
新たに登場した「WHITE HOT VERSA」。ONE(左上)、DOUBLE WIDE(右上)、THREE(右下)、SEVEN(左下)、TWELVE(中)の5種類。「SEVEN」と「TWELVE」にはネックが違うモデルもある
「VERSA」(ヴァーサ)といえば2013年に登場し、ヘッドが黒と白のツートンカラーで目標に対してセットアップしやすい、新しいアライメントを持ったパターとして人気になったモデルだ。日本女子ツアーのトッププロをはじめ、いまも手放さないプロが多くいる。そのパターが「WHITE HOT VERSA」として2023年によみがえった。
ただ単によみがえったわけではない。どんなパターなのか、機能を見てみよう。
まず「WHITE HOT VERSA」の特徴である白と黒のカラーリング。パターのフランジや上の面に施されるラインとは違って、フェース面と並行に白と黒の帯が施してある。このツートンカラーによってフェース面をターゲットのラインに対して直角に合わせやすい。
オデッセイのパットラボの調べでは距離3mのパッティングの場合、フェースの向きが正しい位置から1度傾くだけでカップの中心から53.1mm外れた方向を狙っていることになるという。
じつはこの「VERSAアライメント」も改良が施されている。黒と白の帯の幅を見直し、前モデルよりも白の幅が太くなった。これによりフェースがターゲットとズレてセットアップされた場合、瞬時に判断できるようになった。そして白と黒の幅は各モデルのトップブレードと同じ太さになっており、ヘッドのタイプ別に白と黒のコントラストのバランスがアップし、さらに構えやすく進化した。

フェースインサートには軟らかいのにタッチが出しやすい「ホワイト・ホット インサート」を採用
「WHITE HOT VERSA」の進化はアライメントだけではない、ヘッドには「WHITE HOT OG」パターと同じウェイトシステムを搭載。フェース寄りのトウ、ヒールにタングステンウエイトを配置することで高慣性モーメントと浅重心化の両立を図っており、安定したストロークと最適なボールの転がりを生んでいる。
さらにインサートにはプロにも大評判の「ホワイト・ホット インサート」を採用。軟らかく、しっかりとした打感でカップを狙っていける。
さて、この新しい「WHITE HOT VERSA」の実力はいかがなものなのか? プロのなかでもパッティングの研究については第一人者とも言っていい、大本研太郎プロに聞いてみた。

大本研太郎プロに最新の「WHITE HOT VERSA」を試してもらった
大本プロと「VERSA」の出会いは2013年、初代モデルに遡る。
「パターのヘッドが白黒に塗り分けられた『VERSA』のデザインは、初代のモデルから余計なことを考えずにパッと構えられるパターとしていいなと思っていました。真っすぐ構えられるアライメントのシステムもいいのですが、白い色は緊張を和らげる効果もあります。黒一色のものに比べてヘッドに白が入ることで力みが減るのです」(大本プロ)
大本プロのスタジオには初代「VERSA」がいまも置いてあり、レッスンの場で活躍している。
「白は膨張色で景色がぼやっと見える、そうするとスムーズにヘッドが動くんですよ。右脳と紐づく。じつはパッティングって真面目に構えると真面目に打てないんです。ジュニアみたいに構えて本能で打ったほうがいいのです」(大本プロ)
スタンスのラインがビタビタに真っすぐ、ひざ、腰もスタンスと寸分も狂わないほどスクエア、フェースはカップに究極に真っすぐ向いていて、距離3mの振り幅はこのくらいで……。アドレスでこんなにいろんなことを考えていたらカップにボールを入れるという目的は薄れ、体にも力が入ってスムーズなストロークができなくなってしまう。
アライメントはパターに任せてスッと構えられてスッと打てるのがいいと大本プロ
「たとえば階段を上るときって『さあ、上るぞ!』と階段を凝視していますか? 視野の中心に置きながらぼんやりと見て階段を上っているはずです。「見えているけど、見ていない」あの感覚がパッティングでも欲しいのです。中心視野でなく周辺視野で見て、景色の一部としてほしい。1パーセントでも強く見てしまうと筋肉の反射がおこり、スムーズにストロークできなくなります」(大本プロ)
そこで頼りになるのが「WHITE HOT VERSA」だ。
「普通のパターよりアライメントが取りやすい。ポンと置いてスッと構えられる。アライメントはパターに任せて、いい意味で雑に構えられる。グリーンの傾斜地からのパッティングでとくに威力を発揮してくれるのではないでしょうか」(大本プロ)
もうひとつ大本プロが注目したのはヘッドのデザインからくるイメージだ。
「この白黒のデザインはカップインのイメージも出ているように思います。パッティングにおいてイメージというのは重要です。頭の中をイメージモードに切り替えられるようになると、イメージがいいストロークを生みます。たとえば「TWELVE」、ボディの大きさがカップと同じ、太い白い帯がボールと同じ幅で、いいストロークをしてボールがカップに向かうイメージが出ています。ほかのモデルは黒の帯に挟まれた白い帯がちょうどカップインしたボールをイメージさせてくれますね」(大本プロ)

白と黒のデザインはアライメントだけでなく、ナイスパットのイメージを作ってくれると大本プロ

浅い重心設定は自然とハンドファーストに構えられるメリットもある
「最近、パッティングがおかしくなった、入らなくなったな、ちょっとパッティングで力むようになったな、と思い始めたときに使ってみるのもいいですね」(大本プロ)
パッティングで方向性のよさだけでなく、スムーズなストロークも生むという新しい「WHITE HOT VERSA」。その性能のよさは構えた時にすぐ、ビビッとわかるはずだ。