国内女子ツアー「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」最終日、首位から出た19歳の尾関彩美悠が最終18番のバーディーで吉田優利を振り切り、ツアー初優勝を飾った。
画像: プロテストトップ合格の逸材、尾関彩美悠が初優勝。続々と登場するニューヒロインたちで女子ツアーの選手層がさらに厚くなっていく(写真は2022年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 撮影/大澤進二)

プロテストトップ合格の逸材、尾関彩美悠が初優勝。続々と登場するニューヒロインたちで女子ツアーの選手層がさらに厚くなっていく(写真は2022年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 撮影/大澤進二)

尾関は昨年11月のプロテストをトップで合格。前週の川﨑春花に続いて、ルーキーイヤーに初優勝を手にした。競り負けた吉田は今季5度目の2位。2週連続優勝がかかっていた川﨑、アマチュアの馬場咲希、今季予選落ちがなかった西村優菜が予選落ちを喫した。

終盤を迎えて、首位には11アンダーで最終組の尾関、吉田、2組前の後藤未有が並んだ。そんななか、後藤が18番のティーショットを池に入れて脱落。時を同じくして16番では吉田が10メートルのバーディパットを沈めると、尾関が7メートルを入れ返し、優勝争いは激しさを増していった。

首位に並んだまま迎えた18番では先に吉田が3メートルのチャンスにつけたのに対し、尾関はその内側にピタリ。最後は1.5メートルを沈めた尾関に軍配が上がった。先に涙を流すキャディとは対照的に尾関は笑顔。息詰まる優勝争いを19歳のルーキーは「最後まで楽しめたのがよかったと思います」と振り返った。最近の若い選手に共通する点だが、勝負度胸満点。プレッシャーに押しつぶされるような雰囲気はなかった。

渋野日向子の登場以来、女子ゴルフでは“スマイル”がキーワードのようになっているが、高校の後輩にあたる尾関もラウンド中の笑顔が印象的。それでも、ラインを読み始めると一転して鋭い目つきでグリーンを見つめる。周囲には緊張感が漂うほどだ。スマイリーアサシン――。その姿からはかつて丸山茂樹につけられたニックネームが浮かんだ。

画像: ラウンド中はやさしい笑顔、そして勝負度胸も満点。すでに多くのファンがいるというが、さらに増えそうだ(写真は2022年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 撮影/大澤進二)

ラウンド中はやさしい笑顔、そして勝負度胸も満点。すでに多くのファンがいるというが、さらに増えそうだ(写真は2022年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 撮影/大澤進二)

アマチュア時代はルーティンが特徴的だった。アドレスに入った後、ターゲットラインと平行にしたクラブを胸の辺りまで引き上げて、方向を確認する。これは姉のように慕う小倉彩愛が2017年の「日本女子オープン」でローアマ(3位)に輝いた際におこなっていたルーティンを真似したもの。お世辞にもカッコいい動作ではないが、これによりアライメントの課題を克服し、昨年の「日本女子アマ」では優勝を果たしている。せっかくハマっていたものをプロになって、やめた理由は「時間短縮です。時間を気にしなければ、今でもやりたいぐらいです」。ツアーに出るにあたり、よりプレーファストを意識するようになったのだという。

ルーキーながら当初から応援団を引き連れてプレーしており、トーナメント会場ではむしろ大きな声援を送るファンのほうが目立っていたが、この優勝で実力も十分に兼ね備えていることを証明した。おっとりした雰囲気とあどけなさの残る笑顔、対照的にプレーに入った際に見せる鋭い表情とスマートなプレーぶり。このギャップで今後はさらに多くのファンを魅了する存在となりそうだ。

This article is a sponsored article by
''.