一週前のアクサレディスで初優勝した臼井麗香に続き、黄金世代の同級生がヤマハレディスでツアー通算10勝目を挙げた。
「先週、麗香ちゃんが初優勝を挙げて、同級生としてすごく嬉しかったですし、自分も頑張ろうと思えました」
臼井との思い出も振り返った。
「カラオケに行ったときに、昭和のダンスみたいなのを踊ってくれて、それを見るのが楽しみなんです」
臼井の優勝の翌週は小祝が主役だった。
初日に6アンダーでトップに立ちながら、2日目にスコアをひとつ落とし、最終日は10アンダーでトップの竹田麗央を5打差を追う展開。首位を逆転するのは容易ではなかったが、主役の座は奪わせなかった
「17番のボードで(トップが)並んでいるのを見たので、その時から……」
優勝を意識したという小祝。しかし、3年前のこの18番パー5でOBを打ってしまった“トラウマ”があった。
「今日(最終日)ティーショットがしっくり来ていないところもあって、ちょっと(ボールが)つかまってしまって左ラフでした。ライもあまりよくないなか、すごいいい2打目を打てて、そこも優勝につながったなと思います」
ティーショットの"トラウマ"を克服した2打目を3番ウッドでグリーン花道まで運び、そこからアプローチで約1メートルに寄せてバーディを奪い、この1打が優勝を決めた。
小祝は最終日5アンダーを目標に設定していた。
「優勝の現実味はぜんぜんなくスタートしました。(竹田)麗央ちゃんがトップにいて伸ばしてくるんじゃないかと思っていたので、自分は5打以上伸ばさないとと思っていました。このコースで7アンダーとか出すのは難しいので、5アンダーを目標にやっていました」
4月15日に26歳になる小祝は大会後の4月2日に20歳の誕生日を迎える竹田の6歳先輩だが、2人は大の仲良し。
練習ラウンドをともにする関係で、ダイキンオーキッドレディスなど、前夜祭の記念撮影では仲良く並んで2ショットを撮ることも(写真)。
「明後日(竹田の誕生日)、野球を観に行きます。それをずっと楽しみに頑張ったので……。みんなで野球を練習する日で、麗央ちゃんの誕生日を買って用意してます」
優勝できるほどショットは好調だが、昨年までいた専属のスウィングコーチが今はいないという。
「自分で修正とか、コーチがいないのは実際初めてで、今まで教わってきたことを自分で考えながらやっています。今年ショットがすごく安定してはいるんですが、細かいところだったり、欲が出たりするので、アイアンもドライバーも修正点はあると思います。今週は100ヤード以内が上手くいかなくて、改善点です。課題がない時ってなくて、ずっと1年間こうしたいな、という繰り返しで毎日やっています」
黄金世代でいち早く10勝目を挙げた小祝の強さはこの貪欲さにある。
さらに、改善しようという欲はショットばかりではない。パッティングのグリップを改良していたことを6アンダーでトップに立った大会初日に小祝は明かしていた。
「パッティングの状態はすごく良かったです。今週はグリップの持ち方をちょっと変えたんですが、それがしっくりした感じはありました」
大会コースの葛城ゴルフ倶楽部はグリーンが難しいと言われる。
「傾斜が結構しっかりあるので、見た目以上に切れるところもかなりあります。その辺りは注意してプレーしています」
最終日は3パットが2回とパッティングに苦しんだ。
「(3日目からグリップを)改善してプレーできました。パットは距離感の問題だったので、そこを修正しました」
13番ではボギーを打って、ギアを入れた。
「13番のボギーはショックが大きくて、ティーショットをミスしてしまってそこからボギーになってしまいました。意外というか、そこから気合を入れなおすことができました」
気持ちを切り替えられるメンタルの強さも際立った。
今シーズンは幸先良く1勝目を挙げ、ツアー通算10勝目を挙げた。
「まだ5試合目で今季1勝目をまず挙げられたので、2~3試合目でおしいところもありましたけど、しっかりそこから4試合目で優勝できたっていうのは、いいプレーができたからだと思います。 ここからもっともっと修正、こうしたいなというのがあるので、そこに向けてやっていきたいなと思います」
節目の10勝目、プロになる前に10勝を挙げるイメージはあったかと聞かれると……。
「1勝も出来るイメージもなかったんですけどここまで2桁優勝することが出来て、プロになってから月日が早かったです。 今思うともう中堅とか言われたり、もう半分くらいの年齢に来たので、そこでの10勝は、予想をはるかに超えました」
"26歳"でベテランプレーヤー、今年はプレーヤーズ委員長という大役を務める。
「改善していきたいなと思っていることがあったり、もっと選手がやりやすいこととか、選手の意見を取り入れて 話しあって改善して行けたらなと思っています。まだ1年目で分からないことだらけなので、変えていけるか分からない部分もあるけど、これから変えていきたいです」
年間女王についは?
「まだ5試合目で、何年か前に前半で2勝していい流れできて賞金女王を目指していたんですけど、苦戦してしまって。 今年はあまりそこは意識せず、まずは自分の調子やゴルフに向き合って着実にやっていきたいなという感じです」
まだ絶好調とはいえない山下美夢有ほか、年下のライバルたちは多い。
それでも3月の小祝の活躍を見る限り、小祝の今季2勝目はそう遠くなさそうだ。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
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