「ダンロップフェニックストーナメント」でツアー史上7人目のアマチュア優勝を果たした杉浦悠太。みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修がそのスウィングを解説。

50回の記念大会で優勝したのはナショナルチームメンバーの杉浦悠太選手。アマチュア優勝を遂げたのは中島啓太、蟬川泰果に続き7人目ですが、いずれもナショナルチーム。チームのレベルが高いことを示す優勝となりましたが、開幕戦の「東建ホームメイトカップ」と「BMW日本ゴルフツアー選手権」で杉浦選手のプレーを見た際には、堂々とした思い切りのいいスウィングが印象的でした。

画像: 「ダンロップフェニックストーナメント」でツアー史上7年人目のアマチュア優勝を果たした杉浦悠太(写真/有原裕晶)

「ダンロップフェニックストーナメント」でツアー史上7年人目のアマチュア優勝を果たした杉浦悠太(写真/有原裕晶)

メジャーチャンプが3人も揃う難易度の高い「ダンロップフェニックストーナメント」で、プレッシャーのかかる優勝争い中でも、ドライバーを振り抜く姿は、今後の活躍を期待させてくれるものでした。

4日間の主要スタッツを見ると、ドライビングディスタンスは302.5 ヤード(全体の5位)、パーオン率は66.667%(同25位タイ)、パーキープ率は83.33%(同16位タイ)、平均パットは1.75(同22位タイ)。初日に松山英樹選手の63に次ぐ64で2位スタートすると、強風になった2日目に68、3日目にも69と難コンディションの中でもスコアを崩すことなく首位を守り、逃げ切りました。

フェースを開かずに上げトップで左ひじに余裕が見られる

ではそのスウィングを見てみましょう。まずボールの飛球線後方で素振りをしたら、グリップを握り直して打ち出しのラインを確認しアドレスに入ります。アドレスに入ってからグリップを握り直す選手が多いものですが、タイガー・ウッズも同じようにグリップを決めてからアドレスに入ります。そのタイガーの理由を「クラブと手の一体感を重視するため」と聞いたことがありますので、杉浦選手もそういう感覚なのでしょう。

テークバックではフェースを開かずに始動すると、右わきを締めすぎずにトップを迎え、左ひじも突っ張らずに余裕が見られています。飛ばそうとして力んだテークバックしないことは、切り返し以降でしっかりクラブを加速させるには大切なことです。

画像: フェースを開かずにテークバックし、トップでは左ひじに余裕を持つ。前傾角をキープしたままインパクトを迎える(写真は2023年の東建ホームメイトカップ)

フェースを開かずにテークバックし、トップでは左ひじに余裕を持つ。前傾角をキープしたままインパクトを迎える(写真は2023年の東建ホームメイトカップ)

その切り返しに注目してみると、トップに向かう際には左足のかかとは地面から離れていませんが、次の瞬間、一瞬かかとが浮き踏み込む際にはシャツのしわがはっきり見える程の捻転差を生んでいることが見て取れます。

画像: 切り返しでシャツのしわがはっきりと見える程の捻転差を生む(写真/有原裕晶)

切り返しでシャツのしわがはっきりと見える程の捻転差を生む(写真/有原裕晶)

その動きに伴って右わきが締まり手元がややインサイドから下りて来ています。グリップを握る強さが強すぎたり腕に力が入り過ぎるとカット軌道になりやすいのですが、杉浦選手の切り返しは終始安定していました。

インパクト前後の動きを見てみると強く叩くというのではなく、下半身の力を使って体幹、上半身、腕、クラブを効率よく加速させることで速く、シンプルにクラブを振る力を身に付けているといえます。

画像: 下半身の力を使ってクラブを効率よく加速させることで、強く叩くのではない振り抜きの良いスウィングが見て取れる(写真/有原裕晶)

下半身の力を使ってクラブを効率よく加速させることで、強く叩くのではない振り抜きの良いスウィングが見て取れる(写真/有原裕晶)

大学やナショナルチームでのトレーニングの成果もあり飛距離と安定したスウィングを作り上げたことで、強風の中でも崩れなかったプレーは大きな自信につながることでしょう。また一人将来楽しみな選手が誕生しました。女子ツアーだけでなく男子ツアーにも将来楽しみな選手がどんどん誕生していますので、残る2戦も見逃さないように注目していきましょう。

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