テーラーメイド、キャロウェイ、アクシネット、そしてアディダスゴルフなど名だたるメーカーが軒を連ねる米国カリフォルニア州カールスバッド。ゴルフ用品産業のメッカといわれるこの地で活躍する2人の日本人デザイナーを訪ねた。

「アディクロス」のチーフデザイナーは日本人だった

カリフォルニア州カールスバッドにあるアディダスゴルフの本部で活躍する二人の日本人を訪ねて現地からのインタビューをお届け。前編はゴルフウェア「アディクロス」のチーフデザイナーを務める西田幸基さん。

2019年からアディダスゴルフのアパレル部門でデザインリーダーを務める西田さんは、若い頃に日本でスノーボードやサーフ用品のデザインを手がけた後、2001年に憧れの地であるカリフォルニアに移住。現地のブランドを日本に紹介するビジネスを手がけるいっぽう、自らのデザイン会社を立ち上げた。

画像: ゴルフウェア「アディクロス」のチーフデザイナーを務める西田幸基さん

ゴルフウェア「アディクロス」のチーフデザイナーを務める西田幸基さん

GD:アディダスゴルフに入ったきっかけは何でしたか?

西田さん:アディダスゴルフは取引先のひとつでした。それまでのアディダスゴルフはグローバルと各リージョン(地域)のデザインが独立していて、国によって違う商品が売られていました。それではブランドの価値を守れないので、取りまとめる仕事を一緒にやってくれないかと声をかけられたのがきっかけです。

GD:西田さんが受けもっている「パフォーマンス」系はトラディショナルだし、「アディクロス」はゴルフウェアとストリートファッションを融合したブランドです。2つは対照的ですね。

西田さん:もっとも気をつけていることはゴルフウェアの枠からはみ出さないことです。とくに「アディクロス」ではトラディショナルでありながら多様性をもたせるため、各リージョンからのフィードバックを採り入れるようにしています。

画像: スケボーやサーフィン、ゴルフと好きなことから共通のマインドを持つ人の輪を広げアディダス「アディクロス」のチーフデザイナーにまで抜擢された

スケボーやサーフィン、ゴルフと好きなことから共通のマインドを持つ人の輪を広げアディダス「アディクロス」のチーフデザイナーにまで抜擢された

GD:日本とアメリカでキャリアを重ね、スノーボードやサーフィンなどストリート系の経験がある西田さんの強みですね。

西田さん:日本とアメリカの両方にルーツを持っているのが自分のオリジナリティです。そこを上手く生かして表現することに自分の存在意義があるのかなと思っています。

GD:デザインする際にインスピレーションはどこから得られるのですか?

西田さん:日本やLAのカルチャーからインスピレーションを受けることがよくあります。それをそのまま使うのではなくパロディにしたりします。2020春夏シーズンはTOKYOをテーマにしました。着物の柄をダイレクトに使うこともありますが、それはみんなやるし色が出すぎます。鳥居の朱色をキーカラーにしたり、武士の裃の家紋のように背中の真ん中にロゴを置いてみたりしました。いまアディダスゴルフにはアジア系のデザイナーも4名いますが、いろんな国のカルチャーも見方を変えることで面白いものに仕上がります。

GD:西田さんのように海外で活躍するためにはどんなマインドが必要ですか。

西田さん:私は人見知りで自分から話しかけてネットワークを広げるタイプではありません。でも、ゴルフやサーフィン、スケボー、スノーボード、アウトドア、アート、音楽、車、バイク、料理、裁縫、ファッションなどの趣味を通じていろんな人と出会い輪を広げることができました。そうした経験が実際の仕事やデザインに生きているように思います。

画像: アディクロスチーフデザイナーの西田さん(左)とゴルフシューズのマーケティングマネージャーの小林さん(右)

アディクロスチーフデザイナーの西田さん(左)とゴルフシューズのマーケティングマネージャーの小林さん(右)

GD:これから海外に出る人のために何かアドバイスをお願いします。

西田さん:こちらで日本人だと言ってネガティブに反応されることはほとんどありません。逆に日本人には親切にしてもらったと言ってくれる人や、興味を持ってくれる人が多く助けられています。それは先に移住された方々が素晴らしい関係を築いてきてくれたからです。ですから僕もそれを絶やさず次の世代の方々に引き継いでいけるような行動を取るように心がけています。

—―カリフォルニアの雰囲気が好きで日本を飛び出し、スケボーやサーフィン、ゴルフといった自分の好きなことから、共通のマインドを持つ人たちと知り合い輪が広がってアディダス「アディクロス」のチーフデザイナーまで登り詰めた西田さん。これからアディクロスのゴルフウェアを見たら日本の誇りと、西田さんのことを思い浮かべるようになるかもしれない。

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