしく打てる「850 neo」は女性ゴルファーにも大きな味方となりそうだ
「ヘッドスピードでいうと、ドライバーで40〜41m/sくらいがターゲット。850GHより絶対的に球が上がりやすいので、まさにアベレージ層にはオールラウンダー(万能選手)のシャフトですね。また、コンパクトなブレード系のヘッドにも合うので、ヘッドスピードが落ちてきて、それでもヘッド形状へのこだわりがある上級者にもおすすめ。また、長年ゴルフをやってきて、お年を召された60代の方でも十分に振れます。一方、ヘッドスピードが42〜43m/sあって、自分で球を上げられる人は950 neoがいいでしょう。ラクに振る分には850 neoでもいいですが、力が入ったときに曲がる可能性があります。スウィングタイプで分けるなら、850 neoはスウィープに振るスウィンガー系、850GHはダウンブロー系に合います」(堀口プロ)

ステップ位置も異なるGHとneo。「スウィングタイプでチョイスするのもアリですね」(堀口プロ)
また、堀口プロはこんな使い方も提案する。「アイアンは7番からのセッティングが珍しくなくなりましたが、ゴルフ歴が長くて今でも5番から入れているという方なら、5、6番のロングアイアンだけ850 neoを入れて球を上げやすくして、7番以下は850GHで安定感を出すとか。コンボで使うのも面白いですね」(堀口プロ)
「N.S.PRO MODUS³ TOUR」5モデル目となる「115」も登場
日本シャフトは今春、「N.S.PRO MODUS³ TOUR115」も発売する。こちらは「105」「120」「125」「130」に続く、「MODUS³」ブランドとしては5モデルめのアイアン用シャフトだ。
「『120』『130』は中・中元調子でシャフトが動いてくれるのに対し、『105』『125』は元調子なのでしっかりしています。『105』と『125』のビトウィーン(間)である『115』も元調子らしく、しっかり感があります」(堀口プロ)

モーダスの新製品115はしっかり感のある中軽量シャフトだ

重すぎず軽すぎない、幅広い層が使える中量シャフトだ
クラブには流れがあり、同じようなフィーリングで全番手振れてこそスウィングもスコアも安定する。ヘッドの機能も重要だが、フィーリングを大きく左右するシャフトにもこだわりたい。
取材・撮影協力/PGST

N.S.PRO 850GH neo 【製品情報 -日本シャフト】
nipponshaft.co.jp