クラブフィッターの小倉です。ここ数日は梅雨戻りなんて言葉が使われるぐらい雨が多く、ゴルフ場の芝もしっかり育ちましたね。夏のゴルフは、ラフとの闘いと言ってもいいくらい、深いラフから如何にうまく脱出するかがいいスコアでプレーするひとつのカギになります。ラフからのショットの対策はいろいろありますが、今回はクラブ側の視点からラフの攻略法を考えてみました。
ラフからのショットで、おもなミスとなる原因は、芝による抵抗力の大きさです。芝がヘッドに絡むことによって、ヘッドの最下点がボールまでとどかなかったり、フェースの向きが大きく変わってしまったりといった症状が起きます。さらにインパクトではボールとフェースとの間に芝が挟まりますので、スピンが掛かりにくくなり、適正な高さが出ない、スピンが少なくなり飛び過ぎてしまうフライヤーといったミスも発生します。
ただラフから脱出するだけなら、SWがもっとも確率が高いでしょう。ロフトが多いため、ボールが上がりやすいですし、何より重さがあります。この重さがラフに負けない重要なポイントです。重さがあれば、多少手前から入っても脱出できる確率が上がります。コースでは、少しでもグリーンに近づけたいという欲求で、飛距離の出るクラブを持ちたくなりますが、ゴルフクラブは、飛ばないクラブほど重くできていますので、確実にラフから脱出し、ある程度の範囲に収めたいなら、短めのクラブで打つのがいいですね。

重さがあって、芝の抵抗が少なく、ボールが上がりやすい、プロギアの「Q」のようなクラブがあれば夏ラフ対策になる
一般論だけでは面白くないので、フィッターらしく、ラフからある程度長い距離を飛ばすクラブはできないか?と考えてみました。条件としては、適度に重さがあり、ミートしやすい長さで、抵抗の少ない小さめのヘッド、ボールが上がりやすくミスに強いUT形状といったところでしょうか。
自分で作るなら、25°前後の小ぶりなUTのヘッドにアイアン用スチールシャフトを組み合わせます。そんな勝手な妄想をしていたら、似たコンセプトのクラブがすでに市販されていました。PRGRのQ。スチールシャフトではないですが、短めで重めのシャフトもラインナップされています。ヘッドもラフから打つ前提の設計になっています。夏ラフ対策に1本こういうクラブがあれば、プレーが楽しくなりそうですね。