「住友生命レディス東海クラシック」で初優勝を飾った尾関彩美悠。大会を通してのフェアウェイキープ率3位、パーオン率は90%の1位と安定したショットを生んだスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

前週の公式戦「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」に続いて19歳の選手、尾関彩美悠選手が初優勝を飾りました。前週の最終日は16位タイからスタートしスコアを崩して29位タイで終え悔し涙を流していたとキャディについた栗永遼さんから聞いていました。プロテストトップ通過したコースで試合が開催されたこと、同い年の川﨑春花選手に先を越されたこと、自分が思うようなゴルフができなかったことが悔し涙の理由でした。そして「♯次は私」と栗永キャディに送ったSNSの思いを胸に今週乗り込んできていました。

画像: 「住友生命レディス東海クラシック」で初優勝を飾ったルーキーの尾関彩美悠(写真は2022年の住友生命レディス東海クラシック 写真/大澤進二)

「住友生命レディス東海クラシック」で初優勝を飾ったルーキーの尾関彩美悠(写真は2022年の住友生命レディス東海クラシック 写真/大澤進二)

同じく19歳の佐藤心結選手と川﨑春花選手の3名を注目選手として練習ラウンドから見て歩いていました。今週からスリクソンの発表前のドライバー「ZX7MkⅡ」、FW2本、UT3本を一気に投入し、曲がりの幅が狭くなったことにも助けられたと会見では話していました。では新ドライバーで打ったスウィングを見てみましょう。

アドレスではあまりボールを左に置かずに構えているのはドローヒッターだからでしょう。胸の前に手元をキープしながらワイドに大きな弧を描きながら始動していきます。手元が胸の前にあることで腕の動きと体の回転量がリンクして早い段階で背中がターゲットを向いています(画像A)。右の画像では側屈を入れながら前傾角に沿って左肩が下げるようにテークバックでしていることで左腕よりも右腕が高い位置にあることが見て取れます。

画像: 画像A アドレスでは球を左に置かないのはドローヒッターだから(左)。手元を胸の前にキープしながらワイドに大きな弧を描いてテークバックする(右)

画像A アドレスでは球を左に置かないのはドローヒッターだから(左)。手元を胸の前にキープしながらワイドに大きな弧を描いてテークバックする(右)

トップでは縦にねじるように手元は高く、骨盤の回転量よりも肩のラインは深く入り、しっかりと捻転されています。後方から見るとトップでは少しターゲットラインとクロスするようなシャフトの向きから、独特の間を取りながらダウンスウィングのプレーンにクラブが乗ってきます(画像B)。試合の3日間はゆっくりとしたテークバック、トップからの切り返しの間がまったく狂わないスウィングテンポを保っていました。

画像: 画像B 手元が高くアップライトなトップから独特の間を取りダウンスウィングのプレーンに乗せる

画像B 手元が高くアップライトなトップから独特の間を取りダウンスウィングのプレーンに乗せる

トップでアゴに近づいた左肩が顔の向きをキープしたままダウンの回転に入ることでスッと離れていきます。同時にダウンスウィングでは、体幹部の回転に合わせて右ひじを体のわきに沿うように下ろし、左わきも締まった再現性の高いインパクトを迎えています。(画像C)

画像: 画像C 体幹の回転に合わせて右ひじを体のわきに沿わせて下ろし、左わきも締まった再現性の高いインパクトを実現する

画像C 体幹の回転に合わせて右ひじを体のわきに沿わせて下ろし、左わきも締まった再現性の高いインパクトを実現する

3日間のパーオン率90%(1位)は「今週はパーオンを優先していこう」という栗永キャディと立てた作戦の成果でしょう。積極的にピンを狙うショットとパーオンを優先させるショットとのメリハリもしっかりとマネジメントできていました。最終ホールのラフからピンにからめたセカンドショットは私が優勝するんだという選手として必要な勝負強さを感じさせてくれました。

画像: 間近4試合でキャディを務め初優勝をサポートした栗永遼プロキャディ

間近4試合でキャディを務め初優勝をサポートした栗永遼プロキャディ

また新たなヒロインが誕生した国内女子ツアーですが残るは最終戦のツアーチャンピオンシップまで入れて10試合。いよいよ後半戦に入り、メルセデスポイント女王争いとシード獲得ラインから目が離せなくなりそうです。

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