日本女子アマチュアゴルフ選手権最終日が15日、我孫子ゴルフ倶楽部(千葉)で行われ、首位と2打差の2位でスタートした鳥居さくら(滝川第二高)がスコアを3つ伸ばし、14アンダーで逆転優勝。初の栄冠を手にした。2位はナショナルチームの新地真美夏(共立女子第二高)、3位は松本七海(日本大)、首位スタートの山本優花(東京ロイヤルGC)は75とスコアを落とし4位に沈んだ。
画像: 日本女子アマ選手権で初優勝を飾った鳥居さくら(撮影/姉崎正)

日本女子アマ選手権で初優勝を飾った鳥居さくら(撮影/姉崎正)

「ぶっ飛び過ぎる」260Yの飛距離が鳥居の武器

4日間60台(69・68・68・69)と、着実にスコアを伸ばしていった鳥居。

最終日は5番、6番で連続バーディを奪うと、前半で3つスコアを伸ばし、首位ターン。後半も10番でバーディを奪い、初優勝へ大きな一歩を踏み出したが、14番、16番でボギーを叩き、スコアを落とすも18番でバーディを奪い、結果的には2位の新地に5打差の圧勝劇となった。

画像: 162センチ60キロの体格で260ヤードを飛ばす鳥居の大きなフォロースウィング(撮影/姉崎正)

162センチ60キロの体格で260ヤードを飛ばす鳥居の大きなフォロースウィング(撮影/姉崎正)

「日本女子アマはアマチュア最高峰の大会。朝イチ、ティーショットするときに見たカップを持てて嬉しいです。日本のタイトルが取れたことも嬉しい!」と優勝後、笑顔で話した。

鳥居の武器は260Yの飛距離。

「2日目3日目がぶっ飛び過ぎて、どうしようかなって(笑)」

飛び過ぎる飛距離がマネジメントに影響して自分があきれるほどだ。

居酒屋裏でアプローチやパターを練習

画像: 鳥居が練習していた居酒屋のバックヤード(写真は21年3月、撮影/三木崇徳)

鳥居が練習していた居酒屋のバックヤード(写真は21年3月、撮影/三木崇徳)

両親の影響で小学校1年のころゴルフを始めた鳥居は、中学2年のころ「関西中学校ゴルフ選手権」で優勝。

中学で関西を制するほど強くなれたとはいえ、鳥居の練習環境は決していいものではなかった。

両親が仕事で忙しくボール代がかかるため、ボールを打つのはもっぱら両親が働く飲食店のバックヤードだったという。決して広くはない、他店との共同スペースで、アプローチとパターの練習に親を待つ時間に費やした。

画像: 自ら作り出したバックヤードの練習場(写真は21年3月、撮影/三木崇徳)

自ら作り出したバックヤードの練習場(写真は21年3月、撮影/三木崇徳)

居酒屋の裏でひとりで練習する一方、鳥居には中2のころから指導者がいた。渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いた青木翔コーチだ。

当時青木翔コーチから「とにかく右、左それぞれ片手打ちをやりなさい」と言われたという。さらに、「左手はアドレスでグリップエンドを左の股関節に向け、その角度を崩さないよう、体の回転で打つ。そして、最後に両手で打つ」ように、と。

ショットやスウィングの基礎はこうして作られた。

現在は96年、98~99年と3度日本アマを制した星野英正プロに師事し、4日間アンダーパーの安定した成績が出せるゴルフレベルへと成長。

また、昨年からプロの試合に出場するようになり、「プロの雰囲気や独特の緊張感を味わうことができて、精神面の成長も大きかった」と語る。

画像: 小さいころから飛ぶほうだった中2時代の"さくらちゃん"(撮影/有原裕晶)

小さいころから飛ぶほうだった中2時代の"さくらちゃん"(撮影/有原裕晶)

日本女子アマの優勝は”特典”としてプロテストの2次までが免除されファイナルへの出場権が得られる。

「目標は(プロテスト)一発合格。予定していたファースト(1次)がなくなったのでとりあえず練習に時間を費やして、ファイナルに向けて調整したいです」

プロを目指す鳥居に大きな影響を与えた女子プロがいる。滝川第二の先輩で米ツアーで活躍する古江彩佳。憧れの先輩で今年初めて古江とラウンドしたことも大きな刺激となった。

「スポンサーが同じで、今年の年明けに初めましてでラウンドする機会があって、詳しくは言えないんですけど、ゴルフの面や練習のこととか教わりました。世界で戦ってる人はオーラが違い過ぎて、吸収することが多かったです。技術面もメンタル面も身に染みました」

生け花が好きな母につけられた名前は「さくら」。

横峯さくら、小祝さくらに続く”女子プロゴルファー”「鳥居さくら」は、つぼみから花を咲かせる。

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