「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はドライバーの適切な重心高について教えてもらった。

みんゴル取材班(以下、み):以前、トップアマのドライバー調査をしたところ、重心がやや高めのモデルを使用している人が多くて意外な印象を受けました。

宮城:メーカーは低重心ほど飛ぶと言い切っていますがそうとは限りません。スピンが減るのは確かなのでボールスピードが速い人は飛ぶようになるでしょう。しかし、そこまでスピードが出ない人が使うと失速して飛ばなくなる可能性のほうが高いです。ドライバーのスピンは悪の根源のようにいわれていますが、揚力でボールを持ち上げて助けてくれるのもスピン。ヘッドスピードや打ち出し角に応じた適正なスピン量が必要です。

み:スピードも打ち出し角も十分あるトップアマがあえてスピン多めのドライバーを使う理由はなんでしょうか。

宮城:以前UCLAのゴルフ部を訪問したときの話です。部には人数分のトラックマンが完備されていてデータを取りながら練習するわけですが、彼らはどれくらいのスピン量でドライバーを打っていると思いますか。

み:うらやましすぎる練習環境ですね。大学生ならヘッドスピードはプロ並みなので2000回転くらいですか。

宮城:いえ、彼らが目指しているスピン量は2300から2500回転くらいです。そもそも2000回転を切るようなクラブは使いません。ボールスピードが速いのでそれだけのスピン量だと前に飛びません。でも飛ばないけれど球が安定するほうを選ぶわけです。スピンが少なすぎるとダックフックのような危険球が出ますから。当時彼らが多く使っていたのは「G400」や「G410」などそれほど低重心ではないモデルでした。日本のトップアマが低重心すぎないドライバーを使うのも同じ理由でしょう。

み:それにしてはスピンが減りすぎるドライバーもけっこうあります。

宮城:ヘッドスピードが50m/sを軽く超えて球も上がるアスリートが使えば適正スピンになります。ボールがどんどん進化して、ショートゲームではスピンが入るけれどロングショットではスピンの減るボールが出てきたのも理由です。

み:ボールとクラブの相乗効果でスピンが減りすぎてしまうというわけですね。アベレージゴルファーにはどんなドライバーがおすすめですか。

宮城:低重心イコール浅重心なので球は余計に上がりません。したがってふつうのアマチュアが使うならやはり極端に低重心ではないもの、ロフトは9度よりも10度をおすすめします。

画像: 「ふつうのアマチュアは、極端に低重心すぎないドライバーのほうが、ほどよいスピンで弾道が安定します」と宮城氏は語る

「ふつうのアマチュアは、極端に低重心すぎないドライバーのほうが、ほどよいスピンで弾道が安定します」と宮城氏は語る

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