全英オープン、セントアンドリュース・オールドコースの記念大会でローリー・マキロイに競り勝ち見事メジャーチャンピオンの仲間入りを果たしたC・スミス。内藤雄士がアマチュアにも真似られるポイントを紹介!

 今年の全英オープンを制したキャメロン・スミスは、一昨年からの肉体改造で、大幅な飛距離アップに成功しました。以前はそれほど飛ばすイメージはなかったのですが、今季優勝したセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズでは、ジョン・ラームを大きくアウトドライブするなど、飛ばし屋の仲間入りを果たしています。

 

画像: ハーフウェイバック(シャフトが地面と平行になったポジション)で、フェースがやや地面に向いているのは、フェース向きがクローズの証拠(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

ハーフウェイバック(シャフトが地面と平行になったポジション)で、フェースがやや地面に向いているのは、フェース向きがクローズの証拠(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

 そんなスミスのスウィングは、非常にオーソドックスで現代的です。まず、アドレスを見ると、左手をややストロングに、右手をスクェアに握っているのがわかります。フェースをややクローズに使うスウィングが主流になっている現代では、この握り方が最もポピュラーで、アマチュアのみなさんにもおすすめできるグリップと言えるでしょう。

次にバックスウィングですが、手首のコッキングは少なめで、フェースをややクローズに使っているのがわかります。スミスは、このフェースクローズな状態を、トップ、切り返し、ダウンスウィングとキープし、やや強めのハンドファーストでインパクトしているのです。

画像: このポジション(左腕が地面と平行になったポジション)で、シャフトが垂直になっていないのは、手首のコックを抑えているため。コックを使う選手であれば、この時点でシャフトは垂直か、それよりもトップ方向に倒れている(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

このポジション(左腕が地面と平行になったポジション)で、シャフトが垂直になっていないのは、手首のコックを抑えているため。コックを使う選手であれば、この時点でシャフトは垂直か、それよりもトップ方向に倒れている(写真は2022年 全英オープン 撮影/姉崎正)

 このフェースの使い方、ハンドファーストのインパクトなども、現代の多くの選手に共通する動きで、重心距離の長い現代のクラブを打ちこなすポイントなのです。

 さらに、フォローに注目すると、クラブが左わき腹あたりの低いところに抜けているのがわかります。これは、腕を振らず、体の回転でスウィングし、前傾角度をキープした状態でスウィングプレーンどおりに振り抜いた結果なのですが、この動きも非常に現代的と言えます。

 ひと昔前であれば、もう少しクラブを外に(インサイドアウト気味に)振って、高いところ(左肩あたり)に振り抜いていく選手が多くいました。昔のボールはスピン量が多かったので、そうすることでムダなバックスピンを抑えていたのです。

 しかし、現代のボールはスピン量が減ってきたので、そういうテクニックが不必要になりました。その結果、体の回転で、スウィングプレーンどおりにフォローを低く振り抜いていく動きが主流になってきたというわけです。

 そんなキャメロン・スミスですが、もしかすると、バックスウィングで左ひじが曲がっているのが気になる人がいるかもしれません。「バックスウィングでは左ひじを曲げてはいけない」「左腕は伸ばして使いなさい」と言われることが多いからです。

 しかし、左ひじが曲がる動きのすべてが悪いわけではありません。スミスのように、バックスウィングで体をしっかりと回転させ、体の回転方向に左ひじが曲がっているのであれば、左ひじが曲が
っていることはまったく問題はないのです。

 いけないのは、体の回転量が不足し、腕の力でクラブを持ち上げた結果、左ひじが曲がってしまう動きです。トップで右わきが空き、フライングエルボーになった状態で左ひじが曲がっていたら、悪い動きをしている証拠。この場合は、体の回転方向と左ひじの曲がる方向が一致しないので、スピードは出ませんし、クラブの動きが不安定になるので注意しなくてはいけません。

 いずれにしても、「左ひじが曲がっている=悪いスウィング」と考えるのは間違いです。左ひじが曲がっていてもいい場合がある、ということは覚えておいてください。

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