松山英樹をはじめダンロップ契約選手はもちろんのこと、最近では蟬川泰果など“あえて”ボールだけ契約する選手も増えているスリクソン『Z-STAR シリーズ』。その8代目が登場したが、今回は性能の圧倒的な進化を図るために、大幅な変更を加えているという。開発担当者に話を聞くと、思わず『Z-STAR シリーズ』を試したくなる……そんな内容が目白押しだった。

さらに飛距離性能が増した『XV』。コアの変化で打感が軟らかくなった

画像: 『Z-STAR XV』。新モデルは自慢の飛距離性能に加え、スピン性能、フィーリングが向上。蟬川泰果、山下美夢有、勝みなみ、小祝さくら他が使用する

『Z-STAR XV』。新モデルは自慢の飛距離性能に加え、スピン性能、フィーリングが向上。蟬川泰果、山下美夢有、勝みなみ、小祝さくら他が使用する

――まずは蟬川選手らが愛用する『XV』について聞かせてください。今回ボールの“コア”に大きな変化があったとか。

住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループ 井上英高さん:今回3つすべてのボールに関して、前例にとらわれず“ゼロベース”で考えてみようという思想がありました。『XV』についてはコアの変更が顕著で、従来コアが二層だったものを単層にしたんです。

――その理由は?

井上:コアは中心近くを軟らかく、外側を硬くする“硬度変化”をつけるのが一般的。端的に言えばドライバーでは飛ばし、アイアンやアプローチでスピンを利かせるためです。今回はその“理想形”となる硬度変化をまずは探しました。それを実現するには、従来の二層ではなく単層でもできるかもしれない、ということで、二層と単層の両方を作り、プロ、トップアマに試打してもらったんです。すると性能面では変わらなかったんですが、単層のほうがソフトで、フィーリングの面で明らかなメリットがありました。

画像: 中心部からコア全体の2/3付近までは硬度変化を大きくして硬度を高め、コア表面近くの1/3部分では硬度変化をゆるやかに。ドライバー、アイアン、アプローチとそれぞれが求めるパフォーマンスを最大限に発揮できる、3モデルに共通するコアの設計だ

中心部からコア全体の2/3付近までは硬度変化を大きくして硬度を高め、コア表面近くの1/3部分では硬度変化をゆるやかに。ドライバー、アイアン、アプローチとそれぞれが求めるパフォーマンスを最大限に発揮できる、3モデルに共通するコアの設計だ

――ソフトな打感というのはショートゲームで?

井上:いえ、ドライバーをはじめ全番手でそう感じる人が多かったですね。ただ従来の『XV』らしい芯のある打感は大事にしたかったので、今まで『XV』を使っている人が違和感のない、弾くけど、軟らかい打感です。性能面では『XV』の特長である飛距離性能をさらに伸ばし、スピン性能も一段上がった。さらにフィーリングがよくなったのが今回の『XV』です。

――松山選手からは、何かリクエストがあったのでしょうか。

井上:開発段階で今回の『XV』の類似構造のものを打ってもらったときに、「これ、アプローチでボールが助けてくれる、そういう感覚がある」というポジティブな意見がありました。

――“助けてくれる”とは?

井上:フェースとの間に芝が噛んだりしたときに、急にスピンが落ちてしまうことがあります。そういう現象が今までは100球中5、6球あったけど、それが減る、という印象のようです。多少芝を噛んでもしっかりスピンが入ると。あと特にショートパットで“安心できる”音と打感だという意見もありました。パットでの印象も良いようです。

画像: 松山は新『XV』のアプローチのスピン性能とパット時の打音を絶賛する

松山は新『XV』のアプローチのスピン性能とパット時の打音を絶賛する

『STAR』の弾き感が各段にアップ! もう飛ばないとは言わせない

画像: 『Z-STAR』。持ち味である食いつく打感はそのままに、ロングショットでの“弾き感”が大幅にアップ。飛距離性能とソフトフィーリングの両立。稲森佑貴、香妻陣一朗、上野菜々子、竹田麗央らが使用

『Z-STAR』。持ち味である食いつく打感はそのままに、ロングショットでの“弾き感”が大幅にアップ。飛距離性能とソフトフィーリングの両立。稲森佑貴、香妻陣一朗、上野菜々子、竹田麗央らが使用

――では『STAR』はどうでしょう。プロの間では“弾く感じが出てきた”という意見も多いようですが。

井上:まさにそこは狙ったところです。『STAR』は3モデルのなかでは弾き感が薄く、「飛ばないかな」という印象をもつ上級者も多かった。今回『STAR』で「おっ、飛んでるな」とい思わせるにはどうすべきかを考え、これもコアの硬度変化に工夫を凝らして実現しました。打感に関しては、『XV』とは逆で、弾く感じを持たせながらも『STAR』らしいソフトな打感は大前提。フェースに乗ってコントロールが利くことは維持しながら、弾く感じにしたというのが正しいですね。前作から最も変化が大きいのが『STAR』だと思います。これはプロたちも同意見ですね。

