4日間北海道出身の小祝さくら、菊地絵理香、宮澤美咲と同組でプレー
初日から4日間同じペアリングとなった小祝さくら、菊地絵理香、宮澤美咲の北海道出身組。多くのギャラリーの声援を受けてのプレーになりました。ご覧になった皆さんはご存知の通り、ロングパットがボコボコ入りバーディを重ねながらスコアを伸ばし、17番パー3で勝利を決めるバーディを奪います。

「ミネベアミツミレディス北海道新聞カップ」で今季初優勝を挙げた小祝さくら(左)と同じく地元北海道出身で2位タイで終えた菊地絵理香(写真/有原裕晶)
この17番パー3の実測距離はピンまで195ヤード、エッジまで179ヤードを6番アイアンで届かせピン手前5メートル弱に乗せました。このショットこそ吉田直樹コーチと取り組んでいるスウィングができた証でしょう。飛ばそうとしても引っかけることなく、グリーン右のエッジからピンに向かって転がりチャンスにつけました。
ドローが強すぎて左に引っかけることが多かった点を見直し、フェードを打ちながらドローの曲がり幅を調整していました。全米女子オープン取材のためペブルビーチにいる吉田コーチに連絡して話を聞いたところ、吉田コーチが3日目に英語で「明日あなたに幸運が訪れますように」とメッセージを小祝選手に送ると、パットが入ったので、ラウンド後に「良かったね!」と送ると「グッジョブ!」と返信があったとか。「グッジョブしたのはあんたやろ~」(笑)とさくちゃん節全開の面白エピソードを教えてくれました。
ドローの曲がり幅を少なくするコンパクトなトップ
ではスウィングを見てみましょう。軽く両わきの締まったアドレスから、背中をターゲットよりも右を向くくらいしっかりと捻転しながらもクラブは地面と平行にならないコンパクトなトップが特徴です。引っかけることが多かった時期はターゲットよりもクロスして垂れ下がっていましたので、オンプレーンよりも下から入り、インサイドアウト軌道が強くなってフェースが返り、引っかける原因になっていました。

画像A 両わきを軽く締めたアドレスから(左)、ターゲットよりも右を指すくらいしっかりと捻転されながらも、シャフトが地面と平行まで届かないコンパクトなトップ(写真/姉崎正)
切り返し以降、肩のラインが開かないことも小祝選手の特徴です。こうすることで、上半身と下半身の捻転差を作り、クラブをインサイドから下ろしてきます。そして左腕が伸び、ダウンスウィングのヘッドが描く軌道が、大きい半径を描きますので入射角は浅くなっています(画像B左)。

画像B 切り返しから左足をしっかり踏み込んで腕を下ろす(左)。手元が体から遠くヘッドが大きな半径を描き、浅い入射角でインパクトを迎える(写真/姉崎正)
ポイントは切り返しから左足をしっかり踏み込んでクラブを下ろす点です。インパクト前に左ひざが伸びていることからもテークバックで左右、切り返しで回転の後に上下の足裏の圧を使ってクラブを加速させていることが見て取れます。
インパクト以降は胸椎から上が縦に回り、ターンを止めないことでフェースの返り過ぎを防いでいます。スウィング中、両わきが締まったままであることも再現性の高いスウィングには欠かせません。

画像C インパクト以降も胸椎から上は縦にターンし(左)、フォローでも止めずにターンし続けることでフェースの返り過ぎを防ぐ(右)(写真/姉崎正)
「優勝おめでとう」と吉田コーチがメッセージを送ると「複数回優勝目指して頑張ります」との返信。地元北海道での念願の優勝を手にした小祝選手の活躍はまだまだ続きそうです。