「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」でツアー初優勝を飾った阿部未悠。最終日の上がり5ホールで4連続バーディを奪ったスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

前週の「ヤマハレディースオープン葛城」で優勝した小祝さくら選手も最終日の上がり5ホールで4バーディを奪い勝利を手にしていましたが、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」では首位に立つ佐久間朱莉選手を14番からの4連続バーディで1打のリードを持って18番ホールのグリーン奥からのアプローチを1メートル強に寄せ、そのパーパットを決め初優勝を飾りました。

画像: 「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で佐久間朱莉とのデッドヒートを1打差で制し初優勝を飾った阿部未悠(撮影/大澤進二)

「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で佐久間朱莉とのデッドヒートを1打差で制し初優勝を飾った阿部未悠(撮影/大澤進二)

阿部選手のスウィングを見てみると、始動からヘッドを遠くに、ワイドにテークバックしていきます。手元とクラブの動きと肩や胸がターンする動きと連動しているので、手打ちにならないお手本になるテークバックです。

画像: 始動からクラブを遠くにワイドに上げ、手元やクラブと体の動きに高い連動性がある(撮影/大澤進二)

始動からクラブを遠くにワイドに上げ、手元やクラブと体の動きに高い連動性がある(撮影/大澤進二)

手元がやや高いアップライトなトップを取り、切り返しから腰を落として沈み込んでしっかりと地面に圧力をかけます。そこからインパクトにかけて縦方向の力を使って回転力を得ることで体幹から腕、クラブへと効率良くエネルギーを伝達させヘッドを加速させています。

画像: 手元のやや高いトップから沈み込んで地面を踏み込み、足首、ひざ、股関節のトリプルアクションを使って回転力を得ることでクラブを効率よく加速させている(撮影/大澤進二)

手元のやや高いトップから沈み込んで地面を踏み込み、足首、ひざ、股関節のトリプルアクションを使って回転力を得ることでクラブを効率よく加速させている(撮影/大澤進二)

立ち幅跳びの飛べる距離とゴルフの飛距離には高い相関関係があると言われています。立ち幅跳びで遠くまで飛ぶ際には、背伸びをするような高い姿勢から腰を落として沈み込み、足首、ひざ、股関節のトリプルアクションを使って一気にジャンプします。動きのタイミングや連動性がスウィングの動きに直結しているので、立ち幅跳びや箱の上に飛び乗るボックスジャンプがゴルフのトレーニングで取り入れられている理由です。

阿部選手のスウィングを見ると、スウィングのタイミングや連動性がとても高く、ドライバーのような飛距離を求める大きなジャンプと、アイアンショットのような距離と方向性を高める出力を抑えたジャンプの使い分けが上手にできています。

画像: 3日間のパーオン率は46/54。佐久間に次いでの2位と抜群のショット力を見せた(撮影/大澤進二)

3日間のパーオン率は46/54。佐久間に次いでの2位と抜群のショット力を見せた(撮影/大澤進二)

得意のアイアンショットでパーオン率は54ホール中46ホールと1ホール多くパーオンした佐久間に次いで2位という抜群の安定感を見せました。

最終組で同じく初優勝を狙った佐久間選手も見事なプレーを見せ、惜しくも1打差の2位と涙を飲みましたが、この悔しさを糧により強くなった姿を見せてくれるに違いありません。

オフのトレーニングを共にしたソフトバンクホークスの甲斐拓也選手の「今年は野球を楽しむ」という言葉を胸にシーズンを迎えていたと阿部選手。

「調子が悪いなかでもゴルフを楽しむという気持は絶対に忘れないでいようと思っていました。昨年、自分のなかでもずっと苦しいというか、つらいシーズンで、後半は本当につらかった部分もあったので、楽しむという気持を忘れていたような気がして、(甲斐選手の言葉に)ハッとさせられたというか。もっとゴルフが好きでやっているんだから、好きを仕事にできることってほとんどないと思うので、それができているだけで幸せだなって思って。スッと入ってきた部分だったので、上手く行かないなかでもそこは思っていました」

優勝争いのなかでも「凄い楽しいなとずっと思ってゴルフをできたのは初めてに近い感覚だった」と楽しいと思いながらプレーできたことがパフォーマンスを発揮できた理由と優勝会見では話しました。優勝争いのなかで大好きなゴルフを楽しむ姿をまた見せてくれることでしょう。

写真/大澤進二

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