「Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で2週連続優勝(通算20勝)を飾った鈴木愛。悪天候の中でもスコアを伸ばしプレーオフで小祝さくらを退けたスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファー中村修が解説。

前週の「明治安田レディス」は初日から首位を譲らずにショット、パットも好調な完全優勝でしたが、今週は初日、2日目とアイアンショットの調子が悪いなかでまったく違う強さを見せての優勝となりました。

画像: 「Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で2週連続優勝を飾った鈴木愛(写真/大澤進二)

「Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で2週連続優勝を飾った鈴木愛(写真/大澤進二)

2日目までは20度近くになりましたが、芝の状態はまだまだ薄く、生え揃っていない箇所も多く、ラフだけでなくフェアウェイからでも技術を求められるコンディションでした。それでもグリーンの状態はかなり仕上がっていて、グリーン上だけでなくグリーンを狙うショットで硬く速いグリーンに対応する力の差がスコアに表れていました。

そして悪天候によりセカンドカットが実施された9ホールの短期決戦では、グリーンの状態が変わりピンをデッドに狙うショット力にバーディパットを決める集中力が求められていました。

2週連続で同じ最終日最終組のメンバーとなり「絶対に負けたくない」鈴木選手と一矢報いたい小祝さくら選手の攻防は、プレーオフにまで続けられ見応えのある試合となりました。

では、そのスウィングをじっくりと見てみましょう。先週の解説では、「左右への移動が少なくなり下半身を強化したことでスウィングのブレが少なくなり、安定したショット力が顕著だった」としましたが、今回はフェースの開閉、左手の使い方について注目してみます。(先週のスウィング解説は以下をクリック!)

画像Aは前週の「明治安田レディス」と2022年の「ダイキンオーキッドレディス」を比べてみました。ドライバーとUTのクラブの違いはありますが、明らかに24年のスウィングはフェースの開閉が少なくなっていることが見て取れます。

画像: 画像A 24年と22年のスウィングを比べると手の使い方フェースの向きの違いが見て取れる(写真/姉崎正(左) 岡沢裕行(右))

画像A 24年と22年のスウィングを比べると手の使い方フェースの向きの違いが見て取れる(写真/姉崎正(左) 岡沢裕行(右))

画像Bの22年のスウィングでは、左手の甲が地面を向くように左手を返しながらフェースも連動して閉じていきます。ボールをつかまえる動作でもありますし、この使い方のスウィングで17勝を重ねて来ましたので、まったく否定するものではありません。

画像: 画像B 左手の甲が地面を向くように手を返しながらフェースを返していた2022年のスウィング(写真/岡沢裕行)

画像B 左手の甲が地面を向くように手を返しながらフェースを返していた2022年のスウィング(写真/岡沢裕行)

ですが22年は優勝がなく23年には現在のフェースの使い方にチェンジしていました。その成果が23年の1勝となり、心技体の揃った24年は3戦2勝という強さを見せつけることにつながったことは容易に想像できます。

画像: 画像C 左手の甲が空を向くような使い方をすることでフェースの開閉をコントロールする2024年のスウィング(写真/姉崎正)

画像C 左手の甲が空を向くような使い方をすることでフェースの開閉をコントロールする2024年のスウィング(写真/姉崎正)

前週のスウィングを見ると、左手の甲は地面を向かず、空を向くような使い方に変化しています。慣性モーメントの大きな大型ヘッドへの対応もあるでしょうし、様々な理由があったと思います。これまでの道のりはグリップの握り方にも変化が必要だったことでしょうし、方向性が定まらない時期もあったことでしょう。

画像: 画像D 2日目のラウンド後にドローが強くなり過ぎていたとフェードの練習渡り入れショットを立て直した(写真/大澤進二)

画像D 2日目のラウンド後にドローが強くなり過ぎていたとフェードの練習渡り入れショットを立て直した(写真/大澤進二)

それでも年齢を重ねながら変化をいとわずにチャレンジし、トライ&エラーを積み重ねる姿こそ鈴木選手の強さなのではないでしょうか。

結果論かもしれませんが試合の展開で気がついたことを一つ。プレーオフ2ホール目の小祝選手はバーディパットを2メートル近くオーバーし返しを外して敗れましたが、あの場面では鈴木選手が3メートルのパーパットを残していましたので、距離を合わせてタップインパーで終えていたら、展開も変わっていたかもしれません。

画像: 2週連続で最終日最終組の小祝さくらは惜しくもプレーオフで敗れた(写真/大澤進二)

2週連続で最終日最終組の小祝さくらは惜しくもプレーオフで敗れた(写真/大澤進二)

小祝選手の立場に立てば「ここで決める」というテンションになることは理解できますが、チャンスにつけて優位だった小祝選手がオーバーしたことで、鈴木選手にとってはこれを入れておけば相手にプレッシャーをかけられるという状況になり、それを決められた小祝選手は一転してプレッシャーをかけられる立場に逆転してしまいました。

勝負所を見極めるほんのわずかな差が優勝を分けた瞬間だったように思います。次のチャンスを迎えた小祝選手がどんなプレーを見せるのか楽しみです。

「若手の壁になる、今年の鈴木愛は違うところを見せたい」とオフから取り組んできた嫌いなトレーニングの成果も早速出ています。2019年に7勝を挙げ圧倒的に強かった鈴木選手を超えるシーズンになるかもしれませんね。

This article is a sponsored article by
''.