瞬発系のトレーニング効果で飛距離がアップ
2014年に日本ジュニア選手権、日本女子アマ選手権に勝利した蛭田みな美選手。16年にプロ入りしてからはシード権にはわずかに届かないシーズンを送ってきましたが、とうとう初優勝を飾りました。話しかけるといつもにっこりと受け答えしてくれる笑顔が印象的でした。2年ほど前からパットイップスに苦しむも「笑いながらやるというところに、緊張が解ける感じがして、去年のQTとかも、ショートパットとか笑いながらやっていました」とメンタル面を克服し、今シーズンは調子が上がってきていたといいます。
2021年のスウィングと今季のスウィングを比較してみると大きく変化している点が見えてきます。21年に比べトップはコンパクトになっています(画像A左右)。トップの手の位置はコンパクトですが肩のラインはしっかりと深く回っています。これはテークバックの速い段階で手元を体の正面にキープしたまま背中をターゲットに向けることができているから。ダウンスウィングでしっかりと体幹を使える準備が整っています。
手元がトップの位置まで上がるころには、下半身からダウンスウィングが始まります。優勝会見では、オフからトレーナーと瞬発力を高めるトレーニングに取り組んだと話していましたが、その効果が見て取れます。トレーニングについては「ジャンプ系ですかね。1回でどれぐらい力を発揮できるかみたいな。そういうのが一番ゴルフにきてるなと感じるので、ジャンプ系だと思います」と、主に垂直飛びのトレーニングが効果を発揮しているとのこと。
タイミングを合わせて沈み込んで一気に力を放出する「箱の上に飛び乗るボックスジャンプ」、「垂直飛び」、「立ち幅跳び」などのジャンプ系のトレーニングは、ゴルフスウィングと親和性が高く、飛距離アップにも大きな効果が期待できます。実際に蛭田選手もこれらのトレーニングの効果もあって飛距離が10~15ヤードは伸びているといいます。
ジョン・ラーム選手のようなコンパクトなトップのことをショートトップと呼んだりしますが、女子では櫻井心那選手もショートトップから大きな飛距離も持ち味にしています。ショートトップは腕の動きが少なくなるので、腕と体が同調しやすいメリットはありますが、飛距離を出すためにはトレーニングが必須です。
元々アプローチは上手だった蛭田選手。ショット力とともにパットも復調し、初勝利で自信も手に入れた蛭田選手が、今後ブレイクする可能性は大のように感じます。今シーズン8人目の初優勝となりましたが、次の初優勝を挙げるのはどんな選手になるのか楽しみです。