あの上田桃子がパターを変えた
アメリカ女子ゴルフツアー、アジアシリーズ初戦 HSBC女子ゴルフ世界選手権、最終日。
前日まで1アンダーだった上田桃子が1イーグル、7バーディ、1ボギーの64をマークし、
トータル9アンダーでフィニッシュ。驚異の追い上げを見せた。
上田桃子といえば、キャロウェイの契約選手のなかでもクラブに対するこだわりが強いことで知られている。気に入ったクラブが見つかれば、それを換えることなく長く使い続ける。
そんな彼女がいままで使ってきたパターといえば名器と言われる「オデッセイ トライホット#3」、
そして最近では「オデッセイ ホワイト・ライズix#1SH」。
3シーズンをともに戦ってきたパターなのだから、愛着は強く、信頼も高い……
……はずなのだが、信頼の高い名器をやめ「HSBC女子ゴルフ世界選手権」で、ひとつのイーグルパットと7つのバーディパットを面白いように決め続けていたのはオデッセイのニューモデル「TRI-HOT 5K」だった!

HSBC女子ゴルフ世界選手権、最終日、上田桃子の猛チャージを作ったのはオデッセイのニューモデル「TRI-HOT 5K ONEパター」だった(写真は2022年 HSBC女子ゴルフ世界選手権 撮影/Getty images)
女子ツアーきってのパターの名手までもが……
ときを同じくして開幕した日本女子ツアーでも新しい「オデッセイ」が猛威を奮う。
キャロウェイスタッフプレーヤーの西村優菜。
両手を合わせるように握る独特のグリップから生み出される安定したストロークと転がりのいいボール。勝負どころのパットを決め続け、小柄ながら安定したプレーとパッティングでツアー4勝を誇る。愛用パターは「オデッセイWHITE HOT OG #7S」で、20-21年シーズンはパットランキング6位の実力だ。
そんなパット巧者の西村がなんとエースパターとは違うパターを携え、開幕戦に出場。4日間競技を8アンダーの3位タイで終え、2022シーズン、上々の滑り出しを見せたのだ。

開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」から「オデッセイTRI-HOT 5K DOUBLE WIDEパター」にチェンジし、上々の滑り出しを見せた西村優菜(写真は2022 明治安田生命レディス 撮影/姉崎正)
クラブに強いこだわりをもつふたりが、あっさりとパターを変えるとは!!
一見、ソールにウェートがついた“ふつう”のブレード型のパターに見えるが、オデッセイ「TRI-HOT 5K」とは、そんなに凄いパターなのか?
ブレードタイプなのにマレットなみのやさしさ

「TRI-HOT 5K」シリーズは全部で5種類。左から「ONE」「TWO」「THREE」「DOUBLE WIDE」「TRIPLE WIDE」
昨今、ドライバーで大きく言われるようになった「慣性モーメント」。この数値が大きければ大きいほど、インパクトで芯を外した場合でもヘッドがブレにくくなる。
ヘッドがブレないということは、当然方向性が安定し、ボールにしっかりと力が伝わり、曲がりの原因となる余計なスピンなどを生み出さない。つまりプレーヤーのミスをカバーしてくれる。
パターにおいても同じことで、いくらストロークがよくてもヘッドがブレてしまえば、方向性はズレ、タッチが合わないし、ボールはカップへ入ることはない。
慣性モーメントが大きければ、ミスしたときでも方向性のズレを生みにくく、ボールに力を伝え、いい転がりを生み出してくれる。
でもそのような慣性モーメントの大きなパターは、いままでヘッドの大きなモデルでしか作ることができなかった。つまりゴルファーは「操作性を重視してヘッドが小さいパター」を使うか「寛容性を重視してヘッドが大きいパター」を使うしかなかったのだ。
しかし「TRI-HOT 5K」は違う。
まずは名前の「5K」だが、「K」は1000を意味しており、つまり「5000」。なにが「5000」かというと慣性モーメントの数値だ。
通常ブレードタイプのパターの慣性モーメントといえば3000g・㎠台といったところなのだが「TRI-HOT 5K」は、それが5000もあるということ。どのくらいのものかといえば大型マレット、オデッセイでいえば「TEN」くらいの慣性モーメントをもっているということになる。
ではなんで、ブレードタイプのパターでありながら、このような機能をもつことができたのか? それは「TRI-HOT 5K」の構造にある。

「TRI-HOT 5K」はソールのフェース寄りのトウとヒール部分に多くのタングステンを配置。そして後方のフランジ部分の素材には比重が軽いアルミニウムを採用している。
パターでありながら複合素材を使った構造にすることで、なんとヘッド重量の90パーセント近くの重さをフェース寄りに集中させている。さらにその重量をトウとヒールに配置することにより、ブレード型の操作性を損なうことなく、ミスに強いという最強のパターを作り出した。
フェースインサートに選ばれたのは、プロ、上級者が愛用するウレタンカバーのツアーボールにもっともマッチし、心地よい打感と、安定した転がり、そして絶妙なタッチを出せると根強い人気の「ホワイトホットインサート」。
登場以来20年経っても、使い続けれれ、使われるたびに信頼が増していくインサートだ。
最新の構造と信頼のインサートが搭載されたパター、そんな優れたパターをプロが放っておくはずがない。私たちアマチュアゴルファーも放っておいてはいけない、手に取らずにはいられなくなるだろう。