画像: 「打感が一層ソフトになって食いつきがいい。弾き感も出たので総合点が非常に高い」と語る稲森佑貴

「打感が一層ソフトになって食いつきがいい。弾き感も出たので総合点が非常に高い」と語る稲森佑貴

『♦』は『XV』の弾き感と『STAR』の乗り感の“いいとこ取り”

画像: 『Z-STAR ♦(ダイヤモンド)』。アイアンのスピン性能が高く、硬く締まったグリーンでも止まるように設計。星野陸也、桂川有人、畑岡奈紗、尾関彩美悠らが使用

『Z-STAR ♦(ダイヤモンド)』。アイアンのスピン性能が高く、硬く締まったグリーンでも止まるように設計。星野陸也、桂川有人、畑岡奈紗、尾関彩美悠らが使用

――今回から『♦(ダイヤモンド)』が正式にラインナップに加わりました。3つのうち、もっともアイアンでスピンが入るように設計されているモデルということですが、愛用するプロも増えていますね。

井上:はい。アイアンのスピン性能が高く、PGAツアーのようなグリーンでも止まることが大前提のモデルですが、そのなかで、今回は『XV』と『STAR』の“いいとこ取り”ができたと思っています。『XV』のような弾き感がありながら、『STAR』のようなフェースの乗り感がある。それこそゼロベースで、硬さも構造も一切制約を設けずに絞り込んでいきました。アイアンのスピンを上げつつ、ドライバーのスピンを減らす。この難しい前作からの命題をより具現化できたと思います。

――アイアンのスピンを増やそうとすると、ドライバーのスピンも増えやすくなるのでしょうか。

井上:それは間違いないですね。ただ選手のなかには、スピン量が少ない人もいます。私たちが考えるドライバーの適正スピンは2200~2400回転くらいですが、2000回転を切る人も。そういう人にとっては『XV』や『STAR』よりも『♦』がちょうど良かったりします。スピンが増えることが一概に悪ではない、ということがテストからわかってきました。

画像: 桂川有人は「ドライバーで安定したスピンが入りつつ、初速も速い。一石二鳥のボール」とロングゲームでのメリットを実感する

桂川有人は「ドライバーで安定したスピンが入りつつ、初速も速い。一石二鳥のボール」とロングゲームでのメリットを実感する

プロは口を揃える。『Z-STAR シリーズ』は「風に強い!」

――完全に3モデルになったことで、よりプレーヤーにマッチするようになった反面、選ぶのが難しい気もしますが。

井上:確かにどう選べばいいかよく聞かれます(笑)。個人的には、一番試しやすいのはパターなので、それを基準にするのもいいと思います。この3モデルは打感が全然違うんです。音が大きい小さい、硬い軟らかい、重い軽い、これは一般アマチュアでもわかります。「この打感、好きだな」で選ぶのもアリ。プレースタイルが確立していれば、ドライバーでの飛距離のアドバンテージを取るなら『XV』、アプローチの感覚を生かして1パットで凌ぎたいなら『STAR』、アイアンが得意でしっかり止まる球を打ちたいなら『♦』という具合に選べます。ただ入り口はパターの打感でも良いかもですね。

――ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、多くのツアーパフォーマンスボールのなかから、あえて『Z-STAR シリーズ』を選ぶ理由があるとすればなんでしょうか。

井上:そうですね、多くのプロと話をするなかで一貫して出てくるのは「スリクソンは風に強い」という感想です。ブルックス・ケプカ選手も「同じスリクソンのアイアンなのに、なんで(松山)ヒデキのボールはあんなに風に強いんだ? もしかしてボールに秘密があるんじゃないか?それならばボールを使ってみたい」ということから契約に至りました。2019年の全英オープンに勝ったシェーン・ローリー選手も「風に対するボールの強さがよかった」とコメントしていますし、蟬川選手もそれを大きなメリットとして感じているようです。

画像: 松山英樹の風に負けないアイアンショットを見て、ボールのスイッチを決断したブルックス・ケプカ

松山英樹の風に負けないアイアンショットを見て、ボールのスイッチを決断したブルックス・ケプカ

――どうして風に強いんでしょう。

井上:“ディンプル”の開発力だと考えています。横風に負けない、アゲンストでもちゃんと前に行く、これは『Z-STAR シリーズ』に限らず、ダンロップのボールに共通している強みだと思います。

初速制限など、ルールで多くの制約を受けるゴルフボールだが、今後の開発の方向性を聞くと、「前例の良い部分は踏襲しつつも、今あるものをベースに考えないこと。ボールのコアだけではなく、中間層、カバーなど、材料は何を使ってもいいよね、というところからスタートしていろいろ変えていくことだと思います。そうしていかないと技術的なブレイクスルーはありません」と井上さん。次の技術革新も楽しみだが、まずは今回のNEW『Z-STAR シリーズ』の“他にはない”性能を味わってみてはいかがだろうか。

スリクソン Zスター公式HPはこちら

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