テスト1/406Y・パー4
『LSドライバー』は“朝イチ”の不安を軽減してくれる
今回は内海大祐プロが、千葉県のゴールデンクロスCCの3ホールを実際にプレーしながら『LS』、『05アイアン』をテスト。
まずは406ヤードのパー4。右ドッグレッグで、右はやや谷になっている厄介なホールだ。ここでは主にドライバーの性能をチェック。
――変則ですが、この6番からスタートしていただきます。
内海 時間も早く(AM7:15)、朝イチの状態でまあまあ厳しいホールですね。
――このような状況ではどんなドライバーが欲しくなりますか?
内海 オーバースペックとか、プレッシャーを感じるようなクラブではまず上手くいきません。何よりほしいのは“安心感”。その点で丸みを帯びていかにもつかまりそうな顔、かついい意味でトップラインがパキッとしていない。やさしい形状の『LS』は気持ちを落ち着かせてくれます。
――右は絶対NGの状況……、ではお願いします。
内海 プレッシャーかけないでください(笑)。
狙いは一番遠いフェアウェイバンカーの右サイドという内海プロ。ティーショットはやや飛び過ぎて左のラフにかかったが、一直線に目標方向へ飛んで行った。
――プロに言うのも失礼ですが狙い通り。一直線に飛んでいきましたね。
内海 朝イチだし取材だし、それなりに緊張しましたよ。でもHS40m/sがターゲット層と聞いていたので、もっと打球が軽いのかと思ったら、強い“ライナー系”で驚きました。ヘッド後方が低く長い深重心っぽい形状なのに、弾道はアスリート系ドライバーのよう。一方でつかまりもいいですね。それでいて左に巻きこむような雰囲気はゼロ。このあたりはシャフト(スピーダーNX for PRGR)の性能もいいんでしょう。ねじれが少ないので、結果ボールもねじれない。そんな印象です。
――では、もう1球お願いします。
内海 お~、これも結構飛びましたね。2球目は少しヒール寄りに当たったんですが、こすり球にならずに真っすぐ。スピン量も少ない感じで……やっぱり球が強い。スライスに悩んでいる方が多いことを考えると、『LS』のこすれない感じはティーショットのミスヒットをかなり助けてくれます。こういう右が嫌なホールでも積極的に振っていけそうです。強い球が打てて、なおかつ大きなやさしさ、安心感もある。実はこういうドライバーってあまりないと思います。
テスト2/172Y・パー3
6Iは強い球、7Iは止まる球。同じ長さでも弾道は大きく違った!
続いてはパー3。172ヤードとやや長めのホールだ。ここでは『05アイアン』のテストを行った。
――微妙に池が気になり、距離も長め。力が入りそうなパー3です。
内海 池はほぼ関係ないですが、それより手前のバンカーが気になりますよね。かつ距離のわりに花道が狭いので、キャリーボールでしっかり止めたい。前のホールの2打目でも7I、8I、9Iを試しましたが、『05アイアン』は基本的に球が上がりやすくて、スピンも適度に入る印象。実際に落ちたところの近くに止まっていましたしね。ヘッドが大きめで、多少芯を外しても飛距離も方向もブレない点も実戦的で、ドライバー同様安心感があります。8Iと9Iの長さの差が1インチ(通常0.5インチ)あるので、飛距離のギャップが大きくなってしまうのではと危惧しましたが、まったくそんなことはありませんでした。ロフトと長さのバランスをうまく取って飛距離差を出しているな、と。
――それを踏まえてパー3のティーショットですが、何番で行きましょう。
内海 激飛び系というロフト設定ではないので、6Iか7Iかで悩みます。でも6Iと7Iは同じ長さ(37.5インチ)ですからね。どちらでも振り感が変わらないのは、これまたミスを防いでくれそうな安心感につながります。今日はピンが奥なので、6Iで行ってみましょう。
――ナイショーッ!これは球が強いですね。
内海 ですね~。正直、前のホールの7Iの弾道からイメージすると意外でした。6Iは中弾道で前へ前へと飛ぶ感じです。距離的にもちょっと大きかったですね。
――では7Iでもお願いします。おっ、明らかに弾道が違いますね。
内海 これはいかにも止まりそうな高弾道。キャリーで距離を稼げます。距離もぴったりです。
――ロフトは6Iで25度、7Iは29度です。
内海 ロフト差は4度とノーマルですけど、やはり25度ともなると球が強くなりますよね。でもそれは悪いことはなくて、“飛ばしにいける”という安心感につながります。見た目は完全にアイアンだけど、飛びはUT的というか。一方7Iから下はアイアン的な弾道でピンデッド、そんなイメージですね。あ、それから打感もいいですよ。フェースに“くっつく”感じがあってコントロールもできます。同じ長さでのロフト違いはまったく違和感がないですし、3レングスアイアンの考え方はゴルフがシンプルになりますね。『05アイアン』のクラブ自体の完成度も非常に高いです。
