「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は宮城さんに今年のイチ推しドライバーを教えてもらった。
画像: 左からピン「G430」、キャロウェイ「パラダイム」、テーラーメイド「ステルス2」

左からピン「G430」、キャロウェイ「パラダイム」、テーラーメイド「ステルス2」

みんゴル取材班(以下、み):「G430」に次いで「ステルス2」と「パラダイム」も発売され、外ブラ御三家のドライバーが出揃いました。今年もっとも売れそうなドライバーはどれでしょうか。

宮城:宮崎や沖縄でキャンプをしているプロたちから情報を集めてみたのですが、パラダイムの評価がかなり高いですね。試合で使うか使わないかは別にして、飛ぶ、打ちやすいという声が圧倒的です。

み:「エピック」や「ローグST」も十分飛びますが「パラダイム」はそれ以上に飛ぶ? それはなぜでしょう。

宮城:フェースのテクノロジーは従来の延長線上ですが、今回はカーボンでボディを作ったことが大きいと思います。カーボンはボディを作るのに理想的な素材なんです。

み:もう少し具体的に教えてください。

宮城:カーボンでボディを作るメリットは2つあります。ひとつは軽さです。ヘッドのパーツはフェースよりもボディのほうが重いのでボディを軽くすることで、より大きな余剰重量が生まれます。もう一つは剛性の高さです。ボディがたわむとエネルギーは吸収されてしまいますが、つなぎ目なしで作られている「パラダイム」のボディはさらに剛性が上がり、ボールにエネルギーを伝える効率も、かなり高くなっていると考えられます。

み:では、プロが打ちやすいと感じる理由は?

宮城:今回、キャロウェイの新作はC4のようなオールカーボンになるとぼくは予想していましたがフェースはチタンのままでした。作る技術はあってもあえて採用しなかったのはチタンフェースのほうが打っていて違和感がないからだと思います。

み:確かに「パラダイム」の打感はやわらかいですね。飛んで打感がいいとなれば今年は「パラダイム」優勢ですか?

宮城:そう簡単にはいかないでしょう。プロの間では先に発売された「G430」の評価が本当に高いです。メーカーからいろいろなドライバーを借りて試打して、結局「G430」を買ったフリーのプロは大勢います。

み:「G430」は前作のコンセプトを継承しています。そんなに評価される理由はなんですか?

宮城:ひとつは振りやすさでしょう。「G430」は昔からのピンの振り感のまま、打感がよくなり飛距離性能が上がっています。もうひとつは深重心高重心でスピンが適度に入るところです。

み:アマチュアはともかくプロは低スピンのほうがいいのでは。

宮城:実はほとんどのクラブメーカーが見落としていることが一つあります。それは最近の新人類プロが昔よりもスピンの少ない打ち方をしていることです。インサイドからアッパーに振ってスピンが減るところにボールが低スピン、ヘッドも低スピンとなるとスピンが減りすぎて危険な球が出やすくなります。前の「ステルス」はやたら飛ぶけれど、球がどこにいくかわからないので怖くて振れないといわれたのはそのためです。

み:性能が極端すぎると使いづらいということですか。

宮城:クラブを振るのは人間なので「ふつう」という安心感も大事です。そこをブラさないピンはさすがです。「ステルス2」は前作よりもやさしくなりましたがイメージが代わり映えしません。本命の「G430」を「パラダイム」が追いかけるという構図になるのではないでしょうか。

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