「資生堂レディスオープン」の最終日、桑木志帆との2ホールのプレーオフの末、ツアー初優勝を飾った櫻井心那。みんなのゴルフダイジェスト編集部員プロゴルファー・中村修がそのスウィングを解説。

プレーオフで桑木志帆を退け初優勝を飾った櫻井心那

気温29.2度、後半になるにつれて風が強くなるコンディションの中、暑さに負けず劣らずの熱戦を繰り広げました。

3日目を終えて7アンダー首位には、優勝すればツアー最長ブランク更新となる藤本麻子、ウェイティングから出場し初優勝を目指す宮田成華、3週連続で最終日、最終組を続ける岩井明愛、リランキング1位通過し初優勝を目指す桑木志帆の4名。

どの選手が勝ってもストーリーのある優勝になるだろうと記者たちの間では話題になっていました。

画像: 「資生堂レディスオープン」の最終日、プレーオフで桑木志帆を退けツアー初優勝を飾った櫻井心那(写真/姉崎正)

「資生堂レディスオープン」の最終日、プレーオフで桑木志帆を退けツアー初優勝を飾った櫻井心那(写真/姉崎正)

しかし、桑木選手以外の最終組の3名はスコアを伸ばせず、代わって一組前の桑木と同組の櫻井心那選手が追いすがります。「残り2ホールでバーディ取らないと追いつけないね」とキャディと話していた櫻井選手は、17番、18番を連続バーディとして桑木選手に追いつきプレーオフに突入し2ホール目にバーディを奪い初優勝を手にしました。

ドライバーの飛距離が持ち味の櫻井選手ですが、最終日は後半になるにつれ振れていました。17番も18番もセカンド地点に集まったギャラリーのどよめきがティーグラウンドまで聞こえるほどの飛距離が出ていました。

特にプレーオフ2ホール目のドライバーショットは、フォローとはいえ越えるのに260ヤード必要なバンカーを楽々と越えラフからフェアウェイにランで転がり280ヤードの飛距離を見せつけました。では、そのスウィングを見てみましょう。

コンパクトなトップから体を使って打つ

トレーニングはしていないと話しますが、しっかりとした下半身で、身長もプロフィールに記載された166センチから伸びているとのこと。

手先に力みのないアドレスから背中をターゲットに向け、テークバックしますが、トップでのクラブの位置が地面に平行までは届かないコンパクトなトップになっています。

画像: 手先に力みのないアドレスからシャフトが地面と平行に届かないコンパクトなトップ

手先に力みのないアドレスからシャフトが地面と平行に届かないコンパクトなトップ

大きくバックスウィングを取り助走距離を長くすることも飛距離に結びつきますが、コンパクトなトップから体の力を使ってショートップで飛ばす選手も、体力が必要ですが、ジョン・ラームをはじめ多く存在します。

小さい頃から飛距離が出ていたという櫻井選手は、振ることに必要な腹筋や腸腰筋、大殿筋や大腿四頭筋といった太い筋肉が発達しているのでしょう。

そして切り返しで右から左へと重心を移動し、前傾姿勢を深くするように地面を踏み込んでから骨盤を回転させ、インパクト前から左足を伸ばすように使う動作、左右、回転、上下の下半身の動作が力強く順番も整っています。

画像: 切り返しで沈み込み地面を踏み込んで回転力を高め、インパクトでおへそがターゲットを向くほどターンさせている

切り返しで沈み込み地面を踏み込んで回転力を高め、インパクトでおへそがターゲットを向くほどターンさせている

優勝会見で「フォローの方向がアウトにならないようにインに振り抜くことを意識しています」と話していた通り、ほぼストレートからインサイドへと振り抜けています。

ドライバーの場合、ヘッドの最下点はボールよりも10センチ前後手前になり、最下点を過ぎてか上がりながらインパクトを迎えます。

画像: 振り抜く方向をややインサイドに意識しているという

振り抜く方向をややインサイドに意識しているという

ダウンスウィングでインから下ろす意識も大切ですが、振り抜いていく方向でクラブ軌道を意識すると振り抜きが良くなる効果も期待できます。

プレーオフで敗れた桑木選手は、切れ味抜群のアイアンショットでバーディチャンスを作りましたが、パットを決めきれず惜敗の涙を流しました。

桑木選手も、昨年ランキング51位でシードを逃していましたが、今季は持ち球をドローからフェードに変えショットも安定。着実に上位に顔を出せるようになりリランキングも1位で通過。今大会の2位のポイントでシード権をほぼ手中にしましたが、初優勝を目指すチャレンジは続きます。

米女子ツアーを目指すニューヒロインの誕生とこれからの活躍に期待しましょう。

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