史上3人目の快挙を成し遂げ、いま注目されている岩井千怜のスウィングを東大ゴルフ部監督で日本におけるプロコーチの草分け的存在、現在、成田美寿々、穴井詩らのコーチを務めるプロコーチ・井上透に解説してもらった!

今季、史上3人目となる、ツアー初Vからの連続優勝を果たし、注目の集まる岩井千怜プロ(20)。そのスウィングは、左右動を抑え、捻転を主体にした非常にオーソドックスなものと言えるでしょう。

 まず、正面からテークバックを見ると、体重移動を抑え、骨盤から回し始めているのがわかります。構えたその場で、体の中心からねじり上げていく。そんな感じでしょうか。

 バックスウィングを後方から見ると、手元よりもヘッドが前にありますが、これは体を主体にテークバックし、シャフトを立てて上げているためです。基本的に、ダウンスウィングでシャフトが寝る傾向のある人は、バックスウィングでシャフトを立てて上げる傾向があります。おそらく岩井プロも、ダウンでシャフトが寝やすいという自覚があるのでしょう。

画像: 手元がヘッドより前にあるのは、体主体でテークバックしてアップライトに上げている証拠(写真/KJR)

手元がヘッドより前にあるのは、体主体でテークバックしてアップライトに上げている証拠(写真/KJR)

 トップで、ここまで体が捻転しているにもかかわらず、オーバースウィングにならず、クラブが水平に収まっているのは、手首を使う意識がない証拠です。手先の動きを抑え、体の回転でボールをコントロールしようという意志が伝わってくるスウィングと言えそうです。

 特徴的なのは、ダウンスウィングです。正面から見ると、わかりやすいと思いますが、下半身と体が強く先行し、平均的なプレーヤーよりも、クラブにかなりの〝遅れ感〟があります。これは、小さな頃から手先の力に頼らず、体をしっかり使って振ろうとしてきた名残でしょう。

画像: 下半身と体が先行してクラブが遅れて入ってきている(写真/姉崎正)

下半身と体が先行してクラブが遅れて入ってきている(写真/姉崎正)

通常、ここまでクラブが遅れると、振り遅れて球が右に飛びそうなものですが、それを防いで補っているのが、左手のストロンググリップです。ストロンググリップで握ると、クラブが遅れた状態でフェースをスクェアにすることが可能になります。つまり、岩井プロは、ダウンからインパクトにかけてクラブが遅れるため、その状態でフェースがスクェアになるように、ストロンググリップで握っているのです。

 このあたりは、アマチュアゴルファーのみなさん、とくにスライスに悩んでいる人には参考にしてもらいたいところです。

 多くの人は、球が右に曲がると、スウィング(体の動き)を直すことで、それを修正しようとします。近年で言えば、掌屈の動き(ダウンスウィングで左手首を手のひら側に折る動き)などが注目されているのですが、球をつかまえる方法はそれだけではありません。実は体の動きを直さなくても、左手を少しストロンググリップに変えるだけで、スライスを修正できることも多いのです。

 掌屈を意識することで上手くいくプレーヤーは一定数いると思いますが、左手をストロンググリップにすることでスライスが直る人、そのほうがやさしく直るという人は、かなりいるはずなので試してみてはいかがでしょうか。

画像: 岩井プロのアドレスを正面から見ると、左手の甲が見えるほどのストロンググリップで握っているのがわかる(写真/姉崎正)

岩井プロのアドレスを正面から見ると、左手の甲が見えるほどのストロンググリップで握っているのがわかる(写真/姉崎正)

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