「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は最近のドライバーが飛ぶようになった要因について教えてもらった。

みんゴル取材班(以下、み):2022年の男子ツアーでは河本力が従来のドラインビングディスタンスの記録を大幅更新しました。PGAツアーでもディスタンスが伸びていますが、これらはクラブの進化によるものと考えていいのでしょうか。

宮城:平均飛距離という意味ではクラブの恩恵も大きいでしょうが、半分以上はボールのお陰だと思います。

画像: 飛距離アップの最大の要因は、ボールの進化だと宮城氏は言う

飛距離アップの最大の要因は、ボールの進化だと宮城氏は言う

み:なるほど。実は少し前に全米学生代表選手たちにパーシモンのドライバーを打ってもらったところ軽々300ヤード飛ばしていました。そのときにひょっとしてクラブではなくボールの進化によって飛距離が伸びているのではないかと思いました。

宮城:ぼくもこの前たまたまプロも交えて昔のクラブで何がよかったか話をしたときに、「ミズノプロ300S」は芯を食えば、いまのクラブに負けないくらい飛ぶよねという意見で一致しました。また別の機会にはそれより古い「プロ230チタン」を持ってきたプロがいて、いまのクラブと変わらない飛距離を出していましたよ。パーシモンの場合もシャフトが重くて短いので圧倒的に飛ぶとはいえませんが、いまのボールを使えば300ヤード飛んでも不思議ではありません。

み:30年前のクラブと最新のクラブの飛距離が変わらないというのは納得がいきませんね(笑)。高反発時代のクラブが飛ぶのはわかりますが。

宮城:スピンが入るので飛び方は違います。キャリーなら昔のドライバーのほうが飛ぶでしょう。いまのクラブはロースピンでキャリーとランを足してトータルで飛ばす設計。進化の方向性はボールと一致しています。また、パーシモンはダウンブローで打たないと球が上がりません。とくにいまのロースピンボールだと誰が打っても飛ぶというわけではありません。

み:なんとなく安心しました。

宮城:いまのクラブでどこが一番進化しているかといえば、芯を外したときに距離が落ちないところです。プロですら毎回必ず芯に当たるとは限らないし、ミート率のよくないアマチュアであればいまのクラブのほうが圧倒的に恩恵を受けられます。

み:ボールは最新のものなら何を使っても飛びますか

宮城:飛距離アップの最大の要因がボールの進化にあるということは、ボールのチョイスが一番大事です。最近はボールのコンプレッションが表記されなくなりましたが、コアの硬さは重要。自分のヘッドスピードである程度つぶれるボールを選んで下さい。コアの硬いボールは初速が出るけれど、ある程度つぶれてくっついてくれないと、球が右に滑ってしまいます。逆にコアが軟らかくてつぶれすぎるとボールの内部でエネルギーをロスして飛びません。初速が出てスピンコントロールもできるちょうどいい硬さのボールを見つけましょう。これからの気温の低い時期はゴムが硬くなるので夏よりも軟らかいボールを使うのも飛ばしの秘訣です。

This article is a sponsored article by
''.