クラブセッティングはクラブの重さの流れが重要。ギアオタクでフィッターの小倉勇人に詳しく聞いてみた。
画像: 「ウェイトフローがしっかりしていれば、極端に苦手なクラブは生まれにくい」と小倉氏は語る

「ウェイトフローがしっかりしていれば、極端に苦手なクラブは生まれにくい」と小倉氏は語る

14本の重さの流れを揃えることが大切

クラブフィッター小倉です。今回は、私がフィッティングで重視している項目のひとつであるクラブの重さの流れ、『ウェイトフロー』についてお話ししたいと思います。

ゴルフクラブは、スウィングするとふたつの力が生まれます。長さによる「遠心力」と重さによる「重力」です。長いクラブほど遠心力が大きくなり、短いクラブほど遠心力は小さくなります。同じように重いクラブほど重力が大きくなり、軽いクラブほど重力が小さくなります。

例えば、長さの異なる同じ重さのクラブを振ると、短いクラブの方が、遠心力が小さく、重力は、同じなので、短いクラブのほうがスウィング中に発生する力が小さくなります。この力が小さいとスウィング中にクラブから感じる抵抗が小さくなるため、速く振りやすくなります。同じ長さで軽いクラブのほうが、ヘッドスピードが高めやすくなるのはこの原理です。

ゴルフは、様々な距離を打ち分けるために長さの異なるクラブを使い分けます。これらのクラブがみな同じ重さだとどうなるでしょうか。これは実際に振ってみないとイメージが湧きにくいと思いますが、非常に打ちにくいクラブセッティングになってしまいます。理由は、前述したスウィング中にクラブから発生する力がバラバラだから。クラブが短く遠心力が小さいクラブほど、振っている時に感じる力が小さいため、クラブごとの振り心地が大きく変わってしまうのです。そうならないためにある程度ゴルフクラブは短くなるほど重くなるように設計されています。わかりやすいのがアイアンセットです。ひとつのスウィングで正確に飛距離の打ち分けができるように番手が小さくなるにつれ、長さが短くなっており、それに合わせて重くなっていくように設計されています。クラブが短くなり、減少する遠心力を補うように重さを増やし、重力を増加させることによって、スウィング中に発生する力をできるだけ揃えようとしているわけです。

その考えをアイアンだけはなく、ドライバー、FW、UTにも適用し、クラブセッティング全体のウェイトフローを整えることで、どのクラブでもスウィング中に感じる力を同じにしようというわけです。最近は、カスタムシャフトを装着、ブランドをまたいでクラブセッティングをするといったことは当たり前になりました。だからこそ、ウェイトフローを意識してセッティングしないと、振り心地がバラバラになり、ドライバーが当たるとアイアンが当たらない、FWだけが苦手などといった現象が起きやすくなります。もちろんシャフトの特性を揃える、各ジャンルのヘッドの特性を見直すといった他の要素にもこだわる必要はありますが、ウェイトフローがしっかりしていれば、極端に苦手なクラブというのは、生まれにくくなります。

ウェイトフローのひとつの目安として、ドライバーからUTまでが半インチ短くなるごとに5~6グラム増。アイアンからウェッジまでが半インチ短くなるごとに6~7グラム増といった感じです。もしバッグの中に苦手なクラブがあるとしたら、ウェイトフローを疑ってみてください。そのクラブだけ仲間外れになっているかもしれませんよ。

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