浅重心から深重心へチェンジ!
『スパイダーGTxトラス』
プロツアーでも人気が高いテーラーメイドの『スパイダー』シリーズ。ミスヒットでの寛容性を高めるヘッドの慣性モーメントと、上級者好みの適度な操作性をバランスよく両立したモデルだ。
2022年の夏に、「トラスホーゼル」を採用した『スパイダーGTトラス』の2機種が登場。軽量アルミニウムボディ&大型スチールウェイトの「ウイング構造」で、ヘッドの両サイドに重量の82%を配分してスイートエリアを拡大しつつ、「トラスホーゼル」との融合でミスヒットにもかなり強いモデルに仕上がっていた。
だが、スパイダーの中ではややヘッド重心が浅いぶん操作性が高まり、その点で逆に難しく感じられたユーザーもいたようだ。

2023年3月に登場したばかりの『スパイダーGTxトラス』を手に持つ橋本真和プロ
パッティングコーチの橋本真和プロは言う。「操作性が高いと、ストロークがスムーズになる半面、ヘッド軌道やフェース面の安定を保つのが難しくなることもあります。あくまでも、自分のストロークと相性の良いヘッド構造、重心位置のモデルを選ぶのがベターです」
そして2023年3月には、アルミニウムボディをフェース寄りに置いた構造はそのままに、リング状になった大型バックウェイトを装着し、圧倒的な深重心を達成した『スパイダーGTxトラス』が誕生した。

『スパイダーGTxトラス』はバックウェイトを装着することで超深重心・大慣性モーメントを達成
ヘッド軌道もブレにくい「トラスホーゼル」の効用
大慣性モーメントの超深重心ヘッドなら、わざわざ「トラスホーゼル」でなくてもミスヒットには強いはずでは?
「たとえばヘッド慣性モーメントが同じでも、ヒール寄りにホーゼルがあるものとセンターシャフトでは、オフセンターヒット時のフェースのブレ方、打球結果がまったく変わります。シャフト位置、ホーゼル形状も打球結果には大きく影響します」(橋本)

『スパイダーGTxトラス』には2つのネックタイプがある。こちらはヒールネックの『TM1』

センターシャフトタイプの『TM2』はトラスネックの底辺が長く、よりブレが少ない
また、ストロークでのヘッドの開閉にも「トラスホーゼル」は安定性をもたらすという。
「トウ・ヒール方向の開閉はシャフトのねじれの負荷を生じやすくなります。深重心の『スパイダーGTxトラス』は基本的にフェースの開閉を抑えたストロークに合いますが、それでもストローク中にヘッド重心、フェースをブラさないようにするにはホーゼル部分がトラス構造でしっかりしているほうが有利です」(橋本)
ヘッド重心の動きがヘッド軌道を決めるが、打球結果を決めるのはフェース面の向きと打点。「トラスホーゼル」なら余計なねじれが抑えられ、ストローク自体も整っていくようだ。

「深重心でありながらさらにトラスネックでヘッドのブレが抑えられている」と橋本プロ
見た目から感覚を刺激する
アライメントとカラー
ミスヒットに強い『スパイダーGTxトラス』だが、その他にもミスヒットを減らす工夫が凝らされている。ヘッド上部の「トゥルーパスアライメント」もそのひとつ。目標に対して明確なラインをイメージさせる真っすぐなラインだけでなく、ヘッド後方から絞り込んだ矢羽のような白い帯状のデザインが、正確なアドレスをサポートしてくれる。
このアライメントはロリー・マキロイも大のお気に入りで、前作『スパイダーGTトラス』で採用しなかった際、苦言を呈したという。

ヘッド上面の白い矢羽のようなデザインが正確なアドレスをしっかりとサポートしてくれる
「ただ、構えやすく感じるデザインは人それぞれ。たとえばこのアライメントをはっきり感じたいならヘッドのカラーが黒や赤といったコントラストが強いものを。逆に、少しアバウトな感じにしたければ白や薄いパステルカラーを選ぶといいですね」(橋本)

5色のヘッドカラーを用意。右からブラック、アイスブルー、レッド、デューンシルバー、ホワイト
ヘッドのカラーには集中力を高めたり、心を落ち着かせる効果があるとも言われるが、『スパイダーGTxトラス』のカラーは5種類(ホワイトのみセレクトフィットストア限定)。狙いやすく、ブレないパターの実力は、ぜひ試打で確認してほしい。
さて、『スパイダー』シリーズだけでなく、クラシックタイプのヘッドに新たに、「カーボンコンポジットトラスホーゼル」を採用した『TPトラス』がいよいよ2023年5月発売! 次回は進化した「トラスホーゼル」を検証してみよう。