来たる10月にヤマハから発売される新『RMX VD』(リミックス ブイディ)シリーズ。ドライバーからアイアンまで新たなモデルに生まれ変わるが、ドライバーとともにツアープロたちが急速にスイッチしているのが「アイアン」だ。近年にないこの動きの理由を追った。

『VD/R』『VD/M』の顔、打感、弾道、飛距離に
アスリートたちが惚れ込んでいる

今回、ツアープロが満足して使い、それを使って“勝つ”ことを大きな目的として開発されたという新RMX VD。その目論見どおり、今平周吾、神谷そらは優勝を果たし、他のプロたちも軒並み好成績を挙げている。アイアンに関してもプロからの評価が非常に高いが、そこに至るには大きな壁があったようだ。

画像: 今平周吾、神谷そらなどが使う『VD/R』(左)は軟鉄鍛造の一体成型。藤田寛之らが使う『VD/M』(右)は軟鉄ボディにバネ鋼フェース、さらにタングステンを用いた複合モデル

今平周吾、神谷そらなどが使う『VD/R』(左)は軟鉄鍛造の一体成型。藤田寛之らが使う『VD/M』(右)は軟鉄ボディにバネ鋼フェース、さらにタングステンを用いた複合モデル

「今回ヘッドシェイプを大きく変更しています。これまでヤマハのツアー系アイアンは“形はこうじゃなきゃいけない”といった暗黙のルールのようなものがありました。ですがそこに縛りがあると、思うような重心設計ができない。具体的には、従来の形状だと重心がヒール側に寄りすぎるため、打点と芯がずれる。イメージと実際の打球が乖離してしまうんです」(アイアン開発担当:嶋田航大さん)

画像: 左が『VD/R』、右が『VD/M』。ヘッドサイズは同じで、形状もトップブレードの厚みが若干違う程度で基本的には同じ。やさしさも感じさせる形状のツアー系アイアンだ

左が『VD/R』、右が『VD/M』。ヘッドサイズは同じで、形状もトップブレードの厚みが若干違う程度で基本的には同じ。やさしさも感じさせる形状のツアー系アイアンだ

画像: 今回、アイアン開発担当の筆頭に抜擢された嶋田航大さん(ゴルフHS事業推進部 開発グループ 主任)。社歴は2年ながら卓越した研究開発能力を発揮し、プロが厚い信頼を寄せるアイアンを作り上げた

今回、アイアン開発担当の筆頭に抜擢された嶋田航大さん(ゴルフHS事業推進部 開発グループ 主任)。社歴は2年ながら卓越した研究開発能力を発揮し、プロが厚い信頼を寄せるアイアンを作り上げた

従来ヤマハのアイアンはトウ側が高く、刃の部分はやや丸みを帯びた形状。また重心位置はヒール寄りがよしとされてきた。これを今平周吾が「スクエアに構えやすい」というトウ側が低く刃が真っすぐな形状に変更するとともに、重心もフェース中央に寄せた。打点と重心が限りなく接近したことでインパクト効率が上がったという。

画像: 今回、今平好みのヘッドシェイプを採用した『VD/R』アイアン。今季の好調なプレーを支えている

今回、今平好みのヘッドシェイプを採用した『VD/R』アイアン。今季の好調なプレーを支えている

形状、サイズ感は、VD/RもVD/Mも基本的に同じ。違うのはロフトと素材や製法だ。VD/Rは7番のロフトが33度で軟鉄鍛造の一体構造、日本刀にも用いられる“焼きなまし”製法により、より一層軟らかく深みのある重厚な打感が味わえる。対してVD/Mは、ロフト31度、弾きの良いばね鋼フェースに軟鉄鍛造ボディを組み合わせた複合モデルで“ちょい飛び”に仕上がっている。

「VD/Mに関しては、藤田寛之プロが開発陣に長いことリクエストしていた“キャリーであと7ヤード、でもスピン量は落とさない”を実現することが使命でした。形状の既成概念を捨て、重心位置を限りなくフェースセンターに近づけること、またフェース裏の新たな加工技術など、製造を担当する遠藤製作所さんとこれ以上は無理というところのギリギリまで攻めた。その結果、課題だった飛距離とスピン量をクリア、さらに軟らかい打感も実現し、“ヤマハ史上、一番いいアイアン!”と藤田プロにも満足してもらえました。ほかのプロに対してもVD/Mを宣伝してくれているみたいです(笑)」

画像: 『VD/M』のフェース裏。複数のスリットを施すことで、高いボール初速と適切なスピン量を生み出す

『VD/M』のフェース裏。複数のスリットを施すことで、高いボール初速と適切なスピン量を生み出す

VD/Rは今平周吾、神谷そらが、VD/Mは藤田寛之、永井花奈らが実戦投入し、結果を残している。今後はクラブ契約を持たないプロにも、その輪が広がっていきそうな勢いだ。

もう一つの意欲作、『VD/X』の
“真っすぐ”な性能が僕らを救う!