テスト3/500Y・パー5
FWもUTも吹き上がらない!楽に距離が稼げる200Yクラブたち
3ホール目はパー5。主に『LS』のFWとUTの性能をチェックした。3Wと5Wは42.5インチ、4UTと5UTは39.5インチと、それぞれ同じ長さだ。
――このホール、なかなかしびれるドライバーショットでしたね。
内海 右のクリークが1ペナじゃなくてOBでしょ。フェアウェイはセンターから右半分が右傾斜しているのでどんどんOBに近づいていく。落としどころは結構狭いです。
――そんな中、フェアウェイど真ん中。完璧なドライバーショットでした。
内海 『LS』は右に行きにくいし、左にも巻き込まないドライバーだという安心感がありましたからね。軽い打ち上げなのでキャリーが欲しいところでしたが、高さも出ました。飛距離的にも満足です。
――では残り240ヤード地点から、FWのテストをお願いします。3Wから行きましょう。
内海 自分自身、3Wってほぼティーショットでしか使わないんですよ。フェアウェイからだとどうしてもキャリーが不足しがちなので。『LS』の3Wはそのあたりを考えて、ロフトが16.5度と大きめなんでしょう。長さとロフトは実質4Wですね。では打ってみましょう。
――おー、ドライバー同様、ライナー弾道ですね。
内海 若干打ち上げなので余計にそう見えるところもありますが、16.5度のわりに強弾道ですね。ドライバーと同じく球がねじれず、左右にも曲がりにくい印象です。クラブが短めで“当てやすい”ので、3Wの難しさは感じないですね。打ち下ろしのホールや、アゲンストや横風が気になる中でのショットでもかなり距離を稼いでくれそうです。
――次に5Wをお願いします。
内海 こちらはロフトが20度あるので、構えたときにフェース面がしっかり見えて安心です。打っても、明らかに弾道の高さが違いますね。3Wでは長さが短いぶん高さが抑えられた感もありましたが、5Wはちょうどいい高さ。でも『LS』の特徴なんでしょう、高さは出るけど吹き上がらない。低スピン系で“飛ばせる”感じが強いです。特筆すべきは下めの当たりに強いこと。ソールの溝の効果かと思いますが、下めヒットでもスピンが増えすぎない。地面から打つことが多いFWにとって、これは大事な性能です。
――今度は残り200ヤード地点からUTのテストをお願いします。
内海 まず4UTからいきましょうか。ヘッド形状は後方に大きく、FWとのつながりがいいですね。いやーこれも、球が強くて前に前に行きます。でも高さも十分出る。これは“飛ばせる”UTですね。個人的にも使いたいぐらいです。
――5UTだと弾道が変わりますね。
内海 5UTは構えた時点で「上がりそうだな、つかまりそうだな」という雰囲気がプンプン漂います。案の定、高弾道でビタッと止まりますね。つかまる顔の雰囲気でも左に行く感じはないので、強く打っても不安がないです。
――5UTの下は『05アイアン』の6Iという構成になりますが、そのあたりのつながりはどうでしょう。
内海 『LS』の5UTは26度ですが、『05アイアン』の6Iは25度とロフトが逆転していて、そこで距離のギャップを整えていますね。個人的には、強い球が欲しいときは6I、高い球で止めたいときは5UTという使い分けも、攻め方の幅を広げてくれるのでお薦めしたいです。『LS』にしても『05アイアン』にしても、クラブの性能的にゴルフをやさしくしてくれることに加え、クラブのレングスを揃えるという手段、これもゴルフをシンプルにしてくれる。スコアにこだわりたい人は、試してみる価値が十分あるクラブだと感じました。
【おまけ試打】
8番ホールで終わるのも何なので、アウトの最終9番ホールでも『LSドライバー』のテストを敢行。右ドッグレッグ・打ち下ろしのパー4で距離は347ヤード(レギュラーティー)。
――コースなりに真っすぐ打つと左サイドのOBに突っ込んでしまいますので、ぜひとも右の木を越えてショートカットを。ここはあえて白ティーからお願いします。
内海 いじわるですね(笑)。白ティーからだと、木が目の前にそびえ立っている感じじゃないですか。でも『LSドライバー』の高弾道性能を測るにはいいかもしれないです。じゃあ打ってみます。
――おおお~ッ、木なんてまったく問題ない高さで飛んでいきましたね!フェアウェイセンターで残り距離もわずかです!
内海 ホント、らくらく越えていきましたね。多少高い球を打とうとはしましたが、このあたりは深重心設計が効いています。それでいてスピンも少なめですから、上に行くだけじゃなくて前にも伸びました。期待に応えてくれるドライバーですね。
写真/有原裕晶 協力/ゴールデンクロスCC