女子ゴルフの今季国内ツアー第22戦、北海道meijiカップ最終日が6日、北広島市の札幌国際カントリークラブ島松コース(6593ヤード、パー72)で行われ、単独首位から出た鈴木愛が2度の2連続を含む5バーディ、ボギーなしの5アンダー67で回り、大会レコードタイの通算15アンダーで逃げ切った。今季初優勝で、2021年資生堂レディスオープン以来約2年ぶりの通算18勝目。ボギーなしの優勝は史上16人目の快挙となった。
画像: 北海道meijiカップの最終日18番、ウィニングパットを沈め、大きく両手を広げて優勝の喜びを表現した鈴木愛(撮影/岡沢裕行)

北海道meijiカップの最終日18番、ウィニングパットを沈め、大きく両手を広げて優勝の喜びを表現した鈴木愛(撮影/岡沢裕行)

鈴木愛が涙の復活優勝を遂げた

鈴木は最終18番で短いウィニングパットを沈めると、ほっとしたような笑みを浮かべ、両手を広げて万歳をした。グリーンを囲んだ大勢のギャラリーに向かって、帽子のつばをつまんでぺこりとおじぎ。左手を高々と上げて大きな祝福の拍手に応えた。18番グリーン上で行われた優勝インタビューでは思わず目頭を押さえた。

「ファンの方に手紙でメッセージをいただくことも多かったので、本当にファンの皆様の前で勝ててよかったです……」

大粒の涙がほおを伝って流れた。

全盛時の強いゴルフがよみがえった。

6番パー5で同組のささきしょうこ、川﨑春花にトップを譲ったが、8番で手前3メートルのバーディパットを沈めて首位に並び、続く9番パー5で第3打を30センチにつけて単独首位を奪回。12番パー5も第3打をピン横1メートルにつけて優勝へ大きく近づいた。

圧巻は15番パー4。ピン手前8メートルの左右に曲がるラインを読み切って、大会レコードタイの通算15アンダーまでスコアを伸ばした。

「ゴルフは最後の最後まで何があるかわからない。いけるかなと思ったのは最後のサードショットが(グリーンの)カラーに行った時でした。遠くから応援に来てくれた方もいたので、その前で優勝することができてうれしいです」

惜しくも優勝を逃がした前週の楽天スーパーレディースの悔しさをパワーに変えた。4日間大会の2日目、3日目にトップに立ちながら、最終日に新鋭櫻井心那に逆転負け。

「先週、優勝争いをして負けていたので、今日は絶対にセーフティなゴルフはやめようと決めていた。それができたので、少しは成長できたかなと思います」

と振り返った。

「若い子たちに負けたくない気持ちです」(鈴木愛)

画像: トータルドライビングは昨年の64位から1位へと急速によくなった(撮影/岡沢裕行)

トータルドライビングは昨年の64位から1位へと急速によくなった(撮影/岡沢裕行)

2度目の賞金女王になった翌20年にコロナ禍が始まり、試合の開催が見送られる事態が続いた頃だった。

「(コロナ禍で試合があっても無観客だったため)いいショットやパットをしてもギャラリーの声援をもらえなくなったのがきつかった。それがなくなった瞬間、自分のやる気もなくなったじゃないで
すが、誰も応援してくれない感じがつらかったんです」

モチベーションの低下は19年途中にもあり、当時は、自宅で好きな手料理を作ることで、気持ちのリフレッシュを図ったという。

ゴルフの面では、ショットの精度向上が大きく優勝に貢献した。

今季からコーチをつけず、独力で練習し、調整を行っている。

「今年は自分でゴルフの組み立てやトレーニングのやり方を考えないといけなくなった。そこは成長したひとつで、スウィングもショットも以前より安定するようになりました」

画像: 黄金世代のひとり、小祝さくらと話す鈴木。「若い世代に威厳を見せられるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った(撮影/岡沢裕行)

黄金世代のひとり、小祝さくらと話す鈴木。「若い世代に威厳を見せられるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った(撮影/岡沢裕行)

スタッツはフェアウェイキープ率が昨年の61.2143%の74位から今年は71.5686%で18位へ上昇。飛んで曲がらないことを示すトータルドライビングは同64位から1位へと急速に改善している。メンタル面でも技術面でもしっかりした裏付けがある復活の通算18勝目をマークし、次なる目標も見えてきた。

来年5月9日に迎える30歳の誕生日を前に、ツアーを席巻している若手たちの壁になる覚悟を口にした。

「今、20代の子たちを見ると、飛ぶし技術的にもアップしている。でも、それ以上に自分の経験値だったり、優勝数は若い選手に負けないと思うので、そういうところで威厳を見せられるように頑張りたいなと思いますし、負けたくない気持ちです」

ベテランVS若手のせめぎ合いが、さらに一層女子ツアーを盛り上げる。

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