
関浩太郎(せき こうたろう)
マンツーマンのゴルフレッスン&クラブフィッティングスタジオ「SEKI GOLF CLUB目黒」主宰。15歳でゴルフを始め、ゴルフ場研修生を経て渡米。最新のゴルフ理論を学びつつミニツアーを転戦。現在はスウィングとクラブの両面からアマチュアの悩みをわかりやすく解決している。
プロや上級者が求める
“操作性”とは“打感の強弱”
多くのアマチュアを指導してきた関浩太郎プロは、パッティングで最優先すべきはタッチ、つまり打感の強弱を整えることだという。
「たとえば、ジャストタッチなら1カップ左に切れる5メートルのラインで、5メートルで止めるつもりで打って5.3メートル転がってしまうと右を抜けて入りません。その5メートル、5.1メートルといった強弱を思いどおりにつけられるのが、パターの“操作性”なんです」(関)

距離感をうまく合わせられるか否か、それがパッティングにおける操作性だと関プロ
ショットのようなフェースコントロール、左右方向の“操作性”とはまったく異なるという。
「ヘッドの慣性モーメントが大きく、重心深度も深いネオマレット型パターは、打点ブレのミスに強く、直進安定性が高い半面、ヘッド重心と打点が離れるぶん、タッチをつかみづらいものも多いんです。『スパイダー』シリーズはヘッドサイズや重心深度などを工夫することで、直進性を保ちながらタッチの良さを付加してきました。だから、プロや上級者に支持されているんです」(関)
新しい『スパイダーGTxトラス』は超深重心設計で直進性と安定性を高める一方で、タッチについても「ロフト設定やインサートの素材を調整することで補えていますね」と関プロは言う。

『スパイダーGTxトラス』は超深重心設計でありながらタッチを合わせやすい。だからプロにも人気なのだ
センターシャフトが“別物”!
底辺の広い「トラスホーゼル」
関プロは「トラスホーゼル」とセンターシャフト形状の相性の良さについて、新たな発見があったとも言う。
一般的なセンターシャフトタイプのパター場合、グリップをつまんでヘッドを吊るし、ボールでフェース面を叩くと、芯以外ではヘッドが簡単に回ってしまう。これはオフセンターヒット時のヘッドのブレが大きいことを意味する。
「通常のセンターシャフトタイプでは、ヘッドの慣性モーメントを高くしても、フランジを広げて重心深度を深くしても、ヘッドの回転を抑制する効果はあまりありません。打感がダイレクトに伝わるので愛用するプロもいますが、一般的なネック形状のセンターシャフトタイプは意外と難しいパターなんです」(関)

センターシャフトのメリットを残しながらデメリットを改善した『スパイダーGT x トラスTM2』
ところが、今回「トラスホーゼル」のセンターシャフトタイプ『スパイダーGT x トラスTM2』と最新モデル『TPトラスM2TC』を試したところ、印象がまったく変わったという。
「幅の広い三角ネックで吊るしているせいか、ヘッドがすごくブレにくい。打感の良さはそのままに、ミスに対する寛容性がプラスされている感じがいいですね」(関)

『TPトラスM2TC』もセンターシャフトでありながら幅広の「トラスホーゼル」によってヘッドのブレが抑えられている
アライメントデザインが
タッチへの専念を促す
コースのグリーンではブレーク(曲がる)ラインが大半を占める。だからこそ、タッチが合わなければライン読みも、ラインに乗せることもできない、と関プロ。
「私がショップでパターの試打エリアを作るなら、幅は狭くていいので、20㍍ぐらい転がせるようにします。ホールはなしで、数㍍刻みで線を引いて仕切り、その中間に打球を止められるかどうか、タッチを合わせやすいかをチェックしてもらいますね」(関)

パターを選ぶ際には思った距離を打ち分けられるかどうかで決めるといい
パッティングでタッチに専念する、という点で、テーラーメイドが力を入れているビジュアルテクノロジー、パターの「トゥルーパスアライメント」や『TP5 pix』や『TP5x Pix』などのボールに施された「クリアパスアライメント」のデザインはプラス要素になるという。
「この『スパイダーGTxトラス』のようにヘッド自体にアライメントのラインが入っていると、アドレス時のセッティングで方向の迷いやモヤモヤがなくなり、ホールまでの距離感、タッチに集中しやすくなると思います」(関)

ヘッドのアライメントラインをボールのロゴや「クリアパスアライメント」と合わせるとより効果的
右に出そうな気がして引っかける、左に引っぱりそうで押し出す、といった打ち方のミスをしていては、タッチが合うはずもない。“タッチを合わせれば、ラインに正しく乗る”という自信を育てる上でも、アライメントのデザインに頼るのは有効な手段と言えるだろう。
パターも重心角(トウハング)でつかまりが変わるのか? 次回はウェイトを移動できる『スパイダーGT MAX』を使い、重心位置の変化と合わせて試打・検証してみよう。