画像: VD40の後継となる『VD/X』アイアン。アイアンとしては圧倒的な4000g・㎠もの慣性モーメントを誇る

VD40の後継となる『VD/X』アイアン。アイアンとしては圧倒的な4000g・㎠もの慣性モーメントを誇る

アイアンにはもう一機種『VD/X』が登場する。こちらは前作VD40の後継モデルにあたる。前作同様、アイアンで最大級の慣性モーメントを狙ったモデルで、特徴だったホーゼル部のフィンのような出っ張りは健在。しかし、全体に形状がリファインされ、違和感が少なくなった印象だ。
「VD/Xについては、大慣性モーメント(4000g・㎠)を維持しながら“形状を良くする”こと、さらに“飛距離アップ”と“打感の向上”も課題でした。飛距離に関しては、7番で30度だったロフトを28度に。ただ単純にロフトを立てただけではキャリーが不足するので、46グラムものタングステンをトウの一番外側に埋め込みました。慣性モーメントが拡大するとともに低重心が促進され、ロフトを2度立てても高さを出せるようになりました。また、フェースの薄さを1.5ミリをいう極薄の設計にして反発性能を高めました。だた2ミリを切るとフェースが割れる懸念があります。そこで、フェース裏を新構造の“図心リブ”で支えることで、反発性能を生かしつつ耐久性も持たせることに成功しました。加えてこのリブ構造が打感の向上につながり、さらにバックフェース全面を樹脂製のバッジで覆ったことでセンターで打った時はもちろん、オフセンターヒット時でも格段に打感、打音が良くなりました」(嶋田さん)

画像: 『VD/X』の7番アイアン。ソールは広いが構えてもバックフェースは見えないように設計(左)。タングステンを外付けにすることで慣性モーメントを効果的に拡大(右上)。ソールからホーゼルのフィンにかけての立ち上がりを早くしたことで異形感を軽減(右下)

『VD/X』の7番アイアン。ソールは広いが構えてもバックフェースは見えないように設計(左)。タングステンを外付けにすることで慣性モーメントを効果的に拡大(右上)。ソールからホーゼルのフィンにかけての立ち上がりを早くしたことで異形感を軽減(右下)

画像: 反発を上げつつ耐久性も担保するのが取っ手のような図心リブ構造

反発を上げつつ耐久性も担保するのが取っ手のような図心リブ構造

現存するアイアンのなかでおそらく最大の慣性モーメントであろう『VD/X』は、打点がフェースのトウ、ヒールに多少ズレたぐらいでは飛距離と直進性を損なわない設計。さらに、最大飛距離性能と打感も向上。藤田プロをして「VD/X、試合で使ってみてもいいかも」と言わしめたという完成度を誇る。僕らのゴルフを大いに助けてくれそうだ。

試打してわかった!
『VD/M』の総合力の高さが凄い・・・

実際に新RMX VDのアイアンの3モデルを試打してみた。試打者は日常的にクラブテストも行っているカリスマフィッターの平野義裕さん。まずは、軟鉄鍛造一体モデルの『VD/R』から。

画像: 東京のゴルフ練習場「スイング碑文谷」内にある「クールクラブス」のカリスマフィッター。数多くのヘッド、シャフトの試打を経験し、クラブの違いをつぶさに感じ取る

東京のゴルフ練習場「スイング碑文谷」内にある「クールクラブス」のカリスマフィッター。数多くのヘッド、シャフトの試打を経験し、クラブの違いをつぶさに感じ取る

「トウ側が低くてヒール側が高め、フトコロ感もあってつかまりそうなヘッド形状ですね。そこまで小ぶりでもないので安心感があります。そしてこの打感、めちゃくちゃいいですね! 打音も重厚感のある落ち着いた感じで大好きです。高さはしっかり出ますし、スピンもよく入る。落下角度も大きいので、シビアなグリーンでも止められます」

画像: 打球部の裏に大きく肉を盛った設計。独自の“焼きなまし”製法と相まって、軟鉄鍛造モデルのなかでもひと際重厚な打感を味わえる

打球部の裏に大きく肉を盛った設計。独自の“焼きなまし”製法と相まって、軟鉄鍛造モデルのなかでもひと際重厚な打感を味わえる

続いて藤田寛之が絶賛する複合アイアンの『VD/M』。
「見た目はVD/Rと変わりません。少しだけトップブレードが厚くてバウンス角も大きそうです。打感はVD/Mのほうが軽やかで、弾き感がありますね。弾くといっても硬いわけではなく軟らかいなかでの弾く感じ。これ、7番で31度なんですよね。今やスタンダードなロフト角ですが、そのなかでも高さが出てスピンがしっかり入るモデルですね。それでいてキャリーはVD/Rに比べて、7~10ヤード伸びている。藤田プロがお気に入りなのもうなずけます」

画像: 軟らかい打感ながらもしっかりとボールを弾く『VD/M』。飛距離とスピンを両立している

軟らかい打感ながらもしっかりとボールを弾く『VD/M』。飛距離とスピンを両立している

最後は、独自のコンセプトを持つ『VD/X』を試打。
「とにかくヘッドが大きくて安心。グース感が強くなってつかまる雰囲気もあります。飛距離的には…1.5番手ぐらい違いますね。その飛距離がトウ寄りに当たっても、ヒール寄りでも大きく落ちないのが凄いところ。どこに当たってもしっかり飛んでくれるという安心感から、スピードを上げて振れるようになるし、そうなればもっと飛ばせるアイアンになりますね。アイアンとUTの中間みたいな雰囲気があります」

画像: 『VD/X』のショットデータ。打点は大きくトウ側に外れているが飛距離的にはさほど落ちない。慣性モーメントの大きさを体感できる

『VD/X』のショットデータ。打点は大きくトウ側に外れているが飛距離的にはさほど落ちない。慣性モーメントの大きさを体感できる

画像: VD/Xのミート率は異常に高い。「この弾きの良さと飛距離はほぼUT感覚です」(平野)

VD/Xのミート率は異常に高い。「この弾きの良さと飛距離はほぼUT感覚です」(平野)

操作性と打感に優れる『VD/R』、超正統派の形状ながら飛んで止まる『VD/M』、フェース全面が芯のような『VD/X』。それぞれの求めるプレースタイルによって選べば、コースで最高のパフォーマンスを発揮できそう、そんなハイレベルなアイアンが出そろった。

ヤマハ「新RMXシリーズ」公式ホームページ

This article is a sponsored article by
''.