ツアーが開幕してプロたちが使うクラブも一新。とくにドライバーは1ヤードでも飛距離が欲しいプロにとって今シーズンの成績を左右する重要な武器だ。新しいヘッドの性能を引き出し、アドバンテージを生み出すシャフトはどれなのか? オフの間にテストし、導かれた組み合わせを手にして試合に挑む。
今年の女子プロツアーでは、とくにUSTマミヤのシャフトが目立つ。なんといっても注目は「The ATTAS V2」(ジ・アッタスV2)だ。
「The ATTAS V2」の名の通り、男子プロでは金谷拓実、女子では稲見萌寧の賞金女王獲得を後押ししたシャフトとして有名なモデル「The ATTAS」のニューバージョン。
特徴であるクセのないしなり感を継承しつつ、ブラッシュアップされた性能は「すべての『ATTAS』のど真ん中」でどんなゴルファーにもマッチ。振りやすさとクセのなさは先代譲り、そして慣性モーメントが高い現代の大型ヘッドにマッチ、インパクトでの当たり負けはより少なくなり、その力を飛距離へと変換する。2023年の女子ツアーでは原英莉花、西郷真央、桑木志帆らが使用し、好成績を残している。
「The ATTAS V2」以外にも「ATTAS DAAAS」や「ATTAS KING」などを使うプロもいる。
この「ATTAS」人気を作っているシャフトの性能はどんなものなのか?
サウスゴルフアカデミーの伊丹大介プロがテストしてみた。
「The ATTAS V2」の 5Sは
振りやすくて飛ばせる!
女子ツアーでは西郷真央、原英莉花、石川明日香らが使うのは「The ATTAS V2」の5S。どのプロも好調な成績を残している。
「これは振りやすい! 振りやすいのでヘッドも軽く感じ、ヘッドスピードが上がりますね。切り返しのときに粘る感じがしてインパクトでゆっくりとしなり戻ります」と伊丹プロ
「ヘッドの重みを感じやすいので、タイミングが取りやすい。切り返しで粘ってインパクトでポンッと打てる。結果、ミート率が高くなって飛距離がアップします」(伊丹)
では、どんなゴルファーに合うのだろう?
「トップから力んで振る男性ゴルファーに使ってほしいですね。ホースを振ってるようにトップで間が作れて、切り返しの力みがなくなり、切り返し以降がとても安定する。振り遅れないからインパクトでフェースが開いて右にスッポ抜けることもありません。重すぎず軽すぎず振りやすいことで飛ばせる。ボールを自分でつかまえようとしなくてもシャフトがつかまえてくれますよ」(伊丹)
実際に原英莉花が使う「コブラLTDx」シリーズとのマッチングはどうなのか? 実際に組んで打ってもらった。
「原選手は切り返しが速いタイプだからグリップ下の手元側が硬いほうが合いそうですが、そういう人が手元が硬いシャフトを使うと力みすぎて方向性が安定しない。「The ATTAS V2」くらいしなりがあったほうがじつは方向性が安定するのです。慣性モーメントが高いヘッドとの相性もいいですね」(伊丹)
「The ATTAS V2」の 4Xは
一発の飛びと平均飛距離がアップ!
女子プロツアーでは石川明日香らが使う4X。軽量でフレックスは硬め、近年、男性アマチュアゴルファーにも注目されているスペックだ。
「すごく振りやすい! 振りやすいシャフトはタイミングが取りにくかったりするんですけど『The ATTAS V2』の4Xは切り返しで間を作りやすいのでそれがない。Xといってもハードすぎず、手元でしなりを感じられます。もちろん一発の飛びも期待できますが、平均飛距離も伸ばしやすいでしょう。ヘッドのリアルロフトが12度くらいのものを選べばヘッドスピード40m/sくらいの人も使えますね。上は47msくらいまで使えるのではないかと思います」(伊丹)
石川明日香が使うキャロウェイ「PARADYM」に装着して打ってもらった。
「マッチングはいいですね。インパクトでシャフトがしなり戻ったときにフェースがグッと、それも早めに戻る感触があったので、ボールのつかまりがいい組み合わせです。フェースアングルがストレート、そしてロフトが立ち気味でちょうどいい。飛距離も出ていますね。スピンが多いという人はロフトが少ないモデルで打てればスピンも減って強い球が打てます」(伊丹)
「DAAAS」や「KING」も活躍中
ツアーで使われているのは最新モデルの「The ATTAS V2」だけではない。安田祐香はスリクソン「ZX5 MkⅡ」に「ATTAS KING」の5Sを装着して使用している。
「インパクトでグッと先が動いてくれる感じがしますね。ヘッドスピードでいうなら45m/s未満が合うと思います。ヘッドスピードを落として打つと、よりドローがかかりやすい」と伊丹プロ。
このシャフトとスペックはとくにアマチュアゴルファーに向いているという。
「体が硬くなってきて、コンパクトなスウィングでヘッドスピード40m/s未満の男性に使ってもらいたい。ヘッドスピードが遅くても、シャフトの力で球を上げてくれるので、キャリーを出したい人にもいいと思います。重たいヘッドを装着してボールをつかまえるより、軽いヘッドで試してもらいたいですね。ハイボールと大きなキャリーで一発の飛びが狙えます。球ドロップしてキャリーでないという人にも合うと思います。いわゆる『ヨッコイショ』というタイミングで打っている人にピッタリですよ」(伊丹)
永井花奈が使うのは「ATTAS DAAAS」の4S。
「切り返しでもちゃんと粘りを感じますね。タイミングを合わせて打てたとき、インパクトでボールを押して行く感じが強い。自分でシャフトをしならせられない人、切り返しでタメをうまく作れない人でも、シャフトが勝手にしなってタメを作ってくれる。だから無理に「タメ」の形を作らなくてもいい。もともと切り返しがゆっくりめの人は合うと思います。使えば、かなり飛ぶと思いますよ。インパクトでの当たり負けがないのでヘッドスピードが50m/sに近い人も使えます。逆にパン、パンと切り返し前後の動きが速い人は合わない。イメージ的にはボールに当たった時とボールが飛び出すときのロフトが変わらない。非常に強い球が打てて、スピンは少ないシャフト。ロフト多めのヘッドほうが合うでしょう」(伊丹)
そして最後に女子プロの中でも飛ばし屋として知られる小林夢果が使う「ATTAS DAAAS」の6Xをテスト。
「自然にボールがつかまる、振りやすいシャフトですね。あまりにも振りやすいので60g台のシャフトという感じがしません。インパクトで厚く当たりボールは中弾道のロースピン。いつもはストレートで右に飛び出しやすいという人が打つとドローが打ちやすくなる。シャフトの性能でスピンは少なめになりますね」(伊丹)
こちらは実際に小林夢果が使うプロギア「RS JUST」とのマッチングを試してもらった。
「インパクトゾーンでボールと当たったあとにロフトが変わらないでヘッドが進む感じがして、強い球が打てる。だからロフトを多めのヘッドにしてもマッチングがいいでしょう。高い球でスピン少ない、強烈に飛びそうです。振っていて粘る感じは少ないので、タイミングは取りやすい。かといってピーキーではないところがいいですね」(伊丹)
最新の「The ATTAS V2」はもちろん「DAAAS」や「KING」も人気で性能とどんなゴルファーに合うのかがわかった。自分のスウィング、クラブと照らし合わせて、最適な1本を選んで最高のゴルフシーズンで女子プロを超える飛びを目指してみよう!
撮影/野村知也