プロのドライバーを見ると標準より短い選手がいることがわかる。シャフトを切るだけなので費用も安く、手軽にできるが、どんな効果があるのか? ゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広が検証してみた。

みなさんは今使っているドライバー、シャフトの長さはどのように選びましたか? フィッティングを受けて購入する場合を除いて、ほとんどの場合はメーカーの標準のシャフトレングスのまま購入するのが一般的だと思います。

現在メーカーから販売されているドライバーの多くは45.25インチから46インチの設定がほとんどですが、プロゴルファーを見てみると45インチ以下の選手もいることがわかります。

基本的にシャフトの長さは長い方が遠心力が増してヘッドスピードもアップし、飛距離に有利になると言われています。短くすると理論上では反対となりますので飛距離的には不利となりますが、実際はどうなのか? プロゴルファーが短いシャフトのドライバーを使うならアマチュアゴルファーも短いレングスの方が良いのではないか? 今回は市販のクラブのシャフトを実際に短いレングスで用意して標準の仕様と比較しながら検証したいと思います。

まずショートレングスドライバーの定義について。ゴルフクラブの歴史の中でいろんな長さのドライバーが存在してきましたが、ここ最近の各メーカーの主要モデルが45.25~46インチで販売されていることを考えると、近年のショートレングスドライバーの定義としては44.5インチ前後と考えると良いでしょう。

今回は実際にテーラーメイド「SIM2 MAX」のヘッドを使い、3種類の長さの純正シャフトを用意して検証したいと思います。

画像: 用意したシャフトはテーラーメイド「SIM2MAX」純正シャフト「TENSEI BLUE TM 50」、フレックス S

用意したシャフトはテーラーメイド「SIM2MAX」純正シャフト「TENSEI BLUE TM 50」、フレックス S

標準レングス45.75インチ、マイナス1インチ(44.75)、マイナス2インチ(43.75)の3つで比較してみました。

まずは44.75インチ。標準の長さと比べて1インチ短くなることで視覚的にも明らかに短く見えて構えた時は安心感があります。実際に振ってみるとシャフトが短い分クラブの入射角が若干鋭角になり、ダウンブロー気味になります。ボールの打ち出し角度は鋭く、力強いイメージですね。

振ってみてのシャフトの印象は1インチカットしたものは標準と比べてシャフト振動数が3cpmほどアップしますがフィーリング的には大きな変化を感じません。

数値的に大きく変化したのはクラブバランスで、1インチ短くしたことで5ポイント下がりバランスはC7になりました。

しかしバランスに関しては振っていて特に違和感ありませんし、標準の長さだとバランスがD3あることもあって、こちらの方がむしろ振りやすい印象ですね。振ってみて軽さや数値がどうしても気になる方はヘッドに鉛を貼って調整すれば良いでしょう。繰り返し打っていてもとにかくミートしやすく、ブレが少ない印象ですね。打ち出し角は標準の長さよりも1度くらい低くなりますが弾道の印象としては大きく変わることはありません。

実際にトップトレーサーレンジにて計測しましたが、10発平均での最大飛距離は標準の長さに分がありましたが、平均飛距離、ミート率、左右のブレのなさはショートレングスの方が良い結果が出ました。

1インチ短くなるだけで確実にミート率がアップすると思います。ドライバーショットの精度が高くなり安定性がアップする方が多いと思います。現在使っているドライバーの方向安定性に不安がある方は是非1インチのショートレングス化を試してみてはいかがでしょうか?

続いて43.75インチでテストしました。

「SIM2 MAX」のヘッド体積からすると構えた時はヘッドサイズがかなり大きく見えます。実際に振ってみるとトップからインパクトまでシャフトが最短距離で下りてシャフトは余分な動きが少なく、しっかりとした振り心地に変わります。シャフト振動数も250cpmで1インチカットのシャフトとはしなる感じも違ってきます。バランスはC2まで落ちました。振り抜き感は良いのですが、さすがにヘッドが軽く感じられるので自分好みで鉛を貼ってバランスを調整しても良いでしょう。このレングスになるとスウィングリズムは速いテンポの方に合いそうですね。

長いクラブだとテンポが合わないという人でもタイミングが取りやすく感じられ、ドライバーショットの精度アップにつながるのではないでしょうか。ヘッドスピードは思ったほど低下しませんでした。標準よりも2インチ短ければ当然ヘッドスピードが2m/s位下がると思っていましたが、テンポが速まることでよってカバーできているのでしょう。あまり変化はありませんでした。

大きく違いが出たのは弾道の高さです。弾道はシャフトが短いと明らかに低くなり、キャリーは減ります。トップトレーサーでの測定では、打ち出し角が平均で2.5度低くなりました。しかしボールの推進力は高く、トータル飛距離は極端に落ちることはありませんでした。キャリーは減るものの、着弾してからランはしっかりと出ますので、コースコンディションによっては思ったよりトータル飛距離は落ちないかもしれません。

最大飛距離は出にくいものの、ドライバーショットの精度と確実性を求めている方は試してみると面白いかもしれませんね。
今回検証したショートレングス化はドライバーショットの安定性に不安のある方にオススメできると思います。シャフトが短くなることでクラブの軌道もシンプルになり、インパクトのタイミングも良くなりしっかりと芯に当てやすく、方向性の精度は高くなると思いますし、ミート率が上がることで飛距離もアップする場合もあるでしょう。

クラブのバランスについては気になる方も多いと思いますので少し触れておきます。シャフトをカットして短くすれば当然バランスも軽くなります。しかし、元のバランスまで戻す必要はありません。鉛を貼って元のバランスにしてしまうと元の重量よりも重くなってしまい、せっかくショートレングスにして振りやすくしたメリットが少なくなってしまいます。振ってみて軽いと感じる方は好みの振り心地になるまでヘッドに鉛を貼ればいいと思います。